閑散期の長期空室を避ける募集条件の作り方 vol.01
「各住戸の賃料を決める 」
下記のような物件を想定してお話します。
・世田谷区の新築アパート(軽量鉄骨)
・総戸数12戸 ワンフロア4戸の3階建て
・1K 25平米 10万円前後
私が最初にやることは各住戸の眺望や午前中と夕方の日当たりの確認。
できれば各住戸の中から確認をします。
工事の内容によっては中に入れない時もあるので、そんなときは周囲を延々と徘徊して、基準住戸(2階中部屋)に対しての各住戸の得手不得手、特徴、印象をメモします。
こう書くと図面に細かい文字がびっしり書き込まれていそうですが「202:203と同じ」とかもあります。
で、基準住戸に対して下記を当てはめていきます。
・1階と2階の階数賃料差(1,000円~3,000円)
・2階以上の各階賃料差(1,000円~3,000円)
・角部屋(+1,000円~2,000円)
上記に追加して、
・眺望(広さ、抜け感)
・日当たり(時間帯)
・騒音(道路や商業施設の位置)
・二面採光(角部屋にプラスし住戸の独立性、開放感)
・最上階(上階の騒音なし)
・バルコニーの有無、広さ(夢が広がる)
・設備が異なればその差も(独立洗面等)
なんていう要素を加味します。
googleスプレッドシートで鳥かごを作り、2階の真ん中の部屋のセルを基準住戸とし、周りの住戸セルに+1,000、-2,000、105%と式を入れていきます。
色んなプラスマイナスの矛盾を調整し、でも机上の整合性よりも内見時のWow!や暮らしやすさを重視して、さらには今回のリーシング戦略を考慮して数字を詰めていきます。
最後にオーナーと打ち合わせをして意向を頂き、合計賃料と方向性と戦略をもみもみして決定です。
合計賃料をいじりたい時は、基準住戸の数字を変えるだけですべての住戸の賃料を変えられるので便利です。
でも実際に合計賃料をいじる時は「いやさすがにこの部屋でこの賃料は・・、そこは据え置きでこの上の住戸にその分を」という感じで、往々にして計算式も再度いじるのですが。
ただ、ここで決定した募集賃料はマーケットに出した二週間後に再考します。
判断材料は
・その二週間での反響(問い合わせ、内見、申し込み)
・当初に描いたリーシング戦略との乖離部分(3階から埋まっていくと思いきや1階から申し込みが入った等)
次回は「直接のライバル関係になる競合募集物件の進捗状況からリーシング戦略を決める」です。