プライベートバンカーに対する誤解とは? 投資初心者が知らなかった資産運用

安東隆司

安東隆司

テーマ:投資初心者

(RIA JAPAN広報部記述)
このシリーズは、3年以上RIA JAPANのコラムを読んだ投資初心者に依頼して、「なるほど!と感じたポイント」「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について執筆いただきます。
投資初心者さんの執筆記事は第158回目になります。
今回はプライベートバンカーと自称PBの違いについて執筆いただきました。
誤解が無いように一部表現を校正した箇所があります(*)は編集部校正。
********************

ここ数年は、国内の企業等でも富裕層部門を拡充する動きが増えているそうです。
ウエルス・マネジメントやPB(プライベート・バンキング)部などです。
プライベート・バンカー(PB)という言葉の知名度はかなり高くなりました。
(*2025年1月からはテレビドラマでプライベートバンカーが採り上げられるそうです。
原作者の取材先が、プライベートバンカーとは異なり、自称プライベートバンカーであった懸念を述べておきます
プライベートバンカーは、取引するお客様の名前を挙げたりはしない者です。
「○○さんが私のお客様で・・・」
こんな担当者は富裕層の信頼を得ることができないでしょう。
外資系をクビになったり、お客様から出入り禁止通告を受ける、当然の理由でしょう
クビになった自称バンカーが、自らの宣伝のために過去のお客様の名前を挙げる。
このような者をバンカーだと誤解してほしくないものです。)

一般的にPBという言葉は「富裕層のための金融機関」という意味で使われます。
また、様々なレポート等で富裕層とは「保有金融資産100万ドル以上」保有する人という意味で使われています。
こうした富裕層対象のサービスをプライベート・バンキング、プライベートバンクと呼ぶようになりました。

欧米のバンカーと日本での自称PBは異なる点が

PBの担当者をプライベート・バンカー(PB)と呼びます。
同じPBでも勤務先としての意味と担当者としての意味があるので、少しややこしく感じますね。
以降、ここでは担当者をPBバンカーと呼びます。

外資系のPBバンカーの特徴

まず、英語で* Bankerは「銀行経営者」や「銀行役員」です。
(注* バンカーは経営層や匹敵する地位を指すものと考えられます)
外資系PBのプライベート・バンカーは、好待遇である場合も珍しくありません。
PBバンカーはプロフェッショナルです。
経営層などに異動をせず、現場で担当顧客を外れることを望まれないプロが「バンカー」として絶大な信頼を得ています。
日本の金融機関でいえば支店長や部長といった、マネジメント層の年収を遥かに超える年収のPBバンカーも存在するのです。

日本企業での自称プライベートバンカーの特徴

一方で、日本の企業での自称プライベートバンカーはどうでしょうか。
支店長や部長といったマネジメント層の年収を超えず、富裕層専業のプロ待遇とはなっていない場合がほとんどでしょう。
富裕層担当者としての経験不足の場合も多く見受けられます。
また、数年程度で転勤となり、部署変えになるケースもあります。
これらの特徴の差はかなりの違いといえます。
(注* 富裕層担当の経験もなく、また経営層でも無い者が、本来経営層を表す「バンカー」を名乗る日本の呼称に違和感を感じます。)

Private Banking clerkが、日本での「自称プライベートバンカー」担当者の正しい表記といえそうです。

「富裕層御用達」看板には疑いの余地あり

日本の金融商品のマーケティングで「富裕層御用達」と掲げるケースがあります。
キャッチコピーとして、ひときわ目を引きますよね。
でも、実態は「富裕層御用達」というわけではない可能性もあるでしょう。

積立投資で、「世界の富裕層も実践する長期・積立・分散」というキャッチコピーを見かけました。
富裕層は既に一定の資産を持っています。
積立の必要はほぼ無いと思いませんか?
指摘があったのかその後「一部の富裕層も」と書き換えられるケースもあったそうです。
「富裕層御用達」というキャッチコピーでのセールスが正しくない場合があるということには気を付けた方が良いかもしれません。

系列無視で取引できる「オープン・アーキテクチャー」って?

