気付いた企業はもう始めている。元本確保型では実質目減り時代に金融経済教育を
PayPayアセットマネジメントの業務が終了になります。
投資信託の運用をしている会社が、事業を辞めるということです。
資産運用ビジネスは「打ち出の小槌」のように、
お金を産み出せるビジネスではないことが、明らかになりました。
LINEヤフーと、みずほグループ関連企業が出資している
LINEを連絡に使ったり、PayPayを決済に使ったり、Yahooを検索に使ったことがある人も多いでしょう。
LINEヤフー株式会社の100%子会社にZフィナンシャルがあります。
PayPayアセットマネジメント(株)の株主は
Zフィナンシャルが76.6%
アセットマネジメントOneが23.4%
です。LINEヤフー関連とみずほグループという、
日本で著名な金融グループが株主になっている会社です。
資本金は1億6500万円、従業員数は47名とのことです。
「PayPay投信」ブランドの投資信託の運用等をしています。
なぜ事業を辞めるのか?
なぜ事業を辞めることになったのでしょうか?
赤字続きの決算だったからです。
運用資産の拡大が計画通りには進まず、
業績低迷が続いていました。(中略)
資産運用サービスを持続的に提供することが難しいと判断
した結果、2025年9月末をめどに事業終了の予定となっているものです。
2024/10/11 「事業終了のお知らせ」PayPayアセットマネジメント株式会社
2024年3月末の決算発表では
営業収益(≒売上) 8億1245万円
営業費用 5億9114万円
一般管理費 6億9586万円
営業損失 4億7445万円
特別損失を5334万円計上し、
当期純損失は5億1827万円
でした。
5期連続の最終赤字だったとの報道もありました。
売上が約8億に対し、人件費の4億4865万円を含め
経常的な費用が約12億8700万円もかかっていました(2024年3月)。
なお、運用している投資信託の金額は約1930億円(2024年9月末)でした。
かつては金融法人の運用資産が多くあったものの、資金流出が大きく赤字転落したまま回復しなかったものと思われます。
有名だからといって、事業が続くとは限らない
LINEヤフーやみずほグループという著名な金融グループが出資していても、赤字を垂れ流した挙句に事業を辞める場合はあるのです。
資産運用ビジネスは新たな収益の柱となるとは限らない
様々な金融グループが、資産運用ビジネスに進出を計画しています。
資産運用ビジネスが、あたかも新たな収益をもたらす「打ち出の小槌」と夢を見ている、経営企画担当者の希望的観測があるように思えます。
2024年のNISA制度の拡充などを通じて、資産運用に向かう金額は、今後増えていくかも知れません。
しかし、世界の主流は「低コストのインデックス運用」です。
新たなファンドを立ち上げたからといって、インデックスよりも高いリターンを得られる訳ではありません。
そして、低コストのインデックス運用ファンドを立ち上げた所で、世界のアセットマネジメント会社の規模に、日本の運用会社が追い付くことはカンタンではないでしょう。
ファンドを増やすことが資産形成になるのか?
「資産運用ビジネスを育てる」
「新たなファンドマネージャーの発掘」
という政府のひとつの方向性が示されています。
日本版EMPという、官民連携して新興運用業者に対する資金供給の円滑化を図るためのプログラムが策定されています。
これは「資産運用業」すなわち投資信託会社に対するプログラムと考えられます。
しかし、ファンドビジネスはカンタンに儲かるビジネスではないことが、今回のアセットマネジメント会社の撤退で明らかになりました。
日本の投資信託はガラパゴス
日本での公募の投資信託の本数は5899本あります。(2024年8月:一般社団法人 投資信託協会)
販売しやすいテーマ型を次々発売し、閉鎖することなく新たなファンドを作り続けたため、運用意欲がない投資信託が多く放置されている状態なのです。
そしてまた、新たな投資信託を作成するマネージャーの発掘を業界や政府が計画しています。
日本のサポーターは日本のファンド会社で
日本の企業をカバーし、日本の会社に投資する、日本テーマの投資信託については、日本の運用会社が担うことが望ましいでしょう。
日本のホームカントリーは、日本のアセットマネジメント会社が担う形を期待したいものです。
国民の資産形成に必要なのは、適切な商品を選ぶサポート
一方、国民の資産形成は日本株式だけを対象とすべきではありません。
世界の株式市場に対する、日本の株式の割合は約5%と言われています。
日本株式だけに投資を行う形は、地元ひいきが過ぎるでしょう。
世界中のファンド会社から、既に素晴らしいETF(上場投資信託)や投資信託がラインナップされています。
これ以上、日本でファンドを増やす必要が本当にあるのでしょうか?
日本のアセットマネジメント会社に必要な事柄は、
まずは多すぎる日本の投資信託の選別と合併などによる、
選びやすいランナップの再構築ではないでしょうか?
世界のETFの本数は11,247本あります。
そして、世界基準ではETFを資産運用に活用することが進んでいます。
たくさんのETFから、投資商品を選択するだけでも、十分に大変な作業です。
そして、
多くの日本国民の資産形成のために必要なことは、
世界の株式や債券などから、
適切な商品を選択することではないでしょうか?
ファンドマネージャーの発掘や育成は一つの選択肢です。
しかし、多くの投資家のサポーターとなる、
金融経済教育の充実、
中立な立場のサポーター、
中立なアドバイザーを増加させることが、
更に重要な事柄ではないかといつも感じています。
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* 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
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