リファスタ|ダイヤより平和がほしい・後藤健二

杉兼太朗

杉兼太朗

テーマ:金相場

リファスタです。今回は、ダイヤモンドを扱う私たちが知っておくべき事実を、一人のジャーナリストが遺した記録から、業界の制度、そして採掘現場の現在まで、6つの視点でまとめます。

この記事を読むと、後藤健二さんがシエラレオネで何を取材したのか、紛争ダイヤモンドとは何だったのか、キンバリープロセスは何を止められて何を止められていないのか、そして中古・買取という二次流通に何が言えて何が言えないのかが分かります。

結論からお伝えします。ダイヤモンドには、美しさの歴史と同時に、紛争の資金源となった歴史があります。それを日本語で伝えた一人が、映像ジャーナリストの後藤健二さんでした。2003年に発効したキンバリープロセスは紛争ダイヤの流通を大きく減らしましたが、その定義は「反政府勢力が使う原石」に限られ、政府や軍による人権侵害、児童労働、環境破壊は対象外のままです。この事実を知ったうえで一粒と向き合うことが、買取を仕事にする者の責任だと考えています。

■① 後藤健二さんが遺した一冊

後藤健二さんは、1967年に宮城県仙台市で生まれた映像ジャーナリストです。1996年に映像通信会社インデペンデント・プレスを設立し、紛争地の市民、とくに子どもたちを取材し続けました。2014年10月ごろにシリアで拘束され、2015年1月末に殺害されます。日本時間の2月1日に、そのことが伝えられました。

その後藤さんが、亡くなるちょうど10年前に書いた本があります。書名は「ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白」。汐文社から2005年に刊行され、第53回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞しました。内容は、良質なダイヤモンドの産地であるシエラレオネで、その利益が内戦の戦費となり、子どもまでもが銃を握らされた現実の記録です。子ども向けに書かれた、わずか105ページの本です。

後藤さんは2010年の投稿で「取材現場に涙はいらない」と書き残し、ありのままを克明に記録して伝えることが使命だと述べています。ダイヤモンドの輝きの裏側を、感情ではなく事実として日本の読者に手渡した人でした。

■② シエラレオネ内戦とダイヤモンド

シエラレオネ内戦は1991年から2002年まで続きました。反政府勢力RUF、革命統一戦線がダイヤモンド鉱山を支配し、掘り出した原石を武器や弾薬と交換して戦費を賄いました。石が、そのまま戦争の通貨になったのです。

犠牲者数は資料によって幅があり、少なくとも5万人から約7万5,000人と推計されています。人口の半数近くが家を追われました。四肢を切断する残虐行為が行われ、子ども兵士は、国連が1999年に1万人以上、ユニセフが2000年に約5,400人が直接戦闘に関与したと推計しています。後藤さんが取材したのは、この元子ども兵士たちでした。

戦後、責任は法廷で問われます。RUFを支援したリベリアのチャールズ・テイラー元大統領は、シエラレオネ特別法廷で2012年4月に有罪、5月に禁錮50年を言い渡され、2013年に確定しました。第二次大戦後、国際法廷が有罪とした初めての元国家元首です。

■③ 映画「ブラッド・ダイヤモンド」が広げた問い

2006年、レオナルド・ディカプリオ主演、エドワード・ズウィック監督の映画「ブラッド・ダイヤモンド」が公開されました。舞台は1999年のシエラレオネです。この作品によって、紛争ダイヤモンドという言葉が世界中に広がりました。

ただし、その規模については見解が分かれます。業界側は、1990年代のピーク時でも世界のダイヤ取引の約4%だったとしています。一方、国際NGOのグローバル・ウィットネスは、アンゴラのUNITAだけで年間約7億ドル、全体では最大15%に達したと推計しました。どちらの数字を採るかで、この問題の見え方は変わります。ここは断定せず、両論があるとお伝えします。

また、紛争ダイヤが減った要因についても評価は分かれています。制度の効果とする見方と、シエラレオネやアンゴラの内戦そのものが終結したことが大きいとする見方の両方があります。

■④ キンバリープロセスの成果と限界

2000年5月、南アフリカのキンバリーに産出国などが集まり、対策の枠組みが動き出します。同年12月に国連総会が決議55/56を全会一致で採択し、2003年1月、キンバリープロセス認証制度が発効しました。日本も参加国で、原石の輸出入時の証明書運用は経済産業省が所管しています。2025年時点で、参加者は60、86か国を代表し、世界の原石生産・取引の99%以上をカバーすると説明されています。

