住宅ローン減税の見直し案について

西山広高

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テーマ:不動産

住宅ローン減税の見直し案について

2021年の税制改正での住宅ローン減税に関する政府与党の見直し案が公表されました。

・13年間の控除が受けられる特例の入居期限条件を2022年末まで延長
・対象物件の床面積要件を「50㎡以上」から一定条件のもと「40㎡以上」まで緩和

消費税増税に伴い10年から13年に延長されている住宅ローン減税の控除期間。年末の残高の1%が所得税から控除される制度ですが、コロナウイルスの感染拡大による影響も踏まえ、延長される方針です。

また、これまで床面積50㎡以上の住宅に限られていた対象が1000万円の所得制限を設けたうえで40㎡以上に緩和することとしています。

確かに、夫婦共稼ぎでお子様がいない世帯(最近あまり言わなくなりましたがいわゆる「DINKS」)も増えており、こうした面積の住居の需要も以前より高まっていると思います。

・控除額を利払い分の金額を上限に

22年度の改正での議論になるようですが、控除額の上限を利払い分に限定する検討もされるようです。

最近の変動金利では1%を下回るケースも少なくありません。
この場合、実際に支払った金利よりも多くの金額が戻ることになり「減税という観点で考えればおかしい」という議論になるのもうなずけます。



「住宅購入を促す」という意味で住宅ローン減税には一定の効果があることは間違いないでしょう。




ただ、この住宅ローン減税という制度は問題があるようにも感じます。

住宅ローン減税は一定の条件を満たす住宅を購入した際に住宅ローンを組んだ場合にのみ適用されます。借入金の残高の1%が所得税から控除されるので、なるべくたくさん借りた方が得、ということになります。
住宅購入資金以外にも財産があればよいのですが、貯蓄のほとんどを住宅購入に充ててしまい、当初もくろんでいた収入を得られなくなった場合(コロナ禍でそういう人は少なくないと思います)、住宅ローンの返済が負担になってしまうこともあり得ます。

実際、住宅ローンの返済ができず破綻してしまうケースが時々話題になるようになりました。

住宅取得資金の一部を借り入れで調達すること自体は問題ではありません。しかし、過度な借り入れは自分を苦しめることになる可能性も否定できません。

借り入れる側、購入者側の問題ともいえますが、住宅取得資金について実際に計画的に将来の収入計画や住宅以外の必要資金について深く考えて予算を立てている人はそう多くないのが現実ではないでしょうか。

住宅ローンの返済期間中(返済完了まで)、いくらずつなら返せるかを考えるべきですが、実際にはいくらまで借りられるかで予算を決めている人が多いと感じます。

制度や借入限度額に惑わされることなく、堅実な検討が重要です。


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西山広高
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