投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
SNS経由の投資詐欺被害が拡大しています。
有名人や経済評論家を語り、紹介された投資先に資金を振り込む事例などです。
自称アドバイザーは手元に資金を置きたがる
自称アドバイザーが、資金を受け取る仕組みが投資詐欺の遠因のひとつです。
自称アドバイザーの説明を鵜呑みにした結果、まんまとお金をまきあげられてしまうのです。
富裕層はアドバイザーと管理業者を分けて管理強化
富裕層はアドバイザーと資金管理者を分ける場合が少なくありません。
証券や資金は信託銀行や証券会社に預けるのです。
そして、アドバイザーは信託銀行や証券会社とは別の独立系と契約するのです。
アドバイザーと管理者を分けるメリットは以下です。
アドバイザーと管理者のダブルチェックで資金管理が可能
ネコババのリスクを解除できる
怪しい金融商品を排除できる可能性が上がる
コスト高の商品を売りつけられるリスクが減る
ただしアドバイザーでも、商品販売のキックバックを信託銀行や証券会社から受け取る形は、ハイレベルの顧客本位とは言えません。
顧客の利益よりも、自分の利益を優先している場合(利益相反)があるからです。
商品販売をすることが悪いわけではありません。
しかし利益相反を排除することは、販売者の形態では限界がある
のです。
アメリカでは、販売者とアドバイザーは明確に区別されているのです。
投資アドバイザーのライセンスとは?
アメリカでは「アドバイザー」と名乗る、名刺に書く、会社名にするためには
RIA(アール・アイ・エー:Registered Investment Adviser)の登録が必要です。
RIA登録者以外は、アドバイザーとは名乗れない形で、投資家の保護を図っているのです。
日本の金融商品取引法(金商法)では、金融商品等の助言は投資助言業の登録者が行う
*ライセンス保持者しかできないことです。
「有価証券の価値等」「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断」に関し、「口頭、文書、その他の方法」によって助言を行い、その対価として報酬を頂くことを内容としています(法2条8項11号)。
カンタンに説明すると
顧客に対し、有価証券の価値等を助言することを約束し、助言報酬を受けることが投資助言ということです。
*注 ライセンス表記について
日本では投資助言業の「登録」が必要となります。
「登録」と聞いても一般投資家ではピンと来ない方が多いと思います。
あえて金商法では誤った表現で説明すると、投資助言の*ライセンスを取った者が、アドバイス料を受け取れる、ということです。
FPに相談し、資産9割を失った事例も
資産運用をFPや資産運用コンサルティングに相談した結果、資産の9割を失った事件が起こりました。
そもそも、FPや資産コンサルティング会社は資産運用の個別銘柄などをアドバイスすることができない業種です。
アドバイスを適法に行い報酬を得る仕事をするには、「投資助言業」の登録が必要です。
FPや資産コンサルティング会社が資産運用で個別の銘柄を紹介し、アドバイス料などを取ることは、*2 金融商品取引法違反なのです。
*注2 投資助言登録を行っている場合は適法
画像:NHKニュース
なお、筆者は1994年からFPとして30年の経験を持っています。
FPの業務を否定するものでは一切ありません。
一方、業務範囲を逸脱した業務を行う者への取り締まりは、十分ではありません。
「投資助言業」の登録を受けていない事業者のアドバイスや、
金融商品勧誘に必要な「金融商品取引業」登録なき業者の勧誘は違法なのです。
無登録事業者を信用をしないことが重要です。
証券会社は仲介をするための情報提供で、「投資助言」ではない
多くの日本人が資産運用を相談する、証券会社や銀行の人は投資助言者でしょうか?
例外は存在しますが、ほとんどのケースは「金融商品仲介業」です。
カンタンに言うと、金融商品の販売者 ということです。
実は投資助言登録を、証券業等の登録に加えて受けている、ダブル*ライセンスのケースも多く存在しています。
しかし、投資助言のハイレベルな投資家保護姿勢を行うことは、既存のビジネス運営とは異なる顧客本位が求められ、ビジネス上収益性が下がる場合が想定されます。
*ライセンスは持っているものの、使っていないケースがほとんどだと思います。
有名人だって、投資助言は*ライセンスが無ければできない
有名人を語った成りすましの投資詐欺も驚くべき被害が出ています。
そもそも、
「経済評論家」「有名人」であっても、
お金を受け取って、投資のアドバイス*3をすることは出来ないのです。
*注3 投資助言登録を行っている場合は適法
ただし、登録保有者が無条件に信用できるわけではありません。
投資助言業者、銀行員、証券会社勤務、保険会社勤務であっても、詐欺をはたらく者はいるでしょう。
誰と付き合うべきなのか。
少なくとも、無登録事業者と取引すべきでないことは明らかでしょう。
あとは信頼できるパートナーを地道に探すことが必要だと思います。