ビットコイン現物ETF承認、一時Xアカウント乗っ取り後正式承認、投資家が注意すべきこと
2021年10月8日放送のテレビ東京「モーニングサテライト」にて、予想分配金提示型ファンドの人気が急上昇していることを報じていました。
分配型の中でも、「あらかじめ分配金が提示されているファンド」のことを指し、直近3年間で約5倍の規模に増えています。
分配金の基準が明確なのですが、元本を取り崩して受け取ってしまう可能性に注意が必要です。
実力以上に払われる分配金の問題点
「分配金は多いほうがいいにきまっている」そう考える人が多いのは自然なことです。
しかし、中身をよく見てほしいのです。ざっくりと申し上げるならば、世の中の投資信託の分配金には2種類あります。
- 運用の成果の範囲内で、分配している(分配金)
- 分配する金額ありきで、運用の成果を超えても分配している(特別分配金)
この2種類の中でも(2)の特別分配金が払われているファンドが日本では多くありました。
分配してもらえる金額が決まっていると、資金計画が立てやすいということはあるでしょう。しかし、分配金がたくさん出るというフレコミで人気を集めた投資信託は、運用で儲かった部分を超える分配金を出していったのです。この(2)の、運用の成果を超えての分配とは、どういうことでしょうか?
例えば、ある投資信託Xが10,000円でスタートしました。しかしその年の運用で9,500円に目減りしてしまいました。利益が出ていない状態です。
しかし、この投資信託Xは毎月分配を行い、年間で500円を分配すると約束しているとします。
そして分配金を500円支払うと、元本は9,000円に減ってしまいました。
このタイミングでファンドを解約すると10,000円で投資した元本が9,000円に減って戻ってきてしまうのです。
つまり、この分配金500円は、実は預けたお金を取り崩しているにすぎないのです。
このような利益が出ていないのに支払われる分配金のことを、「特別分配金」といいます。
「特別分配」は自分の足を食べているタコを連想させることから「タコ足分配」とも呼ばれていました。
予想分配金提示型ファンド、加入タイミングによっては元本取り崩しとなる可能性が
従来日本でよく見られた分配型のファンドから、予想分配金提示型ファンドへの移行が進んでいます。
予想分配金提示型ファンドとは基準価額の水準に応じて分配金の金額があらかじめ設定されているファンドのことを言い、一例では下記のような分配金テーブルが設定されています。
予想分配金提示型における分配テーブルの一例
毎決算期末の前営業日の基準価額 | 分配金額 |
---|---|
11,000円未満 | 基準価額の水準等を勘案して決定 |
11,000円以上12,000円未満 | 200円 |
12,000円以上13,000円未満 | 300円 |
13,000円以上14,000円未満 | 400円 |
14,000円以上 | 500円 |
このように予想分配金提示型ファンドの場合、基準価額が上昇した場合には大きな分配金が支払われ、基準価額が下落した場合には分配金は小さい金額になったり、場合によってはゼロになったりします。
ケース① 1万円(基準価額)で購入後に上昇
例えば、10,000円でこのファンドを購入し、分配金が支払われる決算前営業日に基準価額が11,999円に上昇していた事例を考えてみましょう。
(画像はクリックで拡大します)
運用益1,999円の中から分配金の200円が支払われるため、ファンドの実力内で分配金が支払われているといえます。
ケース② 1万2千円(基準価額)で購入後に下落
しかし、このファンドを12,000円で購入し、決算前営業日の基準価額が11,800円に下落してしまった場合の事例を見てみましょう。
(画像はクリックで拡大します)
この場合では購入時より基準価額が下がっているため、利益が出ていない状態です。
しかし、上記テーブルで基準価額が11,000円以上12,000円未満だった場合は200円分配金を支払うという設定をしているため、200円が特別分配金(元本取り崩し金)として支払われます。
運用益が発生しているわけではないため、この200円はファンド購入時の元本から取り崩して支払われます。その結果、分配金を受け取った後の元本は11,600円まで減少してしまうのです。
実力通りに分配金を支払うファンドですか?
日本では「特別分配金」という特別感のあるネーミングも相まって、実力以上の分配金(元本取り崩し金)であっても、高い分配金が支払われる投資信託の人気が根強くあります。
元本が取り崩される可能性を理解しているのであれば良いのですが、多くの人は自分の元本を取り崩して分配金を受け取っていることを理解していないように思えます。
あなたが分配金のある投資信託を選ぶ際には、その分配金が運用益内での支払いなのか、元本が取り崩される可能性があるのかを確認した上で選んでほしいと思います。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
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