投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
2022年1月24日に日本経済新聞電子版に「運用のアドバイザー、誰が味方か 見えづらい顧客目線」という記事が掲載されました。
独立系アドバイザーとして「ファイナンシャルプランナー(FP)」「金融商品仲介業者(通称IFA)」「商品を売らず助言料をもらう投資助言業者」を紹介しています。
最近注目のIFAは玉石混交。金融庁問題視の仕組債を何度も勧めるケースも
近年注目を集めるIFA。
IFA(独立系金融アドバイザー)という呼称は業界の自称。法律上はあくまで金融商品仲介業者だ。銀行・証券などと契約して株や投資信託を顧客に仲介、販売手数料や信託報酬の一部を金融機関からもらうのが基本。手数料の厚い商品を売ればもうかる構造は金融機関と同じだ。
(一部引用。太字はRIA JAPAN加工)
また記事内では「複雑な金融派生商品(デリバティブ)を組み込んだ「仕組債」をIFAから何度も勧められた」事例を紹介しています。
仕組債については2021年の1年間で12億円超の損害賠償請求がFINMACに寄せられていることがわかっています。近年では金融庁から是正を促す内容が公表されています。
金融庁はIFA=「独立系金融アドバイザー」と公式に使わない
金融庁幹部は「金融商品仲介業者は玉石混交。『独立系金融アドバイザー』という通称は、彼らすべてが顧客本位であるように誤認させるので、金融庁としては公式に使わなくした」と話す
FPの中には多額の手数料を目的とする例も
記事内では、ファイナンシャル・プランナー(FP)も、商品販売が目立つことが採り上げられています。
相談客に手数料の分厚い保険商品を過剰に買わせ、保険募集人として多額の手数料を得る例はよく指摘されてきた
「安定収入が得られる」としてFPが賃貸住宅業者を紹介する例もあるようです。住宅は単価が高いため、数%のキックバック(紹介お礼)が数十万円になる事例が紹介されています。
本来のFP倫理では、自ら顧客に開示が必要
FPの会員倫理規定では、このようなキックバックなどを得る場合には、FPが顧客に内容を開示する義務があります。
しかし、販売サイドから収益を得ているFPの場合、正直に開示しているとは限らないようです。
FP資格のみで金融商品のアドバイスはできない
金融商品などの投資判断に関して、助言を行うことができるのは投資助言・代理業の業務範囲です。
つまり、個別の金融商品に関する助言は、法令上投資助言業者です。
(金融商品仲介業者は商品仲介目的で、個別商品の情報提供を行うことが認められています)
FP資格のみで投資判断などの助言を行っている場合は、法令違反です。
販売者側でない 投資助言者=RIA
顧客からの投資助言料(投資顧問料)を受け取るのが、投資助言業者、RIAです。RIAとは職業の名称で、Registered Investment Adviser、直訳すれば 「登録を受けた投資アドバイザー」となります。日本では内閣総理大臣登録を受けた者で「投資助言・代理業者」となります。
金融商品の販売にはタッチせず、運用残高に応じた一定比率のアドバイス料(フィー)を受け取るケースなどがあります。
手数料・キックバックを受け取らないアドバイザーが世界基準
IFAやFPで、金融機関等の手数料収益の一部をキックバックとして受け取る形では、顧客の味方でないケースが十分考えられます。収益があがる商品を勧めることが、販売者の利益になるからです。
顧客の資産運用の成功に繋がる商品よりも、手数料収益などが見込める商品を勧めるのです。
英国ではアドバイザーが金融機関から収入を得ることを12年末に禁止、顧客からの報酬しか得られないように変えた。利益相反が大きく軽減した一方、アドバイスを受けられるのが富裕層中心となる弊害も一部指摘される。しかし「誰が味方か見えづらい」状況が続くのなら、英国型の思い切った改革を求める声も今後増えるかもしれない。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
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