離婚と親権・養育費はどう変わる? 2026年民法改正のポイントと注意点

西山広高

西山広高

テーマ:FP

離婚と相続は切り離せない問題


相続や不動産のご相談を受けていると、「離婚」に関する話題になることが少なくありません。
すでに離婚されている方の相続対策はもちろん、「これから離婚を考えている」という段階でのご相談も珍しくありません。

離婚を前提とする場合、離婚前と離婚後では相続人の構成が大きく変わるため、相続対策の前提そのものが変わってしまいます。
そのため、実務上は非常に慎重な判断が必要となり、簡単に話を進めることが難しいケースも多くあります。

結婚は当事者の合意で成立しますが、離婚の場合はそう単純ではありません。
未成年の子どもがいる場合には親権の問題、さらに財産分与や養育費など、多くの取り決めが必要となります。
しかし、関係が悪化している夫婦間でこれらの協議を進めることは容易ではなく、離婚成立までに数年かかるケースもあります。

親権とは何か


未成年の子どもがいる場合、離婚時に必ず決めなければならないのが「親権」です。
親権とは、子どもが成人するまでの間、

  • 生活や教育を行う「身上監護」
  • 財産を管理する「財産管理」


といった権利であると同時に義務でもあります。
従来の民法では、離婚後は父母のどちらか一方を親権者とする「単独親権」が原則とされてきました。

親権者は話し合いで決めますが、合意できない場合は家庭裁判所が「子の利益」を最優先に判断します。
なお、離婚した夫婦のうち、未成年の子どもがいる割合は半数を超えており、親権の問題は多くの家庭に関わる重要なテーマです。

2026年民法改正のポイント(共同親権の導入)


2026年4月1日施行の民法改正により、「共同親権」という選択肢が新たに加わります。
これまで日本では、1947年の民法制定以来、離婚後は単独親権とする仕組みが続いてきました。
その背景には、離婚後は別居が前提であり、共同での意思決定は難しいと考えられていたことがあります。

しかし近年では、

  • 離婚後に一方の親と会えなくなる問題
  • 養育費の不払い
  • 国際離婚における子の連れ去り問題


などが指摘されてきました。
また、海外では共同親権が一般的であることもあり、日本でも長年にわたり議論が重ねられてきました。

今回の改正では、「共同親権」と「単独親権」を選択できる制度となり、最終的には家庭裁判所が判断することも可能です。
制度の根底にあるのは、「親の権利」ではなく「子どもの利益を最優先に考える」という考え方です。

共同親権のメリットと注意点


共同親権のメリットとしては、離婚後も両親が子どもの養育に関わることができる点が挙げられます。
一方の親に負担が集中するのを防ぎ、子どもにとっても両親との関係を維持しやすくなります。

しかし、注意すべき点も少なくありません。
共同親権では、進学や医療、転居といった重要事項については原則として双方の合意が必要となります。
そのため、意見が対立した場合には意思決定が進まないリスクがあります。
また、どこまでが日常的な判断で、どこからが共同で決定すべき事項なのか、その線引きがあいまいな部分もあり、実務上の混乱が想定されます。
さらに、離婚後も元夫婦としての関係が完全には切れないため、対立が継続する可能性がある点も見逃せません。

実務上注意すべきケース


特に注意が必要なのは、離婚時に十分な話し合いができていないまま共同親権を選択するケースです。
例えば、

  • 離婚時に強い対立があった
  • 弁護士を通じてしかやり取りできない
  • 価値観や教育方針が大きく異なる


といった場合、離婚後の共同での意思決定は非常に難しくなります。

また、「共同親権にする」という合意だけで、具体的な役割分担や意思決定のルールを決めていない場合も危険です。
日常の些細な判断からトラブルに発展する可能性があります。

特に不動産や預貯金などの「資産」が絡む場面では、意見の対立が顕在化しやすく、紛争に発展するケースも少なくありません。
共同親権が適しているのは、感情的な対立が少なく、一定のコミュニケーションが取れ、価値観が近い場合といえるでしょう。
もっとも、そのような関係であれば、そもそも離婚しないのでは…とも感じますが。

養育費・財産分与の改正ポイント


今回の改正では、養育費についても見直しが行われます。
これまで、養育費の取り決めがないケースや、取り決めがあっても支払いが滞るケースが多く存在していました。

改正により、一定の基準に基づく「法定養育費」を請求できる仕組みが整備される予定です。
(具体的な金額は今後の基準によります)

また、養育費については従来よりも強い回収手段が認められる方向となっていますが、実務上は引き続き公正証書や調停調書を整備しておくことが重要です。

さらに、財産分与の請求期限は従来の2年から5年に延長されます。
これにより、離婚後に落ち着いてから財産関係の整理を行う余地が広がります。

あわせて、年金分割についても重要なポイントです。
年金分割には「合意分割」と「3号分割」があり、婚姻期間中に納めた厚生年金の記録を当事者間で分ける制度です。
離婚時に見落とされがちですが、将来の生活設計に大きく影響するため、必ず確認しておくべき項目です。

また、財産分与や養育費の協議・調停において、相手の財産や収入が不明な場合には、家庭裁判所を通じて財産情報の開示を求める制度も整備され、より実効性のある解決が期待されています。

まとめ


今回の民法改正により、離婚後の親権について「共同親権」という新たな選択肢が加わりました。
制度の根底にあるのは、「親の権利」ではなく「子どもの利益を最優先に考える」という考え方です。

一方で、共同親権は万能ではありません。

両親の関係性や価値観によっては、かえって意思決定が難しくなり、子どもに負担をかけてしまう可能性もあります。

また、養育費や財産分与についても制度が見直され、これまで以上に「離婚時の取り決めの重要性」が高まっています。
離婚は単なる夫婦間の問題ではなく、子どもの将来や相続・資産管理にも大きく影響する重要なライフイベントです。
そのため、「とりあえず離婚する」のではなく、親権の選択、養育費の取り決め、財産分与の整理などを総合的に考えることが不可欠です。



西山ライフデザインでは、FP事務所として相続・不動産の視点も踏まえながら、将来のトラブルを見据えたアドバイスを行っています。
少しでも不安がある方は、お気軽にご相談ください。


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西山広高
専門家

西山広高(ファイナンシャルプランナー)

西山ライフデザイン株式会社

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