企業型DC、高止まりの商品ラインナップ見直しが遂に進むか?
テレビ東京系列で「大学ファンド」の理事長インタビューが放映されていました。
・初年度は604億円のマイナス
・運用は4.5%を目指す
・オルタナティブ投資なども組み込んでいく
とのインタビュー内容でした。
大学ファンドの運用内容で「それはどうなのかな?」と思う面が様々あります(私見)。
Q 運用で4.5%を目指す?
金利が上昇してきた今では、達成可能性はあろうと思います。
しかし、長らく世界中で低金利の環境の中で、長期間安定的に4.5%を達成することはそれほど簡単ではないとも考えられます。
Q なぜ為替ヘッジを多用したのか?
為替の円安が進む中、為替のリターンプラス効果を得られない、
為替ヘッジの利用には違和感を感じます。
「為替ヘッジ付き外債」がセールスされていた時期がありました。
円債よりもリターンが高そうに見えた時期もありました。
為替ヘッジにはコストがかかります。
金利水準の変化によって、得られる配当等をはるかに上回る、
ヘッジコストがかかる場合があることを予見できなかったのでしょうか?
Q なぜ、あるべき姿のリファレンスポートフォリオと全く違う、債券多用なのか?
2030年に完成を目指す、リファレンスポートフォリオの姿は株式が65%、債券35%です。
しかし、初年度のポートフォリオは債券に54.6%を投じています。
本来、目標とするポートフォリオでの債券への配分が35%であれば、54.6%を債券に振り向けることはレファレンスを無視したリスク許容とも考えられます。
2022年前後の市場関係者の相場見込みはこのようなものでした。
「2023年前半は株式市場は大幅に下落。2023年後半に回復」
株式は下がりそうだから、債券運用を増やしてタイミングを見て株式に投資しようとのシナリオに乗ってしまったのでしょうか?
結果は2023年早々から株式市場は上昇し、また金利上昇で債券価格は大幅に下落。また為替は円安進行で為替ヘッジコストは増大という、大学ファンドが考えたであろうシナリオとは全く異なるものとなったと考えられます(私見)。
Q リスクコントロール体制は?
為替ヘッジの多用
リファレンスよりも高い債券への配分
流動性の少ないオルタナティブ等への投資
これらの観点からは、2022年度はリスクコントロール体制が十分に機能したとは言いにくいでしょう。
4.5%というリターン目標を達成すべく、比較的高いリターンを目指すオルタナティブや信用度の低い商品への投資にシフトしないのかなど、心配な部分があります。
なお、日本人は「権威付け」を過度に信頼してしまう傾向がある気がします。
・有名大学、大学院出身
・大手金融機関出身
・過去の肩書き
しかし、ノーベル賞を受賞したドリームチームの運用も、過去に破綻しています。
資産運用の成果はかつての学歴よりも、マーケットを見つめ続けている経験や知識、構造的に低コストツールを利用できる環境などの方が重要であると筆者は考えています。
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以下は過去のYouTube動画や、マイベストプロのコラムです。
2023/08/25
大学ファンド収益率-2.2% GPIF収益率+1.5% との差の理由とは?
https://www.youtube.com/watch?v=nPUamOgcieY
2023/07/10に
大学ファンド収益率マイナス2.2%、GPIF+1.5%と明暗を分けた理由は?【1】
https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5139905/
2023/07/28に
大学ファンド収益率マイナス2.2%、GPIF+1.5%と明暗を分けた理由は?【2】
https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5141144/
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