「常にお客様想い」ではない金融機関 融資の前に確認したい不動産のポイント
金融庁は「顧客本位の業務運営に関する原則」を2021年1月15日に改訂しました。
新たに「重要情報シート」を作成し、活用するように指示したのです。
お客様に重要な情報を提供するためのもので、重要情報シートのひな型が2021年5月12日に公表されています。
「重要情報シートとは何か」は、こちらの記事にて解説しています。
金融事業者の取り組みがわかる「重要情報シート」とは?情報開示は今度こそ進むのか? 「重要情報シート」公開企業
金融機関の情報開示は進むのか?
「重要情報シート」では、さまざまな情報開示が期待されています。
しかし、金融庁からの示達ではこの重要情報シートに外貨商品販売時に発生する為替手数料について記載すべきと明記はされていません。
販売に足かせとなる情報を出したくない販売者は、記載しない場合が推測されます。
隠れコスト:為替手数料の落とし穴
外貨建て商品などの場合、日本円を現地の通貨に両替する必要がある場合があります。
両替には為替手数料がかかります。
過去に安東隆司が日経CNBCにて解説した事例を見てみましょう。
「銀行がオススメする預金ならば安心」と豪ドル建ての定期預金を始めたとします。
300万円で豪ドル建ての預金を開始します。
しかし豪ドルに両替すると両替時の手数料が引かれ約298万円弱になったのです。
そして、運用後の時価は約299万円弱となりました。
両替直後の約298万円弱と比較すると約1万円の利益が出た、と考えて良いのでしょうか?
よく見てほしいのです、投資元本は300万円、運用後は約299万円です。
投資元本を下回る「元本割れ」なのです。
更に日本円に戻す場合では約297万円となってしまいました。
為替手数料の支払い > 外貨運用の利益 なのです。
つまり、為替手数料の水準が高い場合、運用利益を超えて元本割れの可能性があるのです。
これは投資家が運用前に気付きにくい大きなリスクです。
この事例の詳細な解説は下記リンクの7分30秒ころより閲覧可能です。
(無料では冒頭の90秒のみ閲覧可能です)
日経CNBC「朝エクスプレス」「トクするおカネ学」2019年10月24日
隠れコスト=販売者にとっては隠したいコスト
すべてのコストやリスクが明記されていれば、投資家にとって朗報です。
しかし「隠れコスト」である為替手数料は重要情報シートに明記されるとは限りません。
前述のように、外貨運用時の為替手数料の併記は金融庁の示達では言及されていないからです。
販売者からすれば、これらの「隠れコスト」は自分たちの収益に繋がります。
自分たちの収益を守るため、為替手数料を重要情報シートに明記しない企業も出てくると考えられるのです。
顧客の視点ではとても大事な情報なのに隠れてしまうかもしれないのです。
隠れコストについて FinCity.Tokyoにて提言
外貨商品について説明する際には、売買手数料など付随して発生するコスト総額を投資家に開示するべきではないでしょうか?
筆者は2020年8月にFinCity.Tokyo(一般社団法人 東京国際金融機構)への提言「投資家・顧客ファーストに向けて」の中で隠れコストについて指摘しています。
下記リンクのP4にて該当箇所が確認可能です。
(画像はFincity.Tokyoでの提案時資料より抜粋)
RIA JAPAN 投資家・顧客ファーストに向けて
見えにくいコストの情報の開示も
投資家目線への潮流は日本でも確かに広がりつつあります。
それでもわかりにくい「隠れコスト」は存在しているのです。
今後、情報開示していく企業には、見えにくいコストの開示を期待したいところです。
※2023年3月末を以て新興企業会員の期間満了に伴い、東京国際金融機構(FinCity.Tokyo)を退会しました。
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