iDeCoシリーズ(2)個人型確定拠出年金、加入者別「いくらまで掛けられる?」
2017年1月から法改正により、大幅に加入対象者が増えたiDeCo(読み方:イデコ、個人型確定拠出年金)は、対象者は2600万人増加するとも言われています。NISAにはない所得控除があるため、毎月5000円以上の掛金で将来の資産形成に大きく役立つ制度です。冒頭で簡単にiDeCoのメリットを紹介します。
■1. 所得税、住民税が安い 掛金が全額所得控除
iDeCoの掛金は「全額所得控除」になります。会社で企業型DC(確定拠出年金)・DB(確定給付企業年金、厚生年金基金)に加入していないサラリーマン等の場合には、月額2万3000円、年額27万6000円がiDeCoの拠出限度額となります。(企業年金のない会社の経営者、勤務するサラリーマンの場合)。そしてこの掛金の全額が所得控除となります。年間の所得が330万円超695万円以下の方であれば、8万2800円が非課税となります。(所得税20%、住民税10%として計算)。NISAには所得控除が無く、NISAと比較してもiDeCoの有利な制度といえます。
■2. 運用益に税金がかからない 非課税
iDeCo、NISA共に運用した利益に対して、通常20%かかる税金がかかりません。NISAの上限金額600万円(年間120万円×5年)の10%、60万円の運用益があった場合、通常の20%の課税口座よりもiDeCo、NISAともに12万円のメリットが得られるわけです(復興特別所得税は考慮せず)。
■3. 運用期間 30歳,30年積立、金額は828万円に
iDeCoの運用期間は「60歳までの積立て」となっており、その運用期間は年齢によって異なっています。30歳であれば今後30年間の拠出が可能となり、仮に年間27万6000円の拠出可能な方は30年間で、「828万円」もの老後のための資産形成が可能となります(自身の年齢と拠出額によって金額は変化)。
ほかに、一時金で給付を受けた場合、退職金として「退職所得控除」が受けられます。年金で給付を受ける場合は「公的年金控除」が受けられます。ただし、公務員など国民年金に加え厚生年金も受け取る資格のある方は、iDeCo以外の年金で退職所得控除の金額をオーバーしたり、公的年金控除額をオーバーしているケースも考えられ、iDeCoへの追加加入でこの部分のメリットがない場合も考えられるため、注意は必要です。
■iDeCoでも王道は低コスト運用
iDeCoの運用等を行う運営管理機関(金融機関)は155社でした(2016年10月1日現在。国民年金基金確定拠出年金部ヒアリング)。どこを選ぶべきかは重要なポイントです。iDeCoを紹介した書籍や記事には、「商品ラインナップから」金融機関を決めましょう、とされているものが多くあります。しかし筆者の判断は「一番初めに運用対象のコストチェックを行う」です。
同じ金融機関の中でも、DC向け外国株式のインデックス型の信託報酬が0.2268%のものがある一方で、アクティブ型1.458%の設定がされているものもありました。同じ外国株式の投資対象でも、信託報酬が6倍強も変わってくるのですから驚きです。
さらに、この2銘柄の1年リターンを比較すると、インデックス型が1.41%、アクティブ型を上回っていました。常に必ずインデックス型の運用が優位かと言えば、そうは言い切れない面もあります。しかし、「低コスト」は投資家がコントロールできる、「運用リターンを上昇させるカギ」であると筆者は言い続けています。
■選んではいけない金融機関も
投資運用を行う前提(元本確保型商品は除外)、低コストのインデックス運用が王道であるとの前提で、あるiDeCoガイドのサイトに掲載されていた58社の「信託報酬0.40%未満」の投資信託の、商品のカテゴリーとラインナップを調査しました。
筆者は独立系アドバイザーであり、系列や取引先とのしがらみが無いため、定めたルール通りに判断する方針で臨みました。すると、他の紹介記事やガイド本では紹介されていない、一部の地方の金融機関がランキングに食い込むという結果となりました。
逆の事象も発生しました。誰もが知っている金融機関で、「信託報酬0.40%未満」のラインナップが1本も無かった金融機関もあったのです。筆者はこれらの金融機関を選択すべきではないと考えています。60歳までの期間、毎月積み立てをするiDeCoにおいては、商品の選択、金融機関の選択により、「投資リターンが変わる」可能性が高いと思われるからです。投資家にはイメージよりも実際の実力を、「コストの視点で判断」した上で、このiDeCoのメリットを存分に活用して頂きたいと思うのです。
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