セミナー開催報告
正直な不動産屋は少ない!?
「不動産業者」にあまりよくないイメージをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
昭和27年に「宅地建物取引業法」が制定されるまで、日本では特に資格が無くても不動産取引を仲介することができました。
戦後、悪質な業者が横行したと言います。
法律が制定されるまでの間の悪質な不動産業がイメージを悪くしたと言えるのではないでしょうか。
また、「地上げ」という言葉をご存知の方も多いでしょう。
建物を建てるには土地が必要です。大きな建物を建てるには大きな土地が必要になります。
大きな土地が欲しい会社や個人が細かく細分化されている土地を同時期に買い上げるためには時間や労力がかかります。
また、1件でもまとまらなければ計画が実現できないというリスクもあります。
そのため、最終的に土地を取得する個人や企業に代わり、土地をまとめて取得する業者が存在しました。
それがいