投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
セミナーや討論会で金融機関が語る情報に様々な問題があります。
しかし、投資家サイドは誤解したままになってしまう…。
こんな事例をよく目にしています。
顧客に誤解させた情報で集客や契約をしたとします。
しかし、いずれ情報の不正確さに気付いた顧客は失望します。
これは、ハイレベルな顧客本位とはほど遠いでしょう。
金融庁の警鐘 気をつけてほしい事例
金融庁の審議官が金融商品について、このような内容を語りました。
「友人や両親、親戚に自信を持って勧められるものなのでしょうか」
・ファンドラップの平均パフォーマンスはバランス型投信と比べて劣後(パフォーマンスが低い=リターンが悪い)
・なんちゃってアクティブ運用 =クローゼット・トラッカー
報酬はアクティブ運用の高いコスト、運用の中身はインデックス運用に似通っている
・なんちゃってESG投資 =グリーンウォッシュ
本当にESG投資と言える内容なのか、疑問を感じる商品が
・一物多価のファンド
企業向けの商品は同じインデックス型商品であるが、コストが高い
「なんちゃって」はわかりやすさを求めた表現で、RIA JAPANが加筆した内容で金融庁のレポートの中の表現ではありません。
これらは2021年6月25日に金融庁が公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2021」に記載されている内容です。
改善しているのか? 金融機関の行動を読み解く
このレポート公表から、5か月を経とうとしていますが、「相手にわからなければ、このくらい良いだろう」と思っているのか、顧客に誤解させるようなセールストークをしている金融機関が見受けられます。
投資家の方々にはわかりにくい、金融機関の説明の問題点を紹介していきたいと思います。
ファンドラップの説明資料「ラップ・フィーは考慮していない」
ファンドラップの商品紹介に登壇した、大手証券会社の資料は誤解を招く資料でした。
商品のモデルポートフォリオ(積極型のリターンは〇%)を説明する資料ですが
「ラップ・フィーは考慮していない」
というものでした。
投資家が実際に運用する場合を説明してほしい
ファンドラップには ラップ・フィー(運用管理費用)と、投資信託の信託報酬の両方の費用が実際にはかかります。
しかし、証券会社の説明は、実際にかかる費用を考慮した図になっていないものを、堂々と公表していたのです。
もちろん、投資である以上、リターンは見込みであって確定ではありません。
だからといって、実際にはかかる「ラップフィー」を除いた成績を、あたかもファンドラップ全体の成績のように説明するその姿は、顧客に寄り添う「顧客本位」とは全く異なると感じました。
投資家の方々には、「大手金融機関だから大丈夫」といったイメージを今一度、見直していただきたいと思います。
なお、このコラムは、個別の金融機関を攻撃する目的ではありません。
金融のプロとアマチュアである投資家には、情報の格差があります。
金融機関には顧客に寄り添う姿勢を期待しています。
投資家には、金融機関のセールストークで注意すべき事例があるということを、知っていただきたいと思います。