お客様視点の変化に対応する ~コロナ禍での飲食店覆面調査から~
お店の伝えたいこととお客さまが知りたい情報は、実は大きく異なっているのです。お客さまが知りたい情報を得て「価値があった!」と思わせる「価値トーク」を皆さんにお教えします。
★「何人分?何回分?」★
お客さまに「この商品は何人分か、何回分か?」と質問されると、上手く答えられないことが多くありませんか?グラム数や入数は必ず明記されているのですが、それが何人分になるのか、何回分になるのか、上手く説明するのは難しいです。残念ながら「お好みですが、この量ですと4人分ですかね?」と曖昧になることが多いのが現状です。
薬もそうです。だいたいが「何個入り」との表記がありますが、大人何日分とは書いていないのです。
★お客さまが知りたい情報★
この秋、スーパーの売り場では鍋物用の商品が目立っています。具材と並んで出汁つゆが瓶入りで売っていました。従業員の方に「この瓶で鍋何人分ですか?」と聞いてみました。すると悩みながら「500㎖だから、えーと・・・」といって正確には答えられませんでした。お客さまは、量の表記があるものの、1杯あたり何㎖使うのか、さっぱり見当がつかないので、この瓶を買っていいのか迷ってしまいます。結局、つゆ入りの具材パックを買うことになりました。
お客さまが知りたい情報は、「量」「価格」「高い」「安い」ではなく、「何回分」「何人分」「1回当たり、1人当たりの価格」なのです。
「1人分で約○○㏄使うので、ご家族でしたら1回あたり○○㎖です。この量だとお鍋○○食分くらいでしょう」と答えてくれると納得できますね。
★価値トークとは★
下の図のように、お客さまにとってその「商品価値が魅力として『単価』で伝わる」ことを「価値トーク」と名付けました。
ーーー価値トークの例ーーー
<商品価値> <お客さまの知りたい情報> <伝え方>
▸『量』(g、㎖等)『何人分』『何回分』『何食分』・・・『1食あたり○○円』
▸『味』 『頻度』(特別の日、毎日等)『○○%減』・『1か月○○円減』
▸『賞味期限』 『何日間』『何週間』『何か月』・・・『1日あたり○○円』
▸『価格』 上記に対する『単価』『お得感』・・・『1回分が無料』『1食分が無料』
グラム数よりも、「この量で10回分なら、納得の価格である」と認識したときに、お客さまにとって価値がある買い物ができたということになります。
賞味期限は長くなるほど単価との釣り合いが気になります。
味についても、例えば「年1回のご褒美」であれば、たった1食でも価格の高さが気にならず欲しくなるものです。また「塩分○○%カット」よりも、「1か月で○○円分節約」と伝えると分かりやすいです。
特に、商品の値引きをする際にはそれがとても効果的です。「300円引きだと1食分が無料になります」というトークができるのです。食品ではありませんが、その事例を次に紹介します。
★「それは価値がある!」★
あるスーパーの店頭で、提携クレジットカードの会員募集をしていました。担当者のセールストークで、「このカードはポイントも溜り、映画チケットも割引になりますよ!」と、積極的にアピールしていました。
その後、「映画はよくご覧になりますか?」と質問がありました。たまに観ることを伝えると、「それは良かったです。一回あたり300円引きになります」と軽快に伝えてくれましたが、300円引きだけではどのくらいお得で価値があるのか、ピンときません。
少し考えていると「年間でどれくらい行かれますか?いつも何名様ですか?」と聞かれ、「2人で5回くらいかな」と答えると、「それでしたら、年に1回分、お二人が無料で観られる計算になります!お得ですよね?」
連れのお客さまの分も割引対象になるので、5回の利用で1回分が無料になる計算なのです。
思わず「それは価値がある!」と納得しました。
如何ですか?皆さんも工夫して「価値トーク」を使って、お客さまに「これはお得!」と言っていただきましょう。
私たち「おもてなし経営クリエイション・アカデミー」では、売り手の思考ではなく、お客さまが求めていることにフォーカスを当てた接客練習を行っています。
お問い合わせはこちらからどうぞ⇒https://www.omotenashikeiei.co.jp/
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