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大槻圭将

豊富な情報と充実したサービスを強みとする不動産経営の伴走者

大槻圭将(おおつきけいしょう) / 不動産コンサルタント

株式会社ノースエステート

コラム

「オーナー、募集中の住戸はネットで公開されていますか?」

2015年7月14日

テーマ:不動産管理|マーケットリポート

コラムカテゴリ:住宅・建物



先日、ノースのプロパティマネジメント部に「他社で募集しているが空室が埋まらない」という相談を受けました。
物件は築27年、都心郊外のアパート。前入居者が退去してから一年以上経つとのこと。

こういうケースでまず思いつくのは、
1.近隣競合物件に募集条件で負けている(賃料がマーケットアウト等)
2.物件に問題がある(住戸は綺麗でも共用部に放置自転車等)
3.物件周辺に問題がある(騒音の出る施設等)
4.管理会社の募集形態に問題がある(ネット等、各媒体への露出不足)
といったところです。



で、まずは弊社の担当エージェントが募集状況を調べたところ、なんとどこにも(業者専用データベースにも大手ポータルサイトにも)その住戸の情報は出ていないとのこと。
いやいや、両手狙い(貸主・借主の双方から手数料を収受)の管理会社でも「客付け不可」で大手ポータルに載せるだろう、と再度確認してもらいましたが、やはり無いとのこと。
結論は「倍の収益を得ようと一年間も悪意ある情報非公開をしている管理会社」、ではなく「かなりお歳を召されてネットを使えない管理会社」というオチでした。



そう言えば90年代後半の不動産業者は、レインズ(業者用データベース)もPCで閲覧するのではなく、FAX-OCRで登録したり情報を取り寄せている業者がまだ多く存在していました。
Windows95が発表されてまだ数年ですもんね。
その頃の借主は住みたい駅まで足を運び「こんな物件を探してるんですけど」と店舗を回り、また私共の業態も当然地域密着型で「この賃料帯ならあのオジイチャンの管理会社がナイスな物件を持っている」なんて言うマメ知識の蓄積が重要だったりしました。
白髪のおじいちゃんに電話をかけ、「特徴:ダブルカーテンレール」なんて毛筆で書いてある物件図面(間取り図も手書き)をFAXで貰っていたのがつい数年前のように感じます。
何回か良い借主を紹介すると、オジイチャンに顔と名前を覚えられ、空室が出ると勝手に私宛にFAXをくれるようになったり。
もちろんネット反響という言葉も無く、「集客」=「店舗の看板」でして、思い返すとのどかな時代でした。

で、くだんのオーナーに「これ、まったく募集されてないですね」と言うと「いや、お店の看板には募集図面を張ってくれてるんですけれど」とのこと。
優雅なタイムスリップをさせていただきました。ではなくて、オーナー、ネット掲載をしていない=募集されていない、ですよ。悪意が無くても。
ちなみにノースエステートでは募集開始と共にオーナーに物件を掲載したURLをお知らせしています。

長期空室住戸を抱えるレンダー(貸主)は、「自分の所有する物件がどういう形でネットに掲載されているか」、そして同時に「近隣類似物件と比較して高いのか安いのか」、その辺も一度リサーチしてみてください。
特に今回のようなトラディショナルな管理会社に物件を委託している場合は、ご自身でのチェックはより重要度を増すかもしれません。

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