弊社代表が立教セカンドステージ大学にて講義開始しました。
金融庁は金融事業者に「重要情報シート」の活用を呼びかけています。
2021年6月末までに、「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択する事業者に対して報告するよう求めています。
重要情報シートとは?
重要情報シートをご存知でしょうか?
金融庁は「顧客本位の業務運営に関する原則」を2021年1月15日に改訂しました。
そして、新たな「重要情報シート」を作成し、活用することでお客様に重要な情報の分かりやすい提供が進むと考えているのです。
金融庁のウェブサイトに「重要情報シート」についての、ひな型事例が2021年5月12日に公表されました。
重要情報シートの「金融事業者編」では、金融事業者がどんな立ち位置なのか、どんな商品やサービスを提供するのか、商品ラインナップの考え方、苦情窓口などを記載した事例が掲示されました。
重要情報シートの「個別商品編」では、商品の内容、リスクと運用実績、費用、換金・解約の条件、当社の利益とお客様の利益が反する可能性、租税の概要(NISA、つみたてNISA、iDeCoの対象か否か、その他参考情報などを記載した事例が掲示されています。
重要情報シート、2021年7月前後から活用か?
2021年6月までに金融庁が報告を求めていますので、2021年7月前後で重要情報シートを活用する企業が増えてくると思われます。
2021年5月17日現在、重要情報シートを現在開示している大手証券会社、ネット証券の内容を見てみました。
重要情報シートの「金融事業者編」では「顧客本位」の度合いは図れないと思いました(私見)。証券業であれば、内容は似たり寄ったりということでしょう。
重要情報シート内容は、金融機関で異なる場合も
これから注目すべきは重要情報シートの「個別商品編」です。
「これを書かなければならない」といった規制ではないことを認識してほしいのです。各事業者の開示姿勢によって、重要情報シートの「個別商品編」は異なる内容となる場合も考えられます。
投資家に十分とはいえない情報開示でやり過ごそうと考える、金融機関があるだろうという、心構えで臨むことが必要だと思います。
(筆者は商品販売に一切タッチしないので、実際に重要情報シートの「個別商品編」がどのくらい活用されているかは、正直よくわからない立場です)
以下で投資家が重要情報シートでチェックして欲しい事項をいくつか挙げておきます。
これらの事柄について、重要情報シートの「個別商品編」にしっかりと記載があるかどうか、その内容はどうかをチェックする必要があると思います。
重要情報シートでしっかり見てほしいポイントは?
金融庁は2021年4月12日に「顧客本位の業務運営の取組方針等に係る金融庁における好事例分析に当たってのポイント」を公表しています。
原則3 【利益相反の適切な管理】の注では以下の記載があります。
「・販売会社が、金融商品の顧客への販売・推奨等に伴って、当該商品の提供会社から、委託手数料等の支払を受ける場合」
→ 銀行や独立アドバイザーを名乗る者であっても、実際には証券会社の手数料の一部を委託手数料などとして受け取っている場合を明確にすることを求めています。
原則4 【手数料等の明確化】 のポイントでは以下の記載があります。
「(d)顧客がニーズに沿った商品を選択できるような情報提供の仕組みが示されている。例えば、①同一あるいは類似の商品について、対面・非対面等の販売態様で、手数料その他の費用の詳細が異なる場合、②同一のベンチマークと連動した成果を目指すインデックスファンドについて、販売手数料率や信託報酬率が異なる複数の商品が取り扱われている場合に、顧客の選択に資する情報提供の仕組みが示されている。」
→ ②のインデックスファンドでは、同一のインデックスであれば、販売手数料や信託報酬率が異なる複数の商品がある場合には、きちんとコスト開示をするように求めていると思われます。
しかし、同一インデックスの場合であれば、「複数」でなく、コストの最も低い選択でない商品のみ1銘柄とするような、顧客本位でないラインナップを選択する事業者も出てくると考えられます。
原則6 【顧客にふさわしいサービスの提供】のポイントでは以下の記載があります。
・具体的な金融商品・サービスの提案は、自らが取り扱う金融商品・サービスについて、各業法の枠を超えて横断的に、類似商品・サービスや代替商品・サービスの内容(手数料を含む)と比較しながら行うこと
→ ここは最も期待したい所です。と申すのはコストの高い商品への誘因が、「相手にわからないだろう」と思うのか、現在も行われているからです。
事例としては、 REIT(リート:不動産投資信託)のカテゴリーについて採り上げたものが、いつのまにか「REITファンド」の話に変わっていたといったものです。
REITであれば、販売手数料がなく、保有コストもほとんどかかりません。しかし、REITファンドになると、販売手数料が3.3%、信託報酬が1.1%で、初年度のコストが4.4%もかかるといった違いがあります。
→ インデックス運用の面でも同様です。一般の投資信託であれば同様に販売手数料や信託報酬で4%以上かかっている事例もあるでしょう。
しかし、ETF活用ならば販売手数料はゼロ、信託報酬も0.09%以下のものなども存在しているのです。同一のインデックスであっても、運用のコストの差が現状発生しているのです。
手数料全面開示、重要情報シートに特徴を記載
筆者は長年、顧客本位の業務運営を追求してきた背景があります。
筆者が経営する、RIA JAPAN おカネ学(株のサービス特徴を以下に挙げておきます。重要情報シートに詳細の記載をしております。
・販売者でない、アドバイス専業です
・証券会社や第三者から販売手数料を受け取りません
・お客様の資産運用の成功=当社の報酬増となり、
お客様の資産増加のアドバイスを最優先しています
・独立系でお客様と利益相反が少ない形です
RIA JAPAN おカネ学(株は、金融庁のひな型が公表された2021年5月12日以前の、5月10日に独自の重要情報シートを公開しています。顧客本位の業務運営のフロントランナーとなりたいという強い意志の表れです。
(なお、当社の業務は「投資助言」であり金融商品販売には一切タッチしないため、個別商品編は作成致しません。)
RIA JAPAN おカネ学(株では「重要情報シート」を早くも公開しました(2021年5月10日)。
https://ria-japan.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/Important-Information-RIA-JAPAN-20210510.pdf
また、「顧客本位の業務運営」に関する方針も2021年5月10日に改訂版を公開しています。
https://ria-japan.co.jp/wp-content/uploads/2021/05/FD-RIA-JAPAN-20210510.pdf