井藤金融庁長官「家族に勧められる商品か」発言とRIA JAPAN「親に勧められるモノしか勧めない」方針の共通点とは
TV番組でも中立アドバイザーに関する話題が増えつつあります。
多くの人がアドバイザーと思っている人は、世界基準ではアドバイザーではありません。
商品の販売をしている人は、米国基準では「アドバイザー」と名乗ってはいけないのですが、日本では基準がまだ曖昧なのです。
中立アドバイザーは誰なのか?
一般に金融機関の営業員や金融商品仲介業者(通称IFA)は商品を販売する手数料が収入源だ。FPも仲介業者を兼ねたり保険代理店と契約して報酬をキックバックされたりするケースが多い。相談者に向く商品ではなく販売したい商品を勧めるといった問題が指摘されてきた。
日経ヴェリタス 2024/09/01 「資産形成、広がる相談窓口 中立の認定アドバイザー始動」
実は多くの人が相談しているのは中立なアドバイザーではなく、商品販売をしている販売者であることが多いのです。
デパートに行って、百円均一の商品を探すことができない場合が多いですよね?
デパートの商品は高級志向のケースが多いのです。
しかし、ほぼ同じ機能で価格が安いものが百円均一にもある場合はどうでしょうか?
価格の安いものから選ぶ、という選択肢が取れる方が良いと考える人も多いのではないでしょうか?
相談者が金融商品を販売する人の場合、
販売者の商品ラインナップからしか、商品選択ができない
と考える方が無難でしょう。
コスト高の商品しか、取り揃えていない場合が多いのです。
資産運用の成功には、低コストのツール(投資信託やETFなど)が選べた方が、良いとも考えられるのです。
具体的な商品のアドバイスは投資助言・代理業者から
FPに相談すれば、具体的に何を買えば良いか教えてくれると思っている人もいるでしょう。
これは誤解です。
FPの資格のみでは、具体的な金融商品をアドバイス(助言)することはできないのです。
金融商品取引法では、行える業務が決まっています。
「投資助言・代理業務」が、金融商品の具体的な助言をするための登録(≒ライセンス)なのです。
日本での投資助言の専業事業者は約400者です(RIA JAPAN調べ)。
まだまだ認知度が低く、かつ受け皿としても限られた人しか利用できていない現状があります。
認定アドバイザーの業務は、個別銘柄助言は無し
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が本格的に業務を開始しました。
さて、J-FLECの認定アドバイザー業務に、具体的な銘柄の助言は含まれるのでしょうか?
事前に公表された資料から読み解くと、一般的な金融経済教育の範囲に留まり、投資助言業務は対象外とされています。
すなわち、J-FLEC認定アドバイザーも、
「具体的な商品アドバイス」は業務範囲外
だと思われます。
金融経済教育、知識向上が必要
具体的な銘柄の助言の前に、家計管理を学ぶ必要がある人々が日本では多いです。
金融経済教育は、何も証券投資に限ったことではないのです。
過去、証券業者の行う”金融経済教育” プログラムでは証券の株価予想といった内容が見られました。
これは将来の顧客の青田買い的な要素に他ならないでしょう。
一部の証券会社は「長年金融経済教育に取り組んできた」と宣伝していますが、一般投資家が学んだ方が良い知識の、証券関連部分だけを行ってきたにすぎないと思います。
日本では、金融経済教育を受けたことのある人が、まだまだ少ないです。
J-FLECには、広範な金融経済教育を促進する鍵になる組織となることを期待したいです。
さてJ-FLEC認定アドバイザーになるための募集は、実は事業開始後に開始されました。
公に募集を行う前に、特定の業界で以前より金融経済教育を行ってきた人々が、既に認定アドバイザーとして認められているようです。
何か順序が違うようで、この点に疑問を感じる人は少なくないでしょう。
研修を依頼する企業や自治体も、広範囲な金融経済教育が実際に行えるアドバイザーを選択してほしいと思います。