企業型確定拠出年金運用、株式投信が初の5割越えに。 iDeCoでは外国株式への投資が拡大。預金重視から投資重視に

安東隆司

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テーマ:所長解説のおカネ学♫

企業型確定拠出年金(DC)で株式を含む投信の割合が5割を超えたことを2024年1月14日に日本経済新聞が報じました。

企業型の確定拠出年金(DC)で株式を含む投資信託の割合が初めて50%を超えた。根強い元本確保志向を背景に運用資金の受け皿となってきた預貯金は物価高で目減りリスクにさらされている。物価は上がらないという前提が変わり、約2000兆円の家計の金融資産が投資に向かっている。
2024年1月14日 日本経済新聞 「確定拠出年金の運用、株式投信初の5割 預金変調に転機

確定拠出年金の運営管理機関58社から成る「運営管理機関連絡協議会」は、2023年3月時点での確定拠出年金統計資料を公表しました。
同資料のデータを読むと企業型年金の商品選択割合で株式を含む投信の割合が5割を超えたことがわかります。

外国株式型 17.1%
バランス型 20.1%
国内株式型 12.8%
株式部分計 50.0%

(出所)運営管理機関連絡協議会 確定拠出年金統計資料 2023年3月版より


これまで、日本では元本割れのリスクを避け、預貯金を重視する傾向が強くありました。
しかし、近年の物価高を踏まえ、一定のリスクを踏まえた上で運用する姿勢が強くなっていると考えられます。
企業型DCの商品選択割合のうち、預貯金や保険に振り分けられていた割合を、2020年と2023年で比較してみましょう。

(企業型)預貯金・保険割合比較

2020年3月時点2023年3月時点増減ポイント数
預貯金      36.1%預貯金      28.3%- 7.8ポイント
保険       15.6%保険       11.4%- 4.2ポイント
預貯金・保険合計 51.7%預貯金・保険合計 39.7%- 12ポイント

(出所)確定拠出年金統計資料よりRIA JAPANが図表作成。合計・増減ポイントはRIA JAPANが算出
全体の割合で見ると、12ポイント分も減っていることがわかります。
では、株式を含む投信はどのように増えたのでしょうか。

(企業型)株式を含む投信割合比較

2020年3月時点2023年3月時点増減ポイント数
外国株式型     8.3%外国株式型    17.1%+ 8.8ポイント
バランス型    17.6%バランス型    20.1%+ 2.5ポイント
国内株式型    10.9%国内株式型    12.8%+ 1.9ポイント
株式部分計    36.8%株式部分計    50.0%+13.2ポイント

(出所)確定拠出年金統計資料よりRIA JAPANが図表作成。合計・増減ポイントはRIA JAPANが算出
こちらは全体の割合で見ると、13.2ポイントも増えていることがわかります。

個人型では外国株式型に投資する割合が大幅増加

同じ確定拠出年金制度でも、個人型の確定拠出年金(iDeCo)ではどのように推移したのでしょうか。

(iDeCo)預貯金・保険割合比較

2020年3月時点2023年3月時点増減ポイント数
預貯金      35.9%預貯金      25.6%-10.3ポイント
保険       18.0%保険        8.6%- 9.4ポイント
預貯金・保険合計 53.9%預貯金・保険合計 34.2%-19.7ポイント

(出所)確定拠出年金統計資料よりRIA JAPANが図表作成。合計・増減ポイントはRIA JAPANが算出
こちらは保険が大きく減り、合計分も19.7%減少していることがわかります。
では、同様に株式を含む投資信託の割合も見てみましょう。

(iDeCo)株式を含む投信割合比較

2020年3月時点2023年3月時点増減ポイント数
外国株式型    11.4%外国株式型    27.7%+16.3ポイント
バランス型    13.0%バランス型    16.4%+ 3.4ポイント
国内株式型    11.4%国内株式型    11.3%- 0.1ポイント
株式部分計    35.8%株式部分計    55.4%+19.6ポイント

(出所)確定拠出年金統計資料よりRIA JAPANが図表作成。合計・増減ポイントはRIA JAPANが算出
こちらは外国株式が大きく増え、16.3ポイントも増えています。
また、株式を含む投資信託の中では唯一国内株式がほぼ横ばいで0.1ポイント分減っています。
これまでの日本ではリスクを避け、預金・貯金至上主義のような価値観が強くあったと考えられます。
しかし、昨今の低金利状態では預金や貯金では資産の増加はかなり限定的です。
そこで、投資による資産運用に近年注目が集まっているのではないかと考えられます。

アメリカでは日本の預金・貯金感覚で投資をしている

これまで、資産運用に関するメッセージを数多く発信してきた筆者にとって、
確定拠出年金で投資の機運が高まっていることはとても好ましく感じます。
しかし、日本ではまだ預金・貯金を重視する風潮が色濃く残っていると感じます。
2023年11月1日に金融庁が公表したデータによると、
日本では家計の金融資産のうち、54%が現預金で、株式・投資信託等の有価証券は19%止まりです。
一方、アメリカでは家計金融資産のうち、57%が株式・投資信託等の有価証券です。家計は13%止まりです。
日本の現預金に近い感覚でアメリカの人は投資をしているということがよくわかるデータだと思われます。

こうして、投資が身近な存在だからこそ、アメリカでは1998年から2018年の20年間で家計の資産が2.7倍に増加しています。
一方、日本では1998年から2018年の20年間で家計の資産は1.4倍止まりでした。
この違いについて、運用リターンの差が背景にあると考えられると金融庁が指摘しています。
アメリカでは20年間の運用リターンが2.0倍だったのに対して、
日本では20年間運用リターンは1.2倍しかありませんでした。
(出所)金融庁 2019年 人生100年時代における資産形成より

これからの人生でおカネと向き合っていこう。と考えてみた時。
自分が働いて得る勤労所得だけでなく、おカネに働いてもらう財産所得・資産所得を増やすというのも一つの手法ではないでしょうか。

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* 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
本記事は信頼できると判断された情報等を基に作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

安東隆司プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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