プライベート・バンキングは、「オープン・アーキテクチャー」が大事な要素とも言われています。
担当者が所属する系列などのしがらみに縛られず、良い条件を提示できる仕組み。
これがオープン・アーキテクチャーです。

系列に縛られず、顧客が本当に必要で有益な商品を安く提示する。

例えば、仕組み債や仕組み預金といった「デリバティブズ商品」があるでしょう。
これをテーラーメードで作成するとします。
日本の金融機関では、海外の系列子会社か、取引のあるごく少数の親密な業者が相手となるでしょう。
一方で、オープン・アーキテクチャーであれば、自社の系列を優先しません。
数多くの中から、最も有利な条件を選ぶからです。

日本では最良の条件とはかけ離れた条件を「テーラーメード」と称してセールする事例もあるようです。
つまり、PBと名乗っていても、実態がかけ離れていたといえます。

手数料開示しない担当を信頼するか?

PBは顧客本位であることが求められます。
富裕層を相手にするPBバンカーなら当然なのですが、自称PBの場合にはまったく異なるケースもあるようです。
顧客が本当に望むニーズより、売買の度に発生する手数料などで利益を上げるビジネス形態があります。
「契約する取引で、顧客がいくら手数料を支払うか。」
顧客から本当の信頼を勝ち得たいなら、明示するべきではないでしょうか。
「コストがいくら発生します」と明示できる相手の方が顧客本位といえるのではないでしょうか。

手数料の一部を受け取るコミッション型のビジネスは、日本では当たり前と認識されてきました。
自称PBは、「販売者」サイドの事例もあることには留意が必要でしょう。
自称PBの多くは手数料の一部を受け取るコミッション型ビジネスの中にいます。
販売者サイドの担当者は、中立ではなのです。
商品を売らないといけないからです。
欧米では、販売者は適切なアドバイスを求める相手ではないと考える投資家が増えています。
顧客本位ではないですからね。

富裕層が求めるプライベート・バンカー

富裕層が求めるプライベート・バンカーや金融アドバイザーには共通点があります。

・顧客ニーズを聞くことに熱心
・価格の透明性に疑念があるケースや戦略に高いリスクがある場合には、過度な投資は避けるアドバイス


信頼される顧客想いのビジネスに必要な特徴をまとめている発表もありました。

(画像はRIA JAPAN代表安東隆司が銀行実務誌2024年7月号に寄稿した記事より一部抜粋)
顧客に寄り添うという姿勢であり、顧客の利益を最優先にする。
PBとはなにかがよくわかる共通点だと思いました。

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(以下、編集後記)
今回、投資初心者さんには、プライベートバンカーと自称PBの違いについて執筆いただきました。
RIA JAPAN代表の安東隆司は日系メガバンク、米系証券、欧州系信託銀行でそれぞれプライベートバンカーを務めた、稀有な経験を持つ元プライベートバンカーです。
安東隆司は、ロータリークラブの職業覧で「プライベートバンカー」を、日本で初めて使用した者です。
RIA JAPANは信頼されるプライベート・バンカー、継続的な富裕層ビジネスモデル、理想的なアドバイザーとは何なのかを継続的に発信を続けています。
下記リンクよりRIA JAPANが発信してきた関連コンテンツが閲覧可能です。
【関連記事】
・マイベストプロ コラム
 (2021/06/09公開)顧客に寄り添うプライベート・バンカーと自称PBの違いに要注意!
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・日本におけるウエルス・マネジメントの課題とは?銀行実務誌2024年7月号寄稿記事掲載
 銀行研修社が発行する「銀行実務」2024年7月号に
RIA JAPAN代表の安東隆司が寄稿した記事が掲載されています。
 日本におけるウエルス・マネジメントの課題とは? 銀行実務誌2024年7月号に寄稿記事掲載

繰り返しになりますが、本記事はRIA JAPANが、投資初心者に弊社発信のコラムで、「なるほど!と感じたポイント」「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について記述してもらったものです(第158回目)。

※本コラムは特定の有価証券又は金融商品を勧誘するものではありません。また、特定の資産クラスに対する今後の方向性を保証するものではありません。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

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