4月はNISA口座開設数増加 担当者資産にとって運用の成功よりも重要なコトがある?②

安東隆司

安東隆司

テーマ:所長解説のおカネ学♫

4月のNISA口座開設数が前年同月の2.8倍になったと日本経済新聞が報じました。
4月のNISA開設2.8倍 ネット証券5社、株安で若者流入
(別ウインドウにて開きます。有料会員限定記事)
新たに運用を始める人が多いからこそ、資産運用の知識を知らないと損をしてしまう場合もあるでしょう。
昨日に続き、銀行や証券会社における担当者の立場を海外と比較しながら今一度おさらいしてみましょう。

こぼれる水

日本の「アドバイザー」は「販売者」「取次者」の可能性も

日本で資産運用の相談をしようとした際、誰にそのアドバイスを求めますか?
FP(ファイナンシャルプランナー)という名称を聞いたことがある人は多いと思います。FPというとお金の専門家というイメージがあるでしょう。
しかし、「FPであれば誰でも安心」と考える前にFPの立場をおさらいしてみましょう。
日本FP協会が公表する会員FP向けの倫理規定の理念は、
「顧客の最善の利益」
「必要な情報の開示」
「利益相反はこれを顧客に開示する」
といったものです。

企業内FPは、自社での取り扱いラインナップの「販売者」

企業から給料等報酬を受け取っているFPは、勤務先の収益に貢献することが求められます。すると「当銀行では取り扱いのない他社で取り扱っているこの商品の方がコストが安いです」とはまず教えてはくれないでしょう。
いくらFPとして職業倫理が高いとしても、勤務先から給料を受け取っている以上「必要な情報の開示」や「利益相反はこれを顧客に開示する」というFPの倫理規定を完全に守ることは難しいのです。

FPは、個別に何を買えば良いのか、具体的なアドバイスができない

日本FP協会が出しているパンフレットによると、FPは「金融商品取引法に基づき、『投資助言・代理業』の資格がないと、投資助言行為など、具体的なプランや投資先のアドバイスをすることはできません」と記されています。

FPに相談しても、具体的なプランや、「A投資信託を買ってください」といった、個別の商品名のアドバイスは得られないということです。
具体的に明示してもらえないならば、相談してもあまり意味がない場合もありますね。
FP資格単体で報酬を得て、金融商品の具体的なアドバイスまでを行うことはできないのです。
しかし、実際にはこれを無視してFPとして具体的なアドバイス業務を行っている事業者も実際にいます。
FPで金融商品のアドバイスを行う者は消費者保護の目線に立って、金融商品取引法を熟知し、適法に投資助言登録を受けて投資家のために働くことが必要なのです。

IFAは、独立系の「コミッション型」の取次者

アメリカで従来の証券以外に、個人投資家の拡大に役立った新しい担い手は「銀行」「IFA」「投資助言業者=RIA」だと言われています。*1
IFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)は特定の証券会社に所属せず、独立して証券業務の取次(証券仲介業)を行う事業者で、証券で上がった収益の一部を受け取る「取次者」です。
日本におけるIFAの収入源はほとんどがコミッションです。
投資家の株式売買や、投資信託の買い付けを行う際の手数料=コミッションが発生しないと、収入がない形態*2です。
仮に、安定的に投資家が配当収入が得られる商品を購入し、10年間売買の必要がない場合、コミッション型IFAは10年間収入がほとんどない状態となる可能性もあるわけです。こうなると、やはり「何か動かしてもらう、買ってもらう」必要があると言えますね。

日本のIFAはアメリカではIBDやICと呼ばれています。
米国証券取引委員会(SEC)が公表した文書*3によると、ブローカー・ディーラー(RIAとの兼業なし)が「アドバイザー」の名称を使用することを制限する。としています。
アメリカでは日本のIFAのような仲介業者はアドバイザーを名乗れないのです。

*1「個人資産形成の拡大に向けての提言」 (2014年6月10日楽天証券等より)
*2「フィービジネス型」のビジネスをIFAで行う動きも一部ではある。
*3米国証券取引委員会(SEC)の“Regulation Best Interest (Reg BI)” 2019年6月10日。


