生保も損して売った「為替ヘッジ付き外債」。2019年にヘッジコスト注意を説明した内容は?
金融庁公表資料で「EB債を購入する意義はほとんどない」と、仕組債について記述があります。
2022/05/27に公表された、『資産運用業高度化プログレスレポート2022』に記載されている内容を紹介し、解説します。
…サンプルの中には、僅か3か月で元本の8割を毀損した例もあり、リターンの分布を見ると、頻度は少ないものの損失率の裾野が広い。リスク(分布の標準偏差)は相応に高く、…
(解説)
仕組債には色々な種類がありますが、EB債(他社株転換可能債)の事例で、3か月という短期間で元本の8割がマイナスになったというものです。
商品特性上、株式との相関が強い一方で、リスク・リターン比は劣後するため、株式に代えてEB債を購入する意義はほとんどないと考えられる。
(解説)
EB債では株価の値上がりに期待するものです。例えば3つの株式の価格の推移で、最も悪かった株式で償還されるケースでは、2銘柄の株価が+50%、+30%でも、1銘柄がマイナス80%なら、その下がった株式でマイナス80%で手元に戻ってくるといった仕組みです。それに高いコストが加わっているのですから、EB債購入する理由はほとんどないと説明しているのです。
…実現満期が0.6年程度と短いため、実質コストを年率換算すると8~10%程度に達すると考えられる
(解説)
EB債の実質コストは、『投資元本に対して平均して5~6%程度と推定される』のですが、運用期間終了までが0.6年(約7.2か月)で5~6%程度を支払うため、1年で2回以上、実質的なコストを支払います。年率に直せば約8~10%の実質コスト支払いとなるというのです。
仕組み債を購入した人々は、このような高いコストを実質的に支払っていることを知っているのでしょうか?
セールス担当者からこのような手数料の説明があったでしょうか?
販売者はセールスに役立つ情報はセールス時に伝えます。一方、不都合な事実については、わかっていてもワザワザ伝えないでしょう。
あなたが相談している人は、実際は販売者というケースがほとんどです。
そして販売者は、「中立なアドバイザー」とは違うのです。
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