プライベートクレジットに投資前に知っておくべきこと(4)米国では逆風か?

安東隆司

安東隆司

テーマ:あまり報道されないニュース

投資ファンドが非上場企業に融資するプライベートクレジットに逆風が吹いている。

機関投資家の中には保有するプライベートクレジットのファンドを売却して別の投資先への資金を確保する動きも目立っているという。

融資実態が不透明な点も投資家の不安につながっている。「融資先企業が未上場のため、債務状況などの詳細や格付けが不透明だ。融資の実態がわからず、債務不履行になった時の打撃を予測しづらい」(米証券法弁護士)

ファンドが関わる米企業の破綻は徐々に増えている。米調査会社S&Pグローバルの調べによると、24年年間の企業倒産件数694件(負債額200万ドル以上など)のうち、ファンドが出資している企業の倒産は110件と過去最高を記録した。


日本経済新聞 2025/05/13 『米ファンド、企業融資 逆風
 運用商品の価値17%割引、中小の資金繰りに直結』

メディアが遠慮して書かない部分を筆者私見で解説

この記事の内容を筆者私見で解説します。

・融資の中身がわからないプライベートクレジット。
・中身がよくわからないので、景気悪化のダメージが予測できない。
・プライベートクレジットファンド関与の米企業の破綻は増加
・2024年の200万ドル以上の倒産694件のうち、110件がプライベートクレジット関連で、15.9%の割合に。
・不安な投資家は米国では資金を引き揚げている
・米国プライベートクレジットの人気は陰ってきている。

メディアが遠慮 忖度している と感じられる理由は?

この記事の内容は、プライベートクレジットの破綻への関与が高い事、その結果価格が下落しており、人気の陰りがあり、米国では投資家はプライベートクレジットに慎重になっている、という内容です(筆者私見)。

私がこの記事にタイトルを付けるとしたら以下です。
「プライベートクレジットファンドに逆風、不人気で価格17%下落」

しかし、この記事のタイトルは 
『米ファンド、企業融資 逆風 運用商品の価値17%割引、中小の資金繰りに直結』です。
米ファンド 企業融資 が実はプライベートクレジットファンドを示すことなのです。
米ファンド、企業融資 ≒ プライベートクレジットファンド であることを理解する人は、金融機関勤務者でも、ほとんどいないのではないでしょうか?
オブラートに包んで、プライベートクレジットの不芳を、忖度して報道した印象です。

報道はスポンサーへの忖度や配慮が存在する

いわゆるリーマンショック時代の古い話をします。
某経済週刊誌(日本)がサブプライムローンの特集をしていました。
不良債権の元凶となり得る、CDOの保有残高について金融機関毎に並べた記事でした。
 ここで筆者は疑問に思います。
Bloomberg報道では関与が大きいとされていた、C社の記載が無かったためです。
「あれ?C社が無いのはオカシイな?」
こう思った筆者のナゾはやがて解けました。
C社の1面全面広告が、後のページで掲載されていたのです。
C社がスポンサーであるが故に、記事内容をC社に忖度したと筆者は判断しました。
この経済紙を年間購読していたのですが、この偏向報道で報道姿勢に疑念を抱きました。
金融危機が終息した後、もはや情報ソースの役割を終えたと感じて、長年の年間購読を止めることにしました。

メディアは必ずしも投資家保護のために、正しいニュースを伝えるとは限らないと思われます。
スポンサーである販売者に寄り添う忖度をする可能性もあるのです。

プライベートクレジットファンドの全面広告が数日後に予定されていた場合、記事の内容もそれなりに忖度する場合が、あり得るのだと思います。

メディアは読者だけでなく、スポンサーも大事

私事ですが、実父はメディアを経営していました。
記者としてアルバイトをしていた私は、やがて広告主にとって
喜んでもらえる記事のウエイトが多いことに気付きました。
読者から得られる購読料も重要ですが、スポンサー企業からの広告収入無くしては、経営が成り立たない実情がそこにありました。


販売者からは決して語られない、販売に不利な情報。
そんな販売者の言葉だけを信じると、投資家は気付いていないリスクに晒される場合があるのです。

販売者の情報を鵜呑みにせず、
透明性や流動性の高い資産クラスへの投資が王道

筆者の金融一筋キャリア36年の経験から、お伝えしたい王道はこれだと思っています。


次回、その5は下記リンクより閲覧が可能です。
プライベートクレジットに投資する前に知っておくべきこと(5)


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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
本記事は信頼できると判断された情報等を基に作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

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