日本での運用コストETFは0.3%、アクティブ型投信1.14%。ETF キーワードは低コスト、透明性、RIA
「新しい資本主義実現会議」(首相官邸主催)が企業年金の運用の見える化の議論を開始します。
米国や英国では、企業年金が監督省庁に提出した「年次報告書」が、ホームページで広く一般に公開されています。
一方、日本では一部基金を除いて公開されていないのが実情です。
金融庁は投資信託の分野で「見える化」に着手しました。
現在では、金融機関が運用顧客のプラスの割合を公開するケースが増え、結果的にコスト高の商品の見直しにつながってきた経緯があります。
企業年金分野でも、リターン向上の実現を目指すことにより、従業員の豊かな老後の実現の補助としたいのだと思われます。
日本の企業年金の現在の問題点は?
日本の企業年金制度には現在、様々な問題点・課題点があります。
・情報公開が不十分
・運用専門家が不在のケースが多い
・金融機関にお任せで、コスト高の商品選択にメスが入らない
・従業員のための金融経済教育が不十分
・企業年金担当者は運用の知識・経験豊富なプロ人材ではないケースが
一流のPBの企業型DCですら、ポンコツ商品オンパレード
筆者自身は「企業型DCのひどい商品ラインナップ」を経験しました。
1億円以上の富裕層の運用だけに特化した、外資系プライベートバンクですら、企業型DCはポンコツだったのです。
・低コストのインデックス型の商品がほとんど選べない
という一言で言い表せます。
お客様には低コストのETFなどを運用に用いていたプライベートバンク。
一方、従業員の年金運用ではコスト高のアクティブ型が多く、低コストのインデックスは選択できなかったのです。
企業型DC担当の総務担当は、運用の経験が不十分で、取引金融機関にまかせっきりだったのです。
以下は2023年3月3日の筆者のコラムを再掲します。
『企業年金の運用、企業自身も責任を負う時代に』
金融庁は企業年金の運用について企業自身も責任を負うように初めて法律で義務付ける方針だ。これまで信託銀行などの金融機関に任せる企業も多かったが、専門家をそろえた運用体制などが求められる。年金加入者の利益を最優先するよう広く企業を含め運用の受託者としての責任を明確にし、民事上や行政上の責任を負わせる。資産所得倍増に向けて年金運用の改善につなげる狙いだ。
2022/12/05 日本経済新聞 「年金運用、企業にも責任 来年法改正へ 金融機関任せ脱す」
企業年金の運用の改善はもちろん重要です。かつて1300億円を蒸発させた投資詐欺事件もありました。透明性や流動性、低コストがキーワードになるでしょう。
企業年金運用に加えて従業員のDCプランについても改善が必要です。
企業型DCプランでは、従業員にとって不利になる、高コスト商品が並んでいるケースが多いことをご存知でしょうか?
コスト高要因で、結果として成績が悪くなり、従業員の年金が増えないケースが多いといえるでしょう。
米国では実際に、従業員などが将来の年金の運用について訴える事例があるようです。
従業員のために、最善の利益を追求する姿勢が、企業年金の制度設計をする企業にも必要だと考えられているのでしょう。
無料の社員教育が、コスト高運用の要因に
企業の総務や人事など、年金制度担当者は、どんな制度が良いのかを判断できるプロでない場合が普通でしょう。
「企業年金の制度担当となるために、この勤務先に入った」人などはいない場合がほとんどだからです。
ならば、取引している金融機関に研修は任せてしまおうとなります。
金融機関は無料で従業員向けセミナーを引き受けます。
タダより高いモノはない!
タダでセミナーを引き受ける犠牲になるのが、「従業員の商品ラインナップ」なのです。
無料セミナーを行う企業ならば、商品のラインナップも金融機関にお任せとなる場合が多く、結果として高いコストの商品で従業員が運用せざるを得なくなってしまうのです。
企業は従業員に訴えられないための努力が必要
企業が今後意識しなければならないことは何でしょうか?
・企業型DCや年金運用で、「良い」と思える商品を選択する
・従業員向けの研修を充実し、従業員の満足度を向上させる
ということなると思います。
経営者の方々が問題意識をしっかり持ち、制度の見直しを行うことで、結果的に従業員満足度の向上に繋がるのです。
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