投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
資産10兆円規模の「大学ファンド」の2022年度運用実績が発表となりました。
収益率はマイナス2.2%(*時間加重収益率 以下▼2.2%と表現)。
GPIFが同時期リターンで+1.5%となっています。
*一部報道で元本比▼0.6%との表現があるが、これは総合収益額ベース。【総合収益額は、実現収益額(簿価ベース)に評価損益額の増減等(時価ベース)を加味した収益額(運用手数料等控除前)】
大学ファンドが公表している資料で時間加重収益率では下記図表のとおり▼2.2%となっている。
【時間加重収益率は、キャッシュフロー(運用元本等の流出入)の影響を排除し、時価に基づき算出した収益率(運用手数料等控除前)】
なお、GPIFの収益率1.50%は時間加重収益率【資産全体及び各資産別の収益率は時間加重収益率(運用手数料等控除前)】
大学ファンドの収益率・収益額公表データは?
助成資金運用の収益率は-2.2%、収益額は-604億円となりました。その内訳は下表のとおりです。外国債券等の購入にあたり為替変動リスクを回避するため、一部の為替取引においてヘッジ取引を実施しました。ヘッジしたことによる損益は、グローバル債券に反映させています。
出所:国立研究開発法人科学技術振興機構 『2022年度業務概況書国立研究開発法人科学技術振興機構-大学ファンドの運用状況等』 P25 4運用実績 [2]収益率・収益額 ①2022(令和4)年度の収益率・収益額
グローバル債券 ▼2.2% グローバル株式 +1.7% オルタナティブ ▼4.5%で全体では▼2.2%となっています。
GPIFのリターンは+1.5%
GPIFの2022年度の運用リターン結果は、収益率+1.50%、収益額2兆9536億円でした。
データ GPIF 2023/07/07公表
GPIFの2022年度でカテゴリー別のリターンは、
国内株式 + 5.54% 外国株式 +1.84% 外国債券 ▼0.12% 国内債券 ▼1.74%
GPIFの運用では株式の上昇で債券のマイナスをカバーした2022年度でした。
債券リターン、▼3.6%の大学ファンドと約▼0.9%のGPIFの差は?
同じ時期の運用で、債券運用のリターンが異なっています。
大学ファンド: グローバル債券 ▼3.6%
GPIF : 外国債券 ▼0.12%
GPIF : 国内債券 ▼1.74%
大学ファンドは、外国債券+国内債券を含めて「グローバル債券」と分類しています。
一方GPIFは、外国債券と国内債券をそれぞれ発表しています。
仮に概算でGPIFの「グローバル債券」を(外国債券+国内債券)÷2とすると、
(▼0.12%+▼1.74%)÷2=約▼0.93%
と考えられます。
同じ債券の投資で ▼3.6%と、約▼0.9%と、リターンの差が出ているのです。
為替ヘッジにもコストがかかる。ヘッジで大幅マイナスに
「為替リスクが怖い」ので、為替ヘッジをすることが安全な運用 と勘違いしていないでしょうか?
円ヘッジは▼8.8%と、円建て1.2%よりも
大幅にリターンが悪化してしまった
のです。
2国間の金利水準が大きくなった局面では、為替ヘッジコストが大きく、リターンを下げたのです。
出所: P25 前出に同じ
同じベースの指数で、それぞれ65:35に配分して比較をしたものです。
為替ヘッジの有る、無しでリターンが10%違ってしまったのです。
為替ヘッジを利用した方が、この期間においてはリターンが大幅に悪かったということがおわかりいただけると思います。
安全運用なら債券、安全運用なら為替ヘッジ、と考えると、このような結果となることもあることを事前に知っておくべきなのです。
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