投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
2025年7月4日に発表されたGPIFの2024年度第4Qの運用リターン結果は▼(マイナス)3.41%、2024/04月から2025/03月の年率リターンは+0.71%でした。
また、2001年の運用開始以降で見ると、3Qまでと今回4Qまでとを比較すると
リターンは▼0.41%下がり、収益額は▼8兆8152億円減少しました。
2025/01から2025/03までの4Q(第4四半期)は相場の下落があったことがわかります。
プロが運用しても、相場が悪ければマイナスリターンも

出所:GPIF 2025/07/07発表データ「2024年度業務概況表」 P24より
上図の2025年3月までの2024年度の、四半期ごとのリターンを見てみましょう。
4-6月が第一四半期(1Q)、7-9月が2Q、10-12月が3Q、2025年1-3月が4Qです。
2025年1-3月が、2024年度の4Qとなるわけです。
2024年度は2024年の4月から2025年の3月のことです。2025年3月までなのに、2024年度、ということで違和感を感じる人もいるかもしれませんね。
さて、2024年度を四半期ごと(3カ月ごと)に分解すると、
2Qは▼3.57%、4Qは▼3.41%だったことがわかります。
プロが運用しても、マイナス運用となることは起こるのです。
2024年度全体としては、0.71%のリターンでした。
結果的には、この1年のリターンは約0.7%だったということです。
実質的な運用リターンは▼1.50%
異なる数字が出てきて解りにくいところですが、年度別の運用実績をみてみましょう。
出所:GPIF 2025/07/07発表データ「2024年度業務概況表」 P26より
図の右から2番目の「2024年度」では3つの数字が並んでいます。
0.66% 名目運用利回り …上記の約0.7%から手数料を差し引き等を実施
2.19% 名目賃金上昇率 …賃金上昇率
▼1.50% 実質的な運用利回り…賃金上昇を考慮した、いわば「手取り」に近い概念です。
つまり、賃金の上昇分を考慮した、いわば手取りに近い感覚でいえば、
2024年度の運用は▼1.50%のリターンだった
ということになります。
マイナスになる1年は、7回/24回の頻度で発生
実質的なマイナスは 世界金融危機(いわゆるリーマンショック)の2007年の▼3.46%、2008年の▼6.62%など合計7回発生しています。29.2%で3-4年に1回はマイナスだということです。
直近10年ならば、4回発生しています。
プロが運用していても、10年で3回程度はマイナス運用になる
という事実があるのです。
情報操作に注意 GPIFマイナス確率は66.7%? 29.2%?
余談ですが、このような計数の分析で気をつけてほしいことがあります。
スタート時点や期間を変えると、まるで印象の異なる表現が可能だということです。
・GPIFの実質運用実績は、ここ3年で2回もマイナス運用 66.7%の年でマイナス運用
これは3年という期間にした場合の事実です。
・GPIFの実質運用実績は、ここ18年で7回もマイナス運用 38.9%の年でマイナス運用
これは、金融危機が2年連続発生した2007年を起点とした場合です。
・GPIFの実質運用実績は、ここ24年で7回のマイナス運用 29.2%の年でマイナス運用
いかがでしょうか?
悪意のある報道の仕方でいえば、66.7%の年でマイナス運用が発生している、とも表現できるのです。24年の長期であれば、29.2%の問でマイナス運用も事実なのに、です。
長期運用でGPIFは国民の豊かな老後に貢献している
このようなマイナス運用の話題がでると、
「資産運用でマイナスが出るのが怖いので、自分で資産運用はやらない」
「GPIFもリスクを下げて安定運用をすべき」
といった論調も出てくるかもしれません。
しかし、上図の一番右 24年間の年率平均では 3.99%の運用プラスの実績があるのです。
長期運用では3.99%、155兆円の累積収益で国民に貢献

出所:GPIF 2025/07/07発表データ「2024年度業務概況表」 P25より
さて話を長期運用に戻します。
GPIFの24年間のリターンは3.99%/年率という成績です。
素晴らしい実績だと筆者は考えています。
そして長期に安定的な運用を考えるならば、3%~4.5%程度を想定したポートフォリオが無難ではないでしょうか(筆者私見)。
世の中には極端な意見の専門家が存在する
個人投資家で「NISAで損した、やらない方が良い」といった極端な論調も世の中にはあるようです。
また「経済ジャーナリスト」「経済専門家」「「経済アナリスト」「経済エコノミスト」の中には、資産運用なんておやめなさい、といった極端な論調を展開し、それがメディアに掲載されていることも事実です。
しかし彼らは、実際に資産運用に携わっている人々でしょうか?
多くは現在は資産運用に携わっていない、運用のプロではない人々です。
著名人が言った言葉であっても、盲目的に信じる必要は無いのです。
長期間で低コストのインデックス運用を中心に、バランスの取れたポートフォリオ運用を行うと、
少なくとも過去24年では3.99%というリターンを残したGPIFの実績があるのです。
いつも資産運用lが上手く行くわけではありませんが、GPIFは長期運用で
我々国民の年金運用で成果を上げ、国民に貢献している団体だということが事実なのです。
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