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家にも外にも居場所がない!?定年前から始める自分の居場所づくり

鈴木恵美

鈴木恵美

テーマ:60代が抱える不安

仕事に打ち込んできた現役時代を終え、ようやく定年になって気が付くのが,自分の「居場所の少なさ」です。
特に男性は、仕事関連以外に自分の居場所づくりを意識しなければ、居心地の良い居場所は出来にくいものです。
居場所の少なさは、夫婦関係にも影響しかねません。早めに対策をとりましょう。

60代以降の男女 居場所の変化

仕事で疲れたとき、
父親や夫という役割に嫌気がさしたとき、
何者でもない自分自身に戻れる居場所がある人は幸せです。

民間企業が行った「居心地のいい居場所」についての調査によると、ストレスが多い人に共通するのは、「居場所の少なさ」でした。
一方、ストレスをあまり感じていない人は自分の居場所を1カ所以上確保している、という結果に。

年代別で比較すると、現役世代は複数の居場所を持つものの、60代以降は減少していきます。

現役世代でも年齢が上がるにつれ、仕事に傾倒し費やす時間が増え、人との繋がり、やりがい、自分の存在価値を求める場など、あらゆることが仕事に関連しています。
現役を退く頃には、自分を取り巻く殆どが仕事がらみ。
そうした環境に長く居たことが、退職後の居場所の少なさを招く結果に繋がっていると言えるでしょう。


居場所の種類については、男女間でも差異が見られます。
60代以降の女性の居場所には、「近所づきあい」や「趣味の場」が挙がりますが、
かたや男性は、定年後であっても、まだ仕事がらみの項目が挙がってきています。
男性にとって仕事の存在が、いかに大きなものであるかを伺い知ることが出来る調査結果です。
仕事を辞めるということが、男性のメンタルヘルスに大きく影響すると言っても良いでしょう。

定年になる前に居場所を探して作っておきましょう

現役のうちには、定年後のことなど、遥か未来の話にしか聞こえないかもしれません。
ですが、実際に自分が仕事から卒業してしまうと、切実な問題として目の前に突き付けられます。
定年退職後しばらくの間は、会社勤めからの解放感や希望で満ち溢れていることでしょう。また、毎日満員電車に乗る必要もなく、好きな時間に好きなことをできる、と思いを巡らせることでしょう。ところが、一か月もしないうちにやることがなくなってしまうことが殆どです。
忙しい現役時代には、時間がないと諦めていた旅行やゴルフも、いざ有り余るほどの時間ができると興味がなくなっていることも少なくはありません。

朝、目が覚めて「今日も一日、用事もなければ行くところもない。」と思う生活は、想像するだけで虚しくなりませんか。

一念発起をして、新しく趣味を始めたとしても、一朝一夕で上達するものではありません。面白さが分かるようになるまでは数年の月日を要します。
地域貢献活動でもしてみようかと思っても、そこには長年の人間関係が構築されていますので、これまで全く地域との交流をもたなかった人が溶け込むのは容易なことではありません。

ですので、今のうちから定年後の過ごし方を想像し、好きな事や趣味、興味がある習い事、ボランティア活動などいくつかピックアップしておき、活動に掛かる時間や経費、交通アクセスなども具体的に書き出してみましょう。

そして、出来れば週末や休暇を利用して、少しずつでも参加をし、顔見知りを作っておくと安心です。
準備期間は、年単位で想定しておくと良いでしょう。
顔見知りが出来ることで、心理的な不安や緊張が少なく澄みますので、新しい生活への移行がスムーズになります。

定年後に大切なのは「きょうよう」と「きょういく」

日々の仕事に追われる現役時代は、今やるべきことで手一杯。
だからと言って、仕事だけの現役時代を過ごしてばかりいてはいけません。

真摯に仕事と向き合っている人ほど、いざ定年となると、虚しい現実に打ちのめされてしまう事も少なくないようです。

仕事にやりがいを感じていた人ほど、喪失感が大きく、
仕事は耐えるものと考えていた人ほど、解放感が大きいと言われています。

自分にはまだまだやれる力が残っているのに、やり場がないというのは大きなストレスにもなります。

人生の収穫期である定年後の生活をより実りある時間にするために大切なことは、2つ。
「きょうよう」と「きょういく」です。
「きょうよう」とは、「今日、する用事がある」ことをいい、
「きょういく」とは、「今日、行く所がある」ことをいいます。

特にする用事もなく、行くところもない。。。
一日中家にこもって鬱々としていれば、夫婦関係にも悪影響を及ぼします。

取るべき対策は明確です。
現役時代から少しずつ定年後の暮らしをイメージして準備を始めること。

あなたの居場所と言えるところはどこですか。
会社、家庭以外で、ありのままの自分でいられる第三の場所が必要です。

今のうちから「きょうよう」と「きょういく」というコトバを意識してお過ごしくださいね。

定年後の夫婦トラブル

定年後に「きょうよう」「きょういく」がないとなると、一日中家で過ごすことになります。

一時期「濡れ落ち葉」という言葉が流行語となりましたが、夫たちの生態を上手く表現しています。
自分からは行くところがないので、妻が出かける先にどこへでもついていこうとする夫たち。仲睦まじいようにも思えますが、妻にも自分の世界があります。
夫婦仲が悪いわけではなくても、数十年ぶりに長い時間、夫と共に行動する日々が続けば、息が詰まってしまいます。

自分の時間が急に減った苛立ちから、もめ事も増えるかもしれません。
専業主婦の妻も暇を持て余しているわけではありません。趣味や習い事、ボランティア活動、ご近所や親戚関係のお付き合いもあります。
夫が家庭を顧みず仕事ばかりしていた時代に、妻たちはコツコツと自分の居場所を作り上げていたのです。

妻のこれまでの生活スタイルを想像し、妻の作り上げた世界を尊重する視点を持ちましょう。

夫源病について 夫の存在が妻のストレスに!