ここまでは成果です。問題は定義にあります。この制度が対象とする紛争ダイヤモンドとは「反政府勢力またはその同盟者が、正統な政府の転覆をめざす武力紛争の資金とするために使う原石」に限られます。つまり、政府や国軍が関与する人権侵害、強制労働、児童労働、環境破壊は、定義上、対象外です。

その限界が露わになったのがジンバブエのマランゲ鉱区です。2008年10月末から軍が制圧作戦を行い、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチは2009年の報告書で、同年10月27日から11月16日までに軍が少なくとも214人の採掘者を殺害したと記録しました。それでも制度は、2011年にマランゲ産の輸出を承認しています。

同じ2011年12月、制度の設立メンバーだったグローバル・ウィットネスが離脱します。声明では、コートジボワール、ベネズエラ、ジンバブエへの対応に失敗したとし、制度はダイヤモンド・ローンダリングの共犯になったと表明しました。汚れた石をきれいな石に混ぜる行為を止められていない、という指摘です。

近年は新しい動きもあります。G7とEUは2024年1月1日から、ロシア産の非工業用ダイヤの直接輸入を禁止し、3月から1カラット超、9月から0.5カラット超へ対象を広げました。ロシアのアルロサは2023年に3,460万カラットを生産し、数量ベースで世界シェア31%を占めると自社が公表しています。産地を追跡する仕組みづくりが進む一方、第三国を経由する抜け穴も指摘されています。

■⑤ いまも続く採掘現場の現実

紛争が終わっても、労働環境の問題は残っています。手掘り・小規模採掘、いわゆるASMと呼ばれる採掘方法です。ダイヤモンドは世界供給の約20%がASM由来とされ、コンゴ民主共和国では2017年の産出の81%がASMからでした。ASM全体では、鉱物全般を合わせて2017年時点で約4,050万人が従事すると推計されています。

現場では坑道の崩落、粉じんによる健康被害、土地や水質への影響が報告され、児童労働や人権侵害も複数の国際機関やNGOが指摘しています。大手鉱山会社の機械化された採掘とは、まったく条件が異なります。

さらに近年は、経済構造そのものが揺れています。ラボグロウンダイヤの普及によって天然ダイヤの価格は下落し、1カラットの平均価格は2022年5月の6,819ドルから2024年12月の4,997ドルへ、約27%下がりました。産出国への打撃は大きく、IMFは2025年の報告で、ボツワナではダイヤ産業がGDPの約30%、輸出の約85%を占めると説明しています。価格の下落は、遠い国の生活に直結します。

■⑥ 二次流通に、何が言えて何が言えないか

ここが最も慎重に話すべき部分です。中古のダイヤモンドを買い取り、再び流通させることは、新しく採掘された原石を新たに必要としない、という点で供給の一部を担っています。これは事実として言えます。

一方で「だから倫理的だ」と言い切ることはできません。理由は二つあります。一つは、すでに流通した石は、どこで採れたのかという来歴を特定できない場合がほとんどだからです。もう一つは、二次流通の環境的な優位性について、独立した第三者による検証がまだ十分でないからです。

ですから私たちは「この石は紛争と無関係であることを保証します」とは申し上げません。根拠のない保証は、お客様に対して誠実ではないからです。言えるのは、目の前の一粒を正確に見極め、その根拠をお示しして価格をお伝えする、ということだけです。

■まとめ

ダイヤモンドは、紛争の資金源になった歴史を持ちます。後藤健二さんは、その現実を子ども兵士の証言として日本に伝えました。キンバリープロセスは流通を大きく減らしましたが、政府や軍による人権侵害は定義の外にあり、採掘現場の労働環境の問題も続いています。扱う側が知らないままでいてよい話ではありません。

■天然か、処理か、合成か──買取の見極め

私たちにできるのは、目の前の一粒に対して正確であることです。その石が天然か、処理か、合成か。4Cのグレードはどうか。リファスタでは、この見極めの過程を拡大モニターに映し、お客様と一緒に確認します。LINEでの無料相談、公開している買取価格表、そして1点ごとの明細書で、価値の根拠を正確にお伝えします。

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リファスタは東京池袋店・大阪心斎橋店の2店舗です。ご来店は完全予約制、定休日は毎週水曜・日曜です。LINE査定・宅配買取は全国対応で受け付けています。


※本レポートは情報提供を目的としており、投資・売却の判断を推奨するものではありません。

【データ出典】

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杉兼太朗
専門家

杉兼太朗(貴金属・宝石・ブランド品買取業)

ラウンジデザイナーズ株式会社 リファスタ

貴金属、宝石、ブランド品を買い取り、価値を正当に評価して次世代へとつなぎます。無料LINE査定や宅配買取にも対応し、急な資金の用立てや、終活、遺品整理といった幅広い顧客のニーズに寄り添います。

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