新型コロナ後の飲食業のあり方【Part1】 ~急がば回れ!~

伊東久

伊東久

テーマ:組織活性化プログラムのご案内



 私が飲食店の店長をしていたころ、ランチタイムにどれだけ集客し回転を上げて売上を確保するかというやり方を、必死になって取り組んでいました。客数を取るための呼び込み、席を埋めるための誘導、相席、レジの回転を速めるためのトレーニング、早く退店を促す声かけまで、今考えるととても自己都合なやり方をしていたと猛省しています。

ソーシャル・ディスタンスが当たり前

 新型コロナの影響で、どの飲食店も休業や自粛営業を余儀なくされています。自粛の影響で客数が落ちているのはもちろん、店内のソーシャル・ディスタンスを確保するための席数の削減もほとんどの飲食店で取り組んでいます。あるファミレスを利用した際、店内の使用できる席数は50%に削減、従って席が空いているにも関わらず、店頭には順番待ちのお客様数名が間隔を空けて並んでいます。本来ならどんどん詰めて座っていただき、少しでも売上を確保していきたいところですが、残念ながら今はできません。並んでいるお客様からはクレームが出ません。むしろ詰めて座ってもらうとクレームになってしまうのが今の飲食店です。

キャパシティ産業の転換期

 飲食店などのようにお客様が一定の空間を利用する商売のことを、私は「キャパシティ産業」と言っています。客席数が限られているので、その客席よりもお客様が来店されたら、入店につながらず売上のキャパシティが限られてしまうからです。その限られた中でどれだけ売上を高めるかが勝負になる商売だとも言えます。ホテルの宿泊部門や映画館などもこの部類に入るでしょう。
 この業界が、新型コロナの影響で大きな転換期に来ています。キャパシティを十分に活用できず、客席を全て使えないのです。入店するお客様をお断りしなければならないのです。入店するお客様を断っている方が、「しっかりと対策をしている」と褒められるようになりました。

集客よりも来店頻度にこだわる

 では、これからの飲食業は何をすればいいか。

①店内のお客様環境を見直す
 お客様の触れるところを中心に、清掃や除菌などのルールを見直す必要があります。また、シーシャル・ディスタンスを保つ設備の確保が欠かせません。取り組みが多い分、お客様の安心感が増えます。

②サービスの質を見直す
 笑顔と挨拶はもちろん今まで通り必要ですが、元気さは少し弱めなければなりません。大声で挨拶をしていたら、この時期お客様は敬遠してしまうでしょう。お客様に目線を合わせた気配りや、要望への察知などのレベルアップが必要です。お客様との会話も控えなければなりません。ほんの一言で効果的な声がけのレベルを上げる必要があります。①の清掃や除菌への動きをアピールすることも効果的です。

③次につながるプロモーションを考える
 せっかくの来店に対し、次につながる販促を考えましょう。新しいメニュー紹介や割引券などの配布などを検討するのも良い方法です。接客力を上げて、是非次の来店をアピールしたいです。

④アイドル時間の集客策
 ③にもつながりますが、ピーク時間の集客には限界があります。その分、アイドル時間で利用していただける方法を考えましょう。「ハッピーアワー」などの取り組みはその一つですね。

急がば回れ!

 これらの対策を実施していくと、必然的にお客様の来店頻度が上がってきます。そして、これらはそもそも飲食店の原点に返ることなのです。これが「急がば回れ!」です。目先の客数にこだわるのではなく、今来店している一人ひとりのお客様をどれだけ大切にできるか、食事を楽しんでいただけるかを、しっかりと見つめていかなければなりません。自粛の影響で苦しんでいる時ですが、本来のCS向上を取り戻すいいきっかけにしたいですね。

 更にお店に合った具体的な対策をアドバイスします。お申し込みはこちらからどうぞ→おもてなし経営研究所

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

伊東久
専門家

伊東久(経営コンサルタント)

株式会社おもてなし経営研究所

現場での接客と、組織マネジメントの経験を併せ持った視点から、顧客に愛され支持される「おもてなし経営」を目指した組織づくりを支援。従業員の力を引き出すコンサルティングと豊富な経験談を交えた研修が好評。

伊東久プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

従業員に顧客志向を根付かせ組織を成長させる経営コンサルタント

伊東久プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