インデックス投資家は注意!「情報技術」からフェイスブックやグーグルが除外?
金融機関はローンの推進をする立場にある「販売者」でもあります。メガバンク勤務時代に融資の責任者を務めた筆者が、不動産投資で融資を受ける前に、チェックして欲しい不動産物件のポイントを解説します。
■金融機関は貸付・ローンの「販売者」
「金融機関は常にお客様想い」と信じていた人々は、今回のシェアハウス事業会社の破産にかなりのショックを受けたでしょう。破綻したシェアハウスの顧客向け融資を担っていた金融機関の融資の総額は2035億円、顧客は1258人もいたようです。
今回の件では融資を行った側の金融機関に、審査書類を改ざんして融資を通りやすくした疑いがあるという報道も見受けられます。多くの金融機関は営利企業であるため、不動産担保ローンも、数字を伸ばすべき「商品」なのです。そして、金融機関の担当者はその「販売者」としての役割を担っている場合も多くあります。
■バブル期の失敗、「金融機関から勧められたゴルフ会員権ローン」の場合は
過去のバブル期に被害者が出た「ゴルフ会員権ローン」の場合を紐解いてみましょう。当時、金融機関はゴルフ会員権を取引先に勧め、値上がりが見込めるなどとセールストークを駆使してゴルフ会員権の販売に加担しました。販売に協力することで、キックバックを受け取った事例もあったでしょう。そしてバブル崩壊前後に、そのゴルフ場が破綻し、ゴルフ会員権は「紙くず」になってしまったのです。
訴訟をした投資家には「ゴルフ場が破綻した。そんなゴルフ場を勧めた金融機関に問題がある。借金を棒引きせよ」という主張もありましたが、この主張には無理な面があります。買ったゴルフ場の破綻と、借入をしたという「金銭消費貸借契約」は無関係と考えられるためです。車のローンを金融機関で借りた場合、車が故障したからといって、ローンの支払いを金融機関に払わない理由にはなりませんし、学費のローンを金融機関から借りた場合でも、学校が破綻したからといってローンの支払いを金融機関に払わない理由にはならないでしょう。
投資は自己責任であり、そのゴルフ会員権購入を決定したのも、借入をしたのも自分自身です。破綻したら払わないというのは通じる話ではありません。(しかし今回のシェアハウスのケースは金融機関の審査書類の改ざんの責任を問う争点はあり得るかもしれません)
■相続対策の落とし穴 駅徒歩15分超物件に「入居募集中」のぼりが消えない
相続対策として、賃貸物件の建築を建築会社や金融機関から提案を受けるケースも多くあります。しかし注意が必要です。建築業者は建築資金を受け取ったら彼らの仕事は終了です。金融機関の担当者は3年程度で転勤してしまうことも多く、担当者はローン貸出に熱心になりがちです。実態とは異なるセールストークであったとしても、ひとたび貸してしまえば、借りた人の「自己責任」となってしまいます。
とても満室稼働が見込めない地域に建築看板が立ち、やがて賃貸アパートが建築された事例があります。予想通り「入居募集中」のぼりが消えることはありませんでした。建築後2年が経過した時点で保証家賃の改定で入金金額が当初よりも減額されるでしょう。「30年家賃保証」であっても、家賃の水準は「2年毎改訂」する事例も多いのです。ローンを返済できる水準での借入返済なのか、他人事ながら心配になってしまいます。
無理な計画に対して「ローンが借りられる」「サブリースで家賃保証が付いている」から大丈夫と考えている方は、大きなリスクを水面下で保有していることを認識していただきたいと思います。建築会社も金融機関もサブリース会社も「自社商品の販売者」で、リスクは投資家が負うことになるのです。
■ローンの対象物は優良であるのか
繰り返しになりますが、家賃保証してくれるサブリース会社があるから安心とはなりません。破産したシェアハウス問題では、実際には借り手が付きにくい物件に対して、「サブリース会社の家賃保証で安心」と安易に考えてしまった場合もあるでしょう。サブリース会社が破産すると家賃が入ってこなくなる恐れがあるためです。しかし、賃貸物件自体の収益性や用途が健全であった場合は、サブリース会社が破綻しても、深刻な問題を回避できる可能性はあるでしょう。
賃貸物件であれば、例えばこのような点が重要でしょう。
・駅徒歩5分以内か ……ベッドタウンであれば、駅5分を超えると借主が少なくなる
・金利4.5%水準まで上昇しても返済は可能か ……借入金額は過大すぎないか
・自分が借主ならば借りたいと思う物件か ……需要はあるのか
・修繕積立金を確保できる計画か ……メンテナンスが不十分では借り手は敬遠する
安定して家賃が入る物件であれば、サブリース会社が破綻した場合に、サブリース会社を変更する、自身で管理することも可能です。結局は投資家自身がプロジェクトの妥当性審査を自己責任で行う必要があるといえるでしょう。
※本記事は2018年6月に公開された記事を基に再掲しております。
安東隆司 著書に『個人型確定拠出年金iDeCo プロの運用教えてあげる!!』等がある。