ふるさと納税の返礼品が「一時所得」で課税対象に!? 高額実施者は定期便に注意!

安東隆司

安東隆司

テーマ:所長解説のおカネ学♫

非課税制度で所得税の還付や住民税の控除が受けられる「ふるさと納税」
年末にはTVCMが多く放送され、この制度を知っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、返礼品などの一時所得が年間50万円分を超えた場合は課税対象となり、
確定申告が必要
なことはご存じでしょうか。

ふるさと納税の返礼品は「一時所得」

ふるさと納税では自治体に寄付した金額の内、2,000円を超える部分が所得税の還付、住民税の控除が受けられる制度です。
更に、地域の特産品などのお礼の品、返礼品がもらえる場合があります。
この返礼品には肉、米、パン、果物、魚介類、野菜にお酒、お菓子等の食べ物だけでなく、
雑貨やファッション、家具など、幅広い種類の返礼品が各自治体によって設定されています。
返礼品の価値は寄付額の3割以下まで、と総務省によって定められています。
(返礼品の設定が無い、特定の自治体を応援する目的のふるさと納税も存在します)

(画像:総務省 ふるさと納税ポータルサイトより クリックで画像拡大します)

「一時所得」が年間50万円超ならば、課税対象

幅広く返礼品のカテゴリーがある ふるさと納税ですが、返礼品は「一時所得」に該当します。

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
国税庁 No1490「一時所得」より抜粋

この、一時所得は最高50万円まで特別控除で差し引くことができますが、
50万円を超える部分について課税対象となるのです。
他にも、「懸賞や福引の賞金品」「競馬や競輪の払戻金」「生命保険の一時金」などが一時所得に該当するため、
一時所得で合算した時に50万円を超えてしまう人は、超えた部分が課税対象となることに注意が必要です。
(参考:総務省 ふるさと納税ポータルサイト Q14 「ふるさと納税のお礼の特産品は課税対象になりますか?」)

寄付金額約166万円では返礼品が50万円付近に

では、一時所得が無く、ふるさと納税の*年間上限額まで寄付した場合、
年収いくらぐらいの人が返礼品50万円相当となってしまうのでしょうか。
一つの目安として「寄付金額約166万円」「年収5000万円付近」というのが目安になるかと考えられます。
(*2,000円を除く全額控除される上限金額)

ふるさと納税寄付金額、約166万円

まず、返礼品50万円が3割相当となる「年間の寄付金額」を逆算すると、
(50÷3)×10=166.66……となります。
つまり、年間で約166万円以上ふるさと納税で寄附した人は返礼品が「一時所得の課税対象となる」可能性が発生します。

年収、5000万円で166万円付近の寄付可能だが注意が必要

では、ふるさと納税で年間上限額166万円以上寄付できるのは、年収いくらぐらいなのでしょうか。
群馬県前橋市が「ふるさと納税 寄付上限額(年間)の目安」という資料を公表しています。
前橋市の資料によると、年収5000万円の人が*1,626,000円寄付可能と算出されています。
*(出所)群馬県前橋市「ふるさと納税 寄付上限額(年間)の目安」 独身や、夫婦のみの家庭の場合 社会保険料控除額を所得の約15%と仮定して計算
つまり、年収5000万円などの高額者は、ふるさと納税の上限金額で寄附してしまうと、返礼品が課税対象となってしまう可能性があるのです。

注意点としては同じ給与収入でも、家族構成や適用できる控除内容で上限金額が大きく異なります。
ご自身の源泉徴収票や、控除証明書等をふるさと納税の詳細入力可能な目安サイトに入力し計算した方が良いでしょう。
簡易なサイトを信用すると、後悔する結果もあり得ます。
この規模の富裕層は顧問の税理士との契約があるでしょうから、詳細は税理士に確認する方が良いでしょう。

気付かなかった「受け取り時期」、駆け込み勢は要注意!

返礼品の受取り時が重要です。
一時所得の計算期間は1/1~12/31までです。
返礼品は実際にいつ届きましたか?
例えば、2024年12月の年末ギリギリにふるさと納税手続きをしたとします。
しかし、実際に返礼品を受け取るのは2025年です。

2024年にふるさと納税を行っても、
一時所得の計算は2025年である場合があるのです。

そして、2025年にもふるさと納税手続きを行い、2025年に返礼品を受け取った場合、
2024年と2025年の両方の返礼品、一時所得が 1年に起こってしまうことになるのです。
特に注意が必要なのは、年末駆け込み勢です。
受け取り時期に注意をした、「ふるさと納税」活用が必要です。
毎年、年末だけ行うならば、ある意味問題は少ないかもしれません。

定期便の返礼品受け取りも注意!

受け取り時期が一時所得の計上時期だとするならば、
定期便を利用している人も注意が必要です。
毎月返礼品を受け取る場合などが考えられます。
2024年ふるさと納税でも、2025年に返礼品を受け取るケースが考えられるでしょう。

ふるさと納税の簡易計算サイトには、受取り時期が考慮されていないケースが考えられます。
詳細は税理士に確認するほうが良いでしょう。

繰り返しますが、
受け取り時期には要注意です。
返礼品受け取りが1年で50万円以上となる人は申告が必要です。
申告漏れにはペナルティが課される場合もあります。

自分に合った「ふるさと納税」活用を

ふるさと納税では、沢山の種類の返礼品が設定されています。
自分が「ほしい!」と思える返礼品を探すことが趣味の人もいるでしょう。

しかし、寄付しつつ、返礼品を受け取ることを目的にふるさと納税を始めたものの、
全額寄付となる金額を大きく超えて寄附してしまい、
挙句の果てには返礼品が50万円超のため、一時所得で課税が必要となる。

という最悪シナリオも考えられます。

「節税や返礼品は不要で、この自治体を応援したい!」「災害の支援をしたい」という人ならば、いいのかもしれません。
しかし、ふるさと納税という非課税制度で、返礼品を受け取りつつ、自治体を応援するならば、
自分のふるさと納税での上限金額をしっかりと調査した上で活用してほしいと考えます。

* 本記事は信頼できると判断された情報等を基に作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。
* 控除額はあくまでも目安です。正確な計算は税理士等専門家にお尋ねください。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

安東隆司プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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