RIAは投資家との利益相反が少ないアドバイザー

ではここで昨日の記事にて解説したRIAの特徴をおさらいしてみましょう。
・アドバイス専業、顧客から投資助言報酬を受け取る
 →収入の源泉は契約者である投資家から
・フィーベース型報酬の場合は顧客の資産が増えるとRIA報酬も増える
 →投資家が資産運用に成功するとRIAの報酬が少し増える
・コミッションを受け取らない
 →証券関連の販売時手数料など、キックバックを受け取らない
・正規の登録を受けたアドバイザー
 →具体的なプランや個別の商品名など投資先のアドバイスをすることができる
・顧客本位のアドバイスが可能
 →「顧客の最善の利益」 「必要な情報の開示」 「利益相反はこれを顧客に開示する

フィーベース型のRIAは世界の新潮流となっていると言えるでしょう。
あなたの担当者は、あなたの資産運用の成功を望む「アドバイザー」でしょうか?


今回この記事で解説した内容は弊社代表著書にてより詳細に解説しております。
該当ページ:P145~P164
書籍情報は下記を参照ください。

元メガバンク・外資系プライベートバンカーが教えるお金を増やすならこの1本から始めなさい 好評発売中!




【ランキング速報】
2019年12月6日 紀伊國屋書店 和書ビジネス書デイリーランキング1位獲得!
2019年12月2日~8日 紀伊国屋書店大手町ビル店 週刊ランキング 単行本部門1位獲得!
ビジネス部門1位獲得!
2019年12月7日~14日 三省堂書店東京駅一番街店 ビジネス書部門1位獲得!
2019年12月19日 honto 金融機関・銀行ランキング1位獲得!
2019年12月15日~21日 三省堂書店名古屋高島屋店 ビジネス書 週刊ランキング1位獲得!
2019年12月15日~21日 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 ビジネス書週刊ランキング1位獲得!

書籍の詳細情報は下記リンクより閲覧が可能です。
Amazonでの販売ページ
楽天ブックスでの販売ページ
紀伊国屋書店での販売ページ

iDeco+NISA・つみたてNISA プロの運用教えてあげる!大好評につき改訂版出版!


iDeCo、NISA、つみたてNISAのメリットがわかる!
iDeCoの得する選び方がわかる!
金融機関のセールストークに惑わされない
「本当のおカネの知識」を身につけて
有利な制度で老後資金を増やしましょう!

「掛金が全額所得控除」
「運用益が非課税」
「受け取るときも控除が使える」
3つの大きな税制メリットで、老後の資産形成が有利にできると
注目のiDeCo(個人型確定拠出年金)。
毎年120万円の非課税投資枠が設定され、
株式・投資信託などの配当・譲渡益等が非課税対象となるNISA。
本書は、「投資助言業」のライセンスを持つ著者が、
投資家目線で書いたiDeCo、NISAを中心とする資産運用の教科書です。
前作『個人型確定拠出年金iDeCo プロの運用教えてあげる!』(2017年)をベースに、
iDeCoで選択すべき「カテゴリー別低コスト投信」や、
信託報酬等0.40%未満の低コスト商品が充実している金融機関の
独自調査ランキングを刷新。
販売者側の都合や業界のしがらみにとらわれない、
役に立つ「本当のおカネの知識」が満載です。

書籍の詳細情報は下記リンクより閲覧が可能です。
Amazonでの販売ページ
RAKUTENブックスでの販売ページ

セミナーや講師のご用命は下記リンクの弊社HPお問合せフォームよりご連絡いただけますと幸いです。
RIA JAPAN おカネ学株式会社 お問合せフォーム

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

安東隆司プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

安東隆司プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

海外ETF・相続専門家の資産運用管理コンサル、RIA

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のお金・保険
  4. 東京の資産運用
  5. 安東隆司
  6. コラム一覧
  7. 4月はNISA口座開設数増加 担当者資産にとって運用の成功よりも重要なコトがある?②

安東隆司プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