投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
2021年6月25日に金融庁が「資産運用業高度化プログレスレポート2021」を公表しました。
資産運用の高度化に向けた取組みの進捗状況や、更なる取組みが必要と考えられる事項、資産運用ビジネス全体の課題についてまとめたものです。
その中でファンドラップについて採り上げていました。
ファンドラップにおけるコスト控除後の平均パフォーマンスは バランス型投資信託の平均と比べて総じて劣後
レポートでは個人向けの投資一任であるファンドラップが近年増加傾向にあることを報告しています。
しかし、ファンドラップのコスト控除後におけるシャープレシオ平均はバランス型投信のシャープレシオ平均に届かないのです。
(出所)金融庁 「資産運用業高度化プログレスレポート2021」より一部抜粋
コストを差し引いた後(控除後)では、バランス型の投資信託の平均に、
シャープレシオが劣っている(劣後)、平たくいえば、「成績が悪い」のです。
シャープレシオとは?
シャープレシオとは投資信託の運用効率を比較する数値のひとつです。
この数字が大きい方が「同じリスクのわりにリターンが大きい」とされ、効率的(優れている)ということになります。
たとえば、同じ投資対象で、シャープレシオが0.50と1.00の2つがあれば、1.00の銘柄の方が同じリスクを取った場合に効率が良いといえるのです。
シャープレシオは過去データで今後はわからない
過去1年のリターンとリスクを基に計算されたシャープレシオを例にします。
たまたま過去1年が絶好調だった、とあるアセットクラスが、今後も好調に推移するとは限りません。
一本調子に上がっていくことを前提にはしない方が良いのです。
また、シャープレシオがマイナスであったとしても、今後成長するというパターンもあります。
例えば、過去1年である新興国Aの株式が下落基調だったとしましょう。
しかし、下落の原因が取り除かれて、今後は新興国Aに目覚ましい発展が期待されるといった場合はどうでしょうか?
シャープレシオがマイナスだからといって投資をしなければリターンを得るチャンスを逃してしまうかもしれません。
バランス型、中には損する仕組みに投資しているものも
また、今回比較対象として登場したバランス型投信についても、中には注意が必要な銘柄もあります。
バランス型とは複数の投資対象に投資する投資信託です。一般的には「日本株式」「日本債券」「外国株式」「外国債券」の4つの投資対象に投資するパターンが多いでしょう。
その中で注意すべきバランス型とは「日本債券の割合が多く、コストが高いバランス型」です。
日本の国債は長年、低金利の水準に据え置かれています。2020年5月1日時点でも年利回りがマイナスとなっています。マイナス金利では「利子が貰えずに利息を支払う」ということです。
一方、日本国債ではなく社債の利回りはどうでしょうか?
2018年12月末時点での日本の高格付け社債の利回りはわずか0.3%でした。
では実際にリターンを計算してみましょう。
日本の債券全体のリターンを仮に0.3%とします。
バランス型ファンドの信託報酬が1.78%だとすると、債券部分のリターンは
0.3%-1.78%=-1.48%
毎年マイナス1.48%ずつ損していくのです。
もちろん、日本債券以外の投資対象でリターンを取り戻せれば全体の運用はマイナスにはなりません。
しかし、わざわざ「負ける仕組み」に投資する必要はないのです。
バランス型ファンドを選ぶ際には、投資対象からのリターンとそれに費やすコストがどうなっているのかを考える必要があります。
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パフォーマンスの低いファンドラップや、高コストで国内債券が多いようなバランス型投信に注意してほしいと前述しました。
それではどのような金融資産に投資すればよいのでしょうか?
その答えのひとつが海外ETFだと筆者は考えています。
ETFは低コスト・リアルタイムの売買・透明性の高さ・様々な「まとめ買い」が可能など、投資家にとって嬉しい側面を多数持っています。
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