ついに配当遅延「みんなで大家さん」。資産運用にウマい話はない

安東隆司

安東隆司

テーマ:あまり報道されないニュース

みんなで大家さん販売の利益分配が遅れるとの通知が投資家にあった模様です。
ニュースソース:東京商工リサーチ 2025/07/31 『みんなで大家さん、分配金の支払いが遅延』

TVCMなどで認知度を上げ、投資家を集めて2000億円

2000億円もの投資マネーを集めていたとされる「みんなで大家さん」。
不動産小口化投資商品で、高い利回りを謳っていました。
日曜日の朝の人気ニュース番組でTVCMを目にしたことがあります。
時代劇風のCMで「ていへんだ!ていへんだ!」と不安をあおり、
「みんなで大家さん」をやっているから大丈夫 といったシナリオでした。
このTVCMを見た時の筆者の感想は
・これほど高い利回り(年 7.0%)をTVCMで宣伝して大丈夫か?
・著しく有利と誤認させる広告 という気がする。
・TV局の考査部門は、よくわからずCM放送OKを出したのでは?
ということでした。

視聴者の多い人気ニュース番組は、宣伝効果が高いでしょう。
資産運用に詳しくない視聴者ならば、「TVでCMやっているから、大丈夫」と思ってしまう場合もあるでしょう。
有名人や著名人が広告塔になり、トラブルになるケースと似ていると思います。

1年経っても解約できない

『総額200万円を出資しているという40代女性は、今回の件がSNS等で騒がれているを見て「ちょっとやばいのかな」と思ったと話す。

「これまでの3年間で30万円程度の分配金を受け取っていました。今後もし元本が戻ってこない事態となってしまったら、170万円損をするということですから、そう考えると悲しいですよね」』

出所:楽待 2025/07/31 『「みんなで大家さん」配当が遅延、行政処分から1年…いまだに解約できない出資者も
「いつになるのか」突然の発表に困惑の声も』

モトも子もない。このままでは大幅な元本割れも

一度は投資(出資)をしてしまったが、「どうやら ヤバそうだ」と思って解約手続きを依頼しても、1年経っても解約できない事例が紹介されています。
この事例では、3年で30万円程度の分配金を受け取ったとあります。
分配金や配当などが比較的高かったと判断したのでしょう。
しかし、投資資金は200万円です。
「モトも子もない」という言葉があります。
ここでのモトは元、元本のことです。子(利子)を受け取ったと思っていても、実は今、破綻してしまえば170万円の損となってしまうのですから、結局は元本を割れた投資で、利子部分すらプラスになっていないという形です。
モト(元本)も子(利子、利息、分配金)も無い状態が、現状のままでは発生することになります。

著名メディアは、あまり報道しないが業界通は警鐘を鳴らしていた

「みんなで大家さん」の配当停止は、あまりニュースに採り上げられていない様子です。
経営破綻状態が確定しない限り、ニュースとしては採り上げにくいという背景があるのでしょう。
業界のエキスパートや地方公共団体は1年以上前に既に警鐘を鳴らしていました。
『大阪府と東京都は2024年6月17日、都市綜研と販売会社にそれぞれ行政処分を発表。都市綜研には翌18日から、また販売会社には同月21日から各30日間の一部業務停止を命じた。

 処分の理由は不特法違反。具体的には、(1)建設計画の大幅な変更に伴う資産価値や収益性への影響を投資家に十分説明をしなかった、(2)本来は開発許可の対象ではない土地を誤って書類に記載し、この情報を基に勧誘や契約を実施した、(3)造成工事完了後の形状や構造を記載すべきところ、完了前の形状を記載していた、などが理由だ。』
出所:日経不動産情報 2024/06/21 『【トラブル】「みんなで大家さん」行政処分で初日に400以上の解約請求』

『昨年(*注 2023年)2月、大阪府は業務停止命令を念頭にした警告を事業者企業側に発するとともに、成田で投資家に販売されている土地が「周辺の固定資産税標準宅地価格である1万6400円と比べ、100倍以上の差がある」ことについて根拠の提出を求めた。当局は今回の即時抗告の場において、「仮にプロジェクトが実現しなかった場合、対象不動産が付近の固定資産税評価額でしか売却できず、事業参加者に対して元本がほとんど償還されないおそれがある」とも主張している。これに対し、事業者は、成田市が国家戦略特区に指定され、発展性があることを挙げ、通常の郊外地評価と同様の取引事例比較法による価格算出にはそぐわない旨、応じている。』
出所:日経不動産情報 2024/08/21 『【トラブル】みんなで大家さん、2000億円投資マネーの行方』

成田地域の事業開発案件で、100倍もの資産価格に妥当性があると事業者側は説明しているのです。
しかしウマく行かなかった場合は、どうなるのでしょうか?
元本がほとんど償還されない可能性がある、と注意を促しているのです。

販売者は、都合の悪いことは、わざわざ伝えない

金融商品の販売に関して、「不都合な真実は語られない」ことがよくあります。
儲けさせてくれる、イイ人だからと投資を決定してしまうケースがあります。
しかし、「イイ人」だと思った関係者は、実際に起こっている不都合な深部を、わざわざ投資家には伝えません。
更に言えば、従業員にすら知らせないでしょう。
企業買収や経営破綻を、ニュースで知った従業員も多いでしょう。
悪い情報を、わざわざ多くの人には知らせないのです。

資産運用に、ウマい話は無いと考えることが無難

「あなただけ特別に」「富裕層が投資している」
このようなセールストークは要注意です。
ウマ過ぎる投資話は、極めて高いリスクを取る投資なのです。
かつて、いくつもの投資詐欺案件を破綻前から見抜いてきた筆者は思います。
「そんなにウマく儲かるならば、自分自身でやればよい。
なぜ、わざわざ沢山の人々の出資を、手間と費用をかけて行う必要があるのか?」
小口で投資家が多いほど、そのビジネスにかかるコストは高くなるのです。
別件ですが、フィリピンの海外債券でも問題が発生しているようです。海外からわざわざ渡航費をかけてセールスしてくるようなケースは、「何かおかしいのでは?」と疑う注意が必要です。

「富裕層な何かウマい事をして、儲けている」
筆者は全くそうは思っておりません。
むしろ、安定的な運用で、透明性、換金性(流動性)の高い資産運用をメインで行っているケースが多いと感じています。

資産運用を相談する相手選びは、慎重に行う必要があるのです。

※ 特定の会社に対する攻撃や悪意のアンチコラムなどではありません。
  実際に発生している事柄を報道を引用しつつお伝えしました。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

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