企業年金の運用、企業自身も責任を負う時代に
投資情報やSNS動画で様々な情報提供が成されています。
SNS等の情報を10.3%の人が「投資の相談先」としていました。
データ:日経CNBC 『投資家サーベイ「投資の相談先は?」』、【YouTube、Twitterなどの情報発信する人】が10.3% 2023/07/05
SNS等の情報を活用する上で、注意すべきことがあります。
その、情報はセールス目的でないですか?
2023/07/14、日経新聞のFinancial Timesの記事『アナリスト、問われる真価』でブルック・マスターズ氏はいくつか問題点を挙げています(筆者がポイント抽出)。
・アナリストの情報、調査結果がマーケティングの道具に
著名アナリストに好意的なリポートを出させることで、ビジネス獲得
株式や債券の多額の取引注文、回転売買にリポート利用
・書いている本人は、真意で推奨していなかった
推奨銘柄をホンネでは「火薬庫」「クズ」などと呼んでいた事実があった
売買を活発にさせる
販売などに有利な情報を、アナリストに書かせる
アナリストはホンネではその銘柄は「クズ」だと思っていた
リタイア医師向けYouTube情報は誰のため?
お客様から、ある動画をどう思うかと意見を求められました。
リタイアした医師の資産運用方法を語った動画でした。
外債販売目的の販売者のための動画?
その動画を見ると、「販売者のためのセールス動画」である印象を受けました。
「販売者でない投資助言業者」である筆者が感じた、疑問点・意見を列挙してみます。
・個別の外債を盛り込む
→ 顧客がわからないコストがある、個別の外債をなぜ使うのか
→ コストがもっと透明な商品があるのでは?
→ 個別債券は将来、換金性に難がある(相対取引)
・個別外債で数十銘柄の分散?をしている
→ 5%のロスが発生した場合のダメージは大きいと考えないのか?
→ もっと換金性、分散に適した商品であるETFがある
→ どうしてETFを使わないのか
・リスク許容度の判断は「平均」で良いのか
→ 高いA格付けなどもあり、ジャンク級を含めて 平均で投資適格?
→ そもそも、ジャンク級を除外するという考え方をしないのか
→ 格付けで「平均」はリスク許容度に見合うのか?
・リスクとリターンに改善余地がある
→ ハイイールド(ジャンク債)を組み込むリスク許容
→ ETFを活用すれば、同じリスク許容なら、計算上もっと高いリターンが見込めると考えられる*
*高いリターンを将来にわたって確約するものではありません。
販売者は、売ったり買ったりすることで、収益を上げる構造です。
顧客のために、最善と思われる商品を勧めている訳では必ずしもないのです。
事例の数十銘柄の分散と、1000以上の銘柄分散。
隠されたコストのある社債と、全面コスト開示の透明性があるETF。
どちらが投資家に有利か、改めて考えてみてほしいと思います。
我々は投資家のために、ETFを活用する方が合理的だと考えています。
ETFを売っても儲からない、販売者はETFに興味がないのでしょう
近時のAT1債、仕組み債(EB債)問題を考える
クレディスイスのAT1債が無価値化し、その全てを失った投資家がいました。
また、EB債という仕組み債の1つのジャンルで、とても大きな金額を失った投資家もいました。
販売者も「理解していない」か、「わかっていて語らない」
AT1債もEB債も、販売者自身がリスクを正しく理解していたとは限りません。
社内での研修の講師は、その商品を売りたい人で、リスクを積極的には開示したくはないのです。
リスクを強調すれば、その商品を売ってくれる人が減ってしまうからです。
販売に携わった人々も、十分なリスクについての説明を受けていない場合もあったと想像します。「知らなかった故の販売加担」となってしまったケースもあったでしょう。
販売者と付き合っていれば、商品を販売される前提を覆すことは、ほぼ不可能でしょう。
そして、販売者自身がリスクを正しく理解せず、「商売のため」に高いリスクを顧客に取らせるケースは今後も続くでしょう。
アメリカなどでは、アドバイスは「販売をしない、中立な立場のRIA≒投資助言業者」に依頼することが増えていることも知ってほしいと思います。
* 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
本記事は信頼できると判断された情報等を基に作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。
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