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2023年12月08日早朝、ドル/円為替で一時141円台がありました。
前日の2023年12月07日のTTM(仲値)が147.17円でしたので、1日半ほどで5円以上の円高進行という急激な変化が発生しました。
(過去の為替水準は 三菱UFJリサーチアンドコンサルティングのデータより)
税務に詳しい富裕層は、外貨保険や外貨預金を利用しないケースが多く見られます。
富裕層はグローバルに運用を展開しています。
為替が円高に振れた場合でも合理的に為替差損を活用する方法を知っているからです。
■円高の為替差損の対処法とは?
円高で為替差損を含んでいる場合に、その為替差損にあたる部分を「損益通算」できる可能性があります。外国株式等(海外ETFや外国株式等)に投資をしている場合です。仮定として、米国市場の海外ETFの円高対処の事例を考えてみます。(数量はわかりやすさを優先し「株」という表現とします)
2023年11月10日 USDJPY(TTS)=152.43、(仮定)プライス30ドル、2187株
購入時の日本円ベース(円評価)は152.43×30×2187=約10,000,932円
購入時の円換算の金額は、「購入時のTTS為替×ドル建て金額」です。
2023年12月 (仮定)USDJPY=142.43、プライス30ドル、2187株
売却時の日本円ベース(円評価)は142.43×30×2187=約9,344,832円
売却時の円評価の金額は、 売却時のTTB為替 ×ドル建て金額です。
日本円ベースでは、「譲渡損失:656,100円」となります。
ドル建ての投資をベースにしている富裕層はこの実現損失については寛容です。
理由は、このケースではドル建ての金額が変化していないからです。
ドル建て金額は 30ドル×2187株と変化していません。
ドル建ての評価で何ら損失が出ているわけではないのです。
(投資商品の価格が同じ30ドルであったとの仮定)
そして、この「656,100円」の
為替差損は、他の上場株式等の配当や譲渡益と損益通算の対象になります。
日本上場株との損益通算も可能です。
為替差損を「株式等の譲渡損失」として計上することが可能と考えられます。
さらに配当や分配金で課税されていた20.315%(2023年12月現在)の源泉徴収部分との損益通算で結果的に税金のメリットを享受できる可能性があります。
そして、株式の売買手数料はかかってしまうものの、翌営業日以後に30ドルの価格で、2187株を買い戻すと、ドルベースのポートフォリオの変化はほぼ、ありません。(為替の変動リスク、価格の変動リスク、タイミングによる配当落ちリスクを除く)
■外貨預金の為替差損は証券と損益通算不可
勘違いして頂きたくないのは、外貨預金では別の計算方法になるということです。
外貨預金の税金は利息部分について20.315%(2023年12月現在)の源泉徴収となります。
為替差損が発生した場合は、「他の雑所得」としか損益通算ができません。
外貨預金や外貨保険の外貨運用では
証券関連の利益と損益通算ができないのです。
投資家は金融を使いこなすチカラ、知識を充実し、富裕層やプロが資産運用に採用しているグローバルな視点からの運用方法、為替の対処法を参考にして欲しいと思うのです。
(本件は一般的な税務の考え方を示したものであり、具体的な税金の事柄につきましては税理士、会計士等税務専門家にご確認下さい。個別の税務に対する質問や相談には法令遵守の立場から回答を控えさせていただきます)