資産運用をする前に読んで欲しい おカネ学 コラム目次
世界でETFの市場の広がりが報道されています。
運用残高は6月末時点で10兆5100億ドル(約1500兆円)と、過去最高を更新した。
日本経済新聞 2023/08/13 『世界ETF残高、最高10兆ドル 相場急変時も機動的に売買』
ETFの専門家として、少々細かい内容の補足をいたします。
この報道で言うETFは、「広義のETF=ETP」です。
ETF(上場投資信託Exchange Traded Funds)に加えて、
ETN(Exchange Traded Note:Noteは債券)や
Exchange Traded Commodities:コモディティは商品)があります。
ETFにETNやETCを加えた、上場金融商品を束ねたものが
Exchange Traded Products=ETPです。
2023/06/30に 資産規模10.5億ドルとなったのはETPです。
ETFの資産規模は10.2億ドルでした。*1
ETFは多くの投資信託よりも低コストです。
しかしETFは金融機関から勧められることが少ないのです。
理由は、
投資信託では販売者に手数料が支払われているのですが、
ETFでは販売委託料がゼロなのです。
しかし販売手数料の一部を受け取る、販売者は自分にキックバック(収益還元)のないETFは顧客に勧めないのです。
顧客の低コストよりも、販売者としての立場が重要だからなのです。
ほとんどの金融機関の担当者は、「販売のプロ」であっても、
「資産運用のプロ」ではないのです。
販売者の収益は、金融商品の手数料収益を始めとして
金融機関から支払われています。
金融機関に利益のある高コスト商品や売買頻度を増やすことで、彼らの収益が増える仕組みなのです。
注意点は、資産運用をする投資家の運用コストが大きく膨らみ、資産が目減りしやすくなることです。
大きな問題となっている「仕組み債」の問題も、販売者の収益追求が要因のひとつであるとも言えるのです。
リスク許容度の低い顧客にも、仕組み債販売を行った販売者の倫理観。
販売者を信じて良いのか、改めて問われています。
一方、フィーベース型では、
契約資産残高に連動して報酬額が決定されます。
高コスト商品のアドバイスをする理由がなくなり、
本当に必要な商品を必要なタイミングでアドバイスすることが可能となるのです。
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世界では「販売者」から「アドバイザー」へのシフトが
アメリカではRIAの人数は6万6千*を超えました。
登録が必要ないIC(Independent Contractor 日本でいうIFA)の6万1600*よりも多くなったのです。
*「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究」金融庁(2019年7月)。RIA登録者合計数はRIA JAPAN算出
イギリスなど、世界中で手数料(コミッション)受取りが制限され始めています。
世界的に手数料ビジネスからフィーベース型へのシフトが進んできているのです。
日本の状況をみると、投資助言業登録は974事業者*しかおりません。
その中でも助言業専業の事業者は408事業者*しかおらず、日本での知名度は高いとは言えないのが現状なのです。
*金融庁公表データ2021年5月より。重複除くデータはRIA JAPAN調べ
近年金融庁では「顧客本位の業務運営」を普及すべく金融機関に働きかけを強めています。
フィーベース型ビジネスは、投資家が運用成功し契約残高が増加することでアドバイザーの報酬も少し増える仕組みです。
つまり、WIN-WINの関係が築きやすい構造といえるでしょう。
資産運用で相談相手を探している人は、事業者の収益がどのように発生しているのか、その仕組みについてを知ってほしいと思います。
その上で、あなたが信頼できるアドバイザーを見つけてほしいと思います。
東証マネ部!にて日本のRIA事業者を初の採り上げ
東証マネ部!にRIA JAPAN代表 安東隆司のインタビュー記事が公開されています。
東証マネ部!に日本のRIA事業者が採り上げられたのは初めてのことです。
東証マネ部!「対価をもらうからこそ、顧客の立場でアドバイスができる」。RIA(投資助言業)のメリットとIFAとの違いとは
*1 『世界ETF市場規模は1,468兆円! 16年半で17倍以上に増えたETFの特徴とは?』世界ETF市場は1468兆円!16年半で17倍以上に増えたETFの特徴とは?
*本コラムはアメリカのRIAや日本の投資助言業の解説と、TVで放送されたRIAに関するインフォマーシャル番組の紹介です。
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