コロナ禍の飲食店から【Part1】~原点回帰~
新型コロナウイルスの影響で、採用面接をオンラインで行っている企業が増えてきております。オンライン面接は対面での面接以上に相手を見抜く面接官の能力が問われますが、限られた時間、画面越しという制約の中で、どのような質問で相手の本質を見極めるのか、という点が課題となります。見極めるべき能力である「コミュニケーション能力」や「主体性」、「メンバーシップ(チームワーク力)」や「レジリエンス(メンタルタフネスと言われるストレス耐性)」をオンライン面接でも見極めるテクニックを習得する研修を、オンラインで開催しました。その内容をダイジェスト版でお伝えします。
就職難が急にやってきた
昨年同時期の内定率は約70%であったのが、今年は56%と急激にダウンしています。採用数のダウンや採用自体を取り止める企業が増えています。就活生は面接の中止、延期など、予定していた活動が一向に進まないで困っているようです。求人倍率も、オイルショック以来のダウン率だとか。今までは積極的に採用をしていた企業が、少数で能力の高い学生に絞るという傾向が始まりました。しかし、対面で面接できないので、オンラインでどこまで見極めるか苦労をしている採用担当者も多くいるようです。
そんな中、オンラインでの採用の秘訣をお伝えしました。
オンラインだと会話に集中できる
オンラインでは胸から上しか見えないので、全体の容姿がつかめません。画面では表情も上手く読み取れないことがあります。そんな中だからこそ、会話に集中できます。他の情報(容姿、姿勢)などに惑わされず、話している言葉に集中できる環境が整っていると言えます。それを活かして、楽しい会話を心がけると良いでしょう。応募者の能力の見極めに集中することができるのです。
コンピテンシーを見極める
面接での評価は○×だけではありません。面接の時の評価と違い採用後に能力が発揮できないにというリスクを避けなければなりません。また、隠れている能力が見つけられず不採用にしてしまうというもったいないことも起こり得ます。これを回避するために、コンピテンシーを見極めるのです。コンピテンシーとは、「行動特性」のことを言います。いわゆる、「実際に行動できているのか?」という能力でです。「~を意識しています」「~を心がけている」という会話があっても、「何をやったのか、どう行動したのか」を確認しなければなりません。このコンピテンシーの見極めが質問力です。
能力よりも活躍する期待度を探る
人の能力には大きく3つあります。まず「意思決定能力」です。何かを判断するために決定する力があるかを聞き取ります。その際、「根拠」がしっかりしているかを質問します。例えば、「それに決めたのはどういう課題があったのですか?」と質問し、行動の根拠を確認します。次に、「対人特性能力」です。相手に影響力を如何に発揮できるかという能力ですが、一方的では困ります。「傾聴」があってこそ相手が動くのです。その際「悩んだ時には何かしましたか?」と質問します。すると、影響力を与えた行動の元が読み取れます。3つ目は「個人特性能力」です。知恵を使い工夫をして発案をしているかの能力ですが、これも誰かの真似であったり、参考にした本のままでは意味がありません。自分で能動的に考えたり相談した新しい発想を持っているかを確認しなければなりません。その際「そのアイデアはどう説得しましたか?」と聞き取ります。
これらの3つの能力を確認しながら、どれだけ人に関与しているかを読み取ります。この関与した行動があると、仕事に入った時の期待度が高まります。
質問力は答えを持たないこと
面接官はついつい答えを持ってしまいます。「きっと上手くいったのですね?」「その考えは良いと思いましたか?」等、面接官が話の流から想定して正解を確認したくなってしまうのです。これでは、応募者は「はい、いいえ」でしか答えません。本質が見えてこないのです。「成果は出ましたか?」や「どこが問題でしたか?」というように、事実を聴き出す質問をして、相手の行動を読み取るのです。その行動の中に活躍の可能性があるのです。
また、質問の答えの中で「主語は誰か?」を聞き逃さないことです。「私は…」を使用しているか必ず確認します。質問を深掘りすることでその主体性が見えてきます。採用して現場に出た時にはこの主体性が大きく影響してきます。
ストレス耐性を見極める方法
最近はストレスで行き詰ってしまうビジネスパーソンが多くなっています。採用して実際に現場に出たとき、本人の考えと現場とのギャップで悩む人も多くいます。ストレス耐性は面接で見極められます。
まず、ストレッサー(ストレスを引き起こす出来事)を自分で仕分けできているかです。自分の性格なのか、癖や行動によるものなのか、周囲の環境や仕事上の役割なのかをしっかりと区別できることです。その上で、仕分けごとに対策を打っているかを確認していきます。「大きな壁を感じたことを教えてください」と、まずストレッサーを探ります。次に「どう対処しましたか?」と対策を聞いていきます。すると、ストレッサーの起因が分かり、自分の努力で対処法を考えた能力があるかを見極めます。こうして、ストレス耐性があるかを確認していきます。これは必ず導入していきたい面接でのプロセスです。
面接官の4つの「いけない」対応
最後に面接官がやってはいけない4つの対応を学んでいただきました。1つ目は「答えを持たない」です。これは前述しましたが、答えを言わず「知らないふり」をして答えを引き出すことが大切です。
2つ目は、「相対評価をしない」です。面接官は目の前の人に集中し、絶対評価をしてください。前の応募者と比較したり、応募者の経験に左右されてはいけません。面接での採点は絶対評価を心がけます。
3つ目に「面接途中で合否判断しない」ことです。途中で判断してしまうと、本音が聞き出せません。また、面接官の好みに偏った採用になりがちです。多様性の中から仕事の広がりを期待できる人を見極めます。
最後に「期待値とお願いを混同しない」です。「長く続けて欲しい」などと言っても組織都合の話で、応募者には効果はありません。応募者にとって未来が見える言葉をかけます。面接の中で感じた能力につなげて期待値を伝えるようにしていきます。
オンライン面接では相手の会話に集中し、潜在的可能性を見つけることです。そのカギは過去の地道な行動・努力になります。これを質問により聞き出し、能力や経験だけではなく、「持続性」「好奇心」「チャレンジ性」「柔軟性」のある人材を発掘してください。
これからもオンライン採用面接が続いていくようです。具体的な面接官の姿勢から会話のテクニックまで、オンライン研修を承っております。
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