投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
損害保険会社大手4社で合計約250万件の契約者情報の漏洩が明らかになりました。
漏洩していたのは契約者の名前や証券番号、満期日などの情報で、
受け取った情報をもとに各社のシェアを把握したり、
効率的に自社へ乗り換えさせようと働きかけていたものと考えられます。
大手損害保険各社では、いわゆる乗り合い代理店に出向中の社員が、店で管理されていた同業他社の顧客情報を自社に送っていたほか、乗り合い代理店の社員どうしで連絡を取り合うメールの宛先に損保各社の担当者が含まれ、こうしたメールを通じて各社の顧客情報が漏えいしていたなどの問題が相次いで明らかになりました。
引用:NHKニュース 2024年8月30日
日本で軽視されがちな顧客情報管理 背景にはノルマ至上主義文化か
今回の損害保険会社の情報漏洩では、「契約期間満期の情報」が漏洩したようです。
他社の保険契約者の満期が近づくと、他社より低い保険料を提示して乗り換えを勧めていたことが報道されています。
こうした情報管理の軽視の背景には売上至上主義・ノルマ至上主義の企業文化が影響していると考えられます。
出向者の人事評価制度に「出向元会社への貢献度」の項目があり、自社のシェア拡大のため情報漏洩が黙認されていた
情報管理への認識不足、なあなあ体制に驚くばかりです。
日本の企業では飲んだ席で、お客様の情報を同僚と話すようなことが散見されます。
情報管理の面から考えると、こんな事は行うべきではないのです。
2005年時点、米系証券ではハイレベルな情報管理、厳格なコンプライアンス態勢
2005年、筆者が米系の証券に出向した時のことです。
転勤の挨拶状ハガキを出そうと、印刷屋さんから文面原稿をFAXで送った時の出来事です。
FAXを監視する役割の人がおり、挨拶状は元の勤務先の顧客情報の漏洩だと指摘されたのです。
2005年の出来事で、アメリカ系のPBでは19年前にこのようなハイレベルな顧客管理、コンプライアンス態勢を敷いていました。
富裕層から信頼されるための、ひとつの重要な観点が情報管理です。
自分の情報が、自分が知らない所でダダ漏れになる、金融機関と取引したいですか?
プライベートバンキングやウェルス・マネジメントを目指す金融機関は、
情報管理を厳格にする必要があります。
一方で、出向者が行き来する仕組みがある、企業グループ間では、
厳格な情報管理には限界があるでしょう。
プライベートバンカーが職場でイニシャルを使用する理由
筆者が以前、欧州系のプライベート・バンクに勤務していた時には
著名人、有名人を含め顧客からの電話を取次ぐ際には、名字では無くイニシャルで取り次ぎをするルールをアシスタントやパートナーと共有していました。
ある時に日系企業から転職してきた「営業員」が顧客名を誇らしく語り、「○○が客で」との話題がのぼったことがありました。
お客様を「客」と呼ぶ姿勢にも違和感を覚えましたが、情報管理の重要性に気付いていない営業員だとの印象を持ちました。
「有名人」「著名人」の情報を明かすような行為を、志の高いプライベート・バンカーや、金融の執事は行わないというのが筆者の見解です。
文章やSNSでそれとわかるような表現はしない者が、顧客の情報管理をハイレベルで考えている者の心得だと思うのです。
現在の筆者の経営会社においても、このルールは徹底されています。
筆者はSNSの類をほぼ、利用していません。
Youtubeの「所長解説のおカネ学♬」が唯一のSNSチャネルですが、資産運用の情報発信に特化したものです。
お客様との会食時の写真が、情報漏洩に繋がる可能性は皆無ではありません。
筆者はSNSの活用を諦めることで、お客様情報の漏洩防止をハイレベルで実現したいと思っています。
出向・転勤のある体制、顧客との長期リレーションに限界が
商品の販売を行う「販売者」業務で代理店へ出向するビジネスモデルで、
顧客情報管理より「出向元のシェア拡大」を優先したケースがありました。
日本の金融機関では担当者が3年程度で転勤することが多く見られました。
事業承継や、相続などの長期間対応が必要な顧客ニーズに応えることは、
3年ごとの転勤体制では難しかったと筆者はかねてより思っていました。
「信頼されるお客様想いのビジネス」
販売者の立場を脱し、
アドバイザーとして、
長期間変わらぬ体制で
顧客に寄り添う姿勢こそが、
ハイレベルな顧客本位の実現のためには必要なのです。
時には自社ビジネスに繋げない潔さも必要なのです。
例えば、相続に毎日対峙している相続特化の税理士の経験に、
社内の担当者の経験が追い付くことはカンタンではありません。
そもそも税理士資格の無い者は税務に関するアドバイス等を行ってはならないのです。
ワンストップで自社の収益に繋げようとせず、
その道の専門家に依頼し、
チーム対応で顧客ニーズに対応する方が顧客の満足度は高くなるでしょう。
銀行実務誌「日本におけるウエルス・マネジメントの課題」寄稿記事掲載
銀行研修社が発行する「銀行実務」2024年7月号に
筆者、RIA JAPAN代表 安東隆司が寄稿した記事が掲載されています。
『日本におけるウエルス・マネジメントの課題』掲載内容全文公開中
掲載された記事内容全文PDFが、下記リンク先より閲覧可能です。(発行者許諾済)
https://ria-japan.co.jp/2024/07/04/ginkojitsumu202407/
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