投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
運用益のみならず、拠出額が全額非課税となる確定拠出年金。
個人で加入できるiDeCo(個人型確定拠出年金)や、会社の制度で加入できる企業型DCがあります。
会社の制度で加入する企業型DCは加入者750万人*を超えて広がりを見せています。
(*2021年3月末時点 企業年金連合会「確定拠出年金統計資料」7,502,164人 より)
企業型DC、商品ラインナップ選定は企業側。問題のあるラインナップも
最先端運用のプライベートバンクのお粗末な企業型DC
「こんなコスト高の投信、賢い投資家は買わないだろう」と思われる商品がリストの上位に掲載されていた――。
筆者は以前、外資系プライベートバンクで世界の最先端の運用を取り扱ってきました。
しかしその勤務先の企業型DCラインナップは「お粗末」としか言えない状況でした。従業員が失望する内容でした。
ラインナップされた投信の信託報酬は税抜きで、1.74%、1.53%、1.50%、1.00%といった具合でした。
救いは信託報酬0.40%未満のインデックス商品が3本のみあったことです。
当時の経費率0.25%のインデックスでも依然コスト高の印象はありました。どれも積極的には選ばない内容ですが、仕方なく限られた選択肢から選択せざるを得ない状況でした。
企業型DCでは、社員は取引金融機関を選べません。
ラインナップの内容も企業が定めたプランから選ぶしかないのです。
商品ラインナップ見直し事例 日経新聞より
企業型DCで社員想いのラインナップ見直しをした事例が日本経済新聞にて紹介されていました。
「18本あった運用商品を19年に半分の9本にした。選択肢が多すぎると逆にきちんと選べない」
「見直し後の9本中4本は国内外の株や債券の指数に連動するインデックス型投信」
「アクティブ型は見直し前の2本からゼロにした。コストに見合う収益でなかった」
「元本確保型は見直し前の8本から定期預金1本にした。選択肢が多いと勧めているように誤解されかねない」
「商品を選ばない人に適用されるデフォルト(初期設定)商品は、従来の定期預金から、見直しの際に追加した低リスクのバランス型に変更した」
2022/01/24日本経済新聞「確定拠出年金、道半ばの20年 識者4人に聴く」 日立製作所 人材統括本部部長 小林由紀子氏のコメントから一部抜粋
どのポイントも、筆者が確定拠出年金の商品選択時に考えてほしい事柄と一致する内容です。
企業型DCのラインナップ決定者に、このような社員想いの人事・総務担当者が在籍していると、社員の資産形成にメリットがあることは間違いないでしょう。
企業型DCと経理担当の孤独 救えるのは経営者
金融機関としては、企業型DCの商品ラインナップにできるだけ高いコストの投信を入れたいのが本音でしょう。
何を選んでよいのかわからない従業員がリストの上の方から選んで、コスト高=金融機関の収益性高の商品を選んでくれれば儲けものだからです。
また、本来あってはならないことですが、金融機関が融資先に対して「優越的な地位を利用」して、コストが高めの商品中心にセールスしてきたら、経理担当者はNOと言えるでしょうか。
融資を受けられないという事が死活問題になる企業であれば、経理担当者は金融機関との関係悪化を回避しなければなりません。
従業員のお金で、少額の事でもあるし、「まあ、いいか」として受け入れてしまっていてもおかしくないでしょう。
そして、多くの経理担当者は運用商品のプロではありません。
「金融機関の提案通り」であれば自らリスクを負う事はありません。
従業員の退職金運用は、従業員が望まない高いコストにさらされている可能性があります。経営者は従業員の将来の資産形成のために気を配るべきでしょう。
従業員のモチベーションが上がる会社を作れるのは、最終的には社員想いの経営者ではないでしょうか。
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