投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
金融庁が外貨建て保険の「見える化」を販売者に求めます。
共通の指標(共通KPI=重要業績評価指標)で、利用者が比較できるように促すものです。
・運用実績の高い商品をどの程度顧客に提供できているか
・保険会社が販売代理店に支払う手数料に対して顧客がいくらリターンを得たか
という2つの指標を開示するように求める、と日本経済新聞では報じています。
日本経済新聞 2022/01/19 『外貨建て保険に共通指標 金融庁、運用開示求める』
外貨建て保険では、40%がマイナス運用?
金融庁が一部の金融機関の数値を取りまとめた結果、
【外貨保険】40%がマイナス運用、60%がプラス運用
となっていました。
出所:金融庁「外貨建保険の販売会社における比較可能な共通KPIを用いた分析」<対象:主要行等9先、地域金融機関25先> 2022年1月18日
単純な比較はできないものの、投信ではマイナス運用は16%でした。
【投資信託】16%がマイナス運用、84%がプラス運用
出所:金融庁 投資信託の運用損益別顧客比率
なお、外貨保険の調査基準日は販売会社によって異なり、2021年6~11月末のいずれかで、一部の金融機関のデータでした。
今後は共通KPIを求めることで、比較可能な「見える化」されたデータを目にすることが期待されます。
外貨建て保険、苦情が背景に
直近ではなく、2019年度のデータを紹介します。
外貨建て保険の苦情が2822件、当時の過去最高で前年比1割増加
「為替変動や元本割れのリスクを十分に知らされなかった」など高齢契約者らの苦情が絶えない
出所:朝日新聞デジタル 「外貨建て保険、苦情が過去最多 預金感覚からトラブルに」 2020/07/29
今回の外貨建て保険の「見える化」導入には、消費者の苦情が背景にあったものと思われます。
投資家、消費者の味方になった金融庁
旧大蔵省時代には、金融機関は護送船団方式で守られてきました。
金融庁になった後、金融機関を守る姿勢からの変化がみられました。
近時の「つみたてNISAの口座数増加」は金融庁が投資家の資産形成をサポートしてきたひとつの成果です。
また「情報開示」、「情報の見える化」をプロである金融機関は行うべきだという、投資家を守るための方針転換があったともいえるでしょう。
それが「顧客本位の業務運営」という言葉に集約されています。
今後も更に、投資家・消費者がより良い資産形成・資産運用を、行うことができるこれまでのような改革を、筆者は金融庁に今後も期待しています。