朝からリビングのソファーに座り込んで一歩も動かない。
そのくせ、毎回の食事はしっかり要求する。
自分では何もしないのに、掃除や洗濯のやり方に口を出す。
妻が出かけようとすると、行先や誰と出かけるのか、帰りの時間を確認する。
挙句の果てには、自分のお昼ご飯はどうするのかという質問まで…。

定年後しばらくは妻も我慢はしますが、毎日続くうちに心身に不調が表れます。

夫在宅のストレスによる体調不調。
これが夫源病といわれるものです。

夫源病とは、夫の何気ない言動によって妻がストレスを感じ、体や心に不調をきたす病気です。医学的な病名ではありませんが、中高年の健康問題に詳しい医師 石蔵文信氏が著書の中で提唱した概念を基にした造語です。

夫にとっては何気ない言動でも、妻にとっては大きなストレッサーになり、自律神経の乱れやホルモンのバランスを崩してしまう原因になるのです。

めまい・頭痛・動悸・不眠・耳鳴り・原因を特定できない高血圧などさまざまな症状が表れます。
これまで更年期障害とされてきた体調不良も、夫によるストレスからくる夫源病であるケースもあるのです。

年代に関係なく、パートナーや夫がいる女性なら誰でも罹る可能性がありますので、パートナーや妻に対しての言動には配慮し、思いやりを持ちましょう。

夫婦喧嘩を回避する適度な時間

お互いの感情がぶつかり合い喧嘩が増えたと感じるならば、何らかの改善策を取らなければなりません。
会社勤めをしている頃ならば、夫婦げんかで熱くなっても出社することでクールダウンすることができました。

それが定年してからとなると、夫婦げんかをしても逃げ場はありません。
苛立ちで怒りがたまっている同士が顔を突き合わせていれば、余計に争いはヒートアップします。
喧嘩が多くなったと感じているならば、必要なのはお互いが一人になれる時間です。

夫婦オリジナルの距離感が 夫婦仲良しの秘訣

歳をとってこそ、夫婦円満でいたいとお思いの方が多いのではないでしょうか。
ですが、仲の良いことと、始終べったり一緒にいることとは別です。

食事の仕方一つとっても、妻はお昼ご飯くらいは残り物で簡単に済ませたいと考える一方、夫はしっかりした温かい手料理をとりたいと考えているとすれば、どちらかが譲歩しなくてはなりません。

買い物に行くにしても、妻は生活に必要な物をただ買うだけでなくウィンドーショッピングで流行のデザインを偵察することも楽しみの一つかもしれません。
夫はさっさと用を済ませて帰りたいと思っているとしたら、無理に一緒にでかけてもそれぞれに不満が残ります。

つまり、夫婦円満のためには、あえて個人の時間を作ることも仲良しの秘訣のひとつだということです。

お互いがそれぞれの時間の使い方や考え方、好みを尊重し、各自が充実した時間を持つことで、生き生きと過ごすことができ、心に余裕もできます。

さらに相手への思いやりも生まれてくるので、夫婦円満でいられるのです。

あえて ポジティブなプチ家庭内別居を選択してみる

もしも、夫婦関係が悪化して修復が望めないところまできているのならば、別居という選択肢も見えてきます。
人生100年時代、嫌なことを我慢し続けて生きるには長すぎます。
適度な距離を保つために、別居という選択肢も出てくるかもしれません。

しかし、別居にはお金もエネルギーも必要です。
定年後で収入が減る時期での新たな家賃負担は、決して軽くは感じないでしょう。

例えば、朝食と夕食、又は一日一回だけ同じテーブルに着く、というようなスタイルでも十分効果は得られます。
昔からの夫婦の形や固定概念にとらわれずに、「ポジティブなプチ家庭内別居」を選択してみてはいかがでしょう。

お互いのライフスタイルを尊重し、過干渉にならないためのルールを作るのもいいでしょう。

長年連れ添い、信頼しあっている者同士だからこそ出来る柔軟な考え方で、ご夫婦オリジナルの「程よい距離感」「オリジナルの夫婦の形」を探してみではいかがでしょうか。

定年後は、世間体よりも自分たちの幸せを優先しましょう。
夫婦の形は1つではありません。

ご自分にとって、より居心地の良い居場所を見つけてください。

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鈴木恵美
専門家

鈴木恵美(公認心理師)

Pure Bliss(ピュア ブリス)

経営者の妻、お受験を経験した母という経験を土台に、心理学の多様なスキルを使い、エグゼクティブの人間関係の悩みや、お受験を控えた母親の心労、悩みの解消をサポートしている。また、子どもの心のケアも行う。

鈴木恵美プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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