iDeCoシリーズ(1)個人型DCの商品選び 極めて面倒だが「手数料に6倍の差」も
最近話題の個人型確定拠出型年金(DC、愛称:iDeCo)
「NISAやふるさと納税は知っているけど、iDeCoは知らない」など、まだまだ認知度が低いのが事実です。
(実際弊社代表の安東隆司が講師を務めている立教セカンドステージ大学ではほとんどの学生がiDeCoを知らない状態でした)
しかし、筆者はiDeCoを最強の運用法と考えています。
写真・立教セカンドステージ大学にて講義を行う弊社代表、安東隆司
そもそもiDeCoって何?
iDeCoがなぜ最強の運用法だと考えているのか、知名度の高い制度であるNISAとの比較をしながら解説します。
(以下、2016年11月28日にZUU ONLINEにて掲載された記事を基に掲載します)
1. 掛金が全額所得控除 所得税、住民税が節税できる
iDeCoの大きなメリットとして、掛金が「全額所得控除」になる。企業型DC・DB制度がないサラリーマンの場合には、月額2万3千円、年額27万6千円が掛金の上限となる(企業型DC・DB制度が無い場合)。(企業型DBとは確定給付企業年金、厚生年金基金を指す)
そしてこの掛金の全額が所得控除となる。年間の所得が1000万円であれば、11万8680円が非課税となり、「別の財布」である自分年金の資金となる(所得税33%、住民税10%として計算)。なお、NISAには所得控除が無い。
2.運用益に税金がかからない
iDeCo、NISA共に運用した利益に対して、通常20%かかる税金がかからない。税引前5%の運用は税引後では4%となるので、この場合は1%のパフォーマンス向上が「非課税制度」利用によるメリットで得られる。NISAの上限金額600万円の10%の60万円の運用益があった場合、通常の20%課税口座よりもiDeCo、NISA共に12万円のメリットが得られるわけだ。(復興特別税は考慮せず)
3. 退職金に税金がかからない
iDeCo、は個人型の確定拠出年金で退職金制度のひとつである。自己責任で投資に回すならば、国が自分年金造りのための個人の掛金に対して、所得税や住民税を非課税にするという有利な制度だ。
iDeCoを一時金として受取る場合は「退職所得控除」を受けることができる。勤続30年のサラリーマンの場合は退職金の所得控除は1500万円の枠がある。その他の退職金との合算による計算とはなるが、退職金税制は極めて投資家に有利な税制で、控除1500万円超の部分についても「退職所得は1/2計上」ができる。更に他の所得と合算した税率ではない「分離課税」として計上が可能なのである。
4. 元本保証商品もある
iDeCoの商品ラインナップには預金、保険といった元本保証の商品もある。NISAは「投資非課税制度」であるので、投資商品が運用の対象で元本保証商品はない。投資を全く行わないという人にはNISAの存在意義が無いかもしれないが、iDeCoは年金の一部であるために元本保証の商品もあるので、税金の控除の利用目的でも利用者にとってのメリットが考えられる。
5. 運用期間を長くとれる 45歳ならば15年の積立可能
iDeCoの運用期間は「60歳までの積立て」となっており、その運用期間は年齢によって異なっている。45歳であれば今後15年、30歳であれば今後30年となる。NISAの期間は5年であるので長期に資産形成が可能な場合も多い。制度を理解して最大限利用し資産形成につなげることが重要である。iDeCoのデメリットとして、60歳までは原則として解約が不可能などのデメリットもあるので、実際に導入する際は専門家に相談することをお勧めする。
今後のiDeCoの課題 低コスト商品が勧められない理由
冒頭でも少し述べたが、2017年1月より専業主婦、公務員を含めて制度上すべての企業の勤務者がiDeCoに加入できる制度になる。上記以外にも様々なメリットを持つiDeCoだが、まだまだ知名度が高いとは言えない面がある。
それはなぜだろうか。筆者は海外ETFの研究家として2007年から啓蒙活動を行ってきたが、その時の状況と似ている。顧客が「コストの安いETF」を利用した投資に向かうことは、金融機関の従来の販売手数料3%、信託報酬1.5%の「投資信託販売ビジネス」が成り立たなくなる可能性を含んでいるためだ。海外ETFなどETFの認知拡大は「儲からない」ビジネスの広がりを意味してしまうために、積極的に宣伝する「インセンティブが働かなかった」のだ。
しかし、コストに敏感な世界中の富裕層や研究熱心な投資家は、ETF市場の規模を飛躍的に拡大させ、そのメリットを享受してきた。日本においては日本銀行のETF投資もあって、最近になって日本の投資家にもETFへの認知がようやく広がりつつある。
iDeCoの税制メリット、低コストなどは将来の自分年金作り、資産形成のために有効である。しかし金融機関にインセンティブが少ないために勧められることが少ないのではないかと思われる。iDeCoも今後認知度が広がり、ETF同様に利用者が飛躍的に増える日がいずれ来ると確信している。
掲載元
最強の運用法「iDeCo」 あなたはメリットをいくつ言えますか?
上記リンクは2016年11月28日にZUU ONLINEにて掲載された記事です。
どういう基準で選べば良いのか?注意点は?
ここまで読んでくださった金融に対する意識が強いあなたは
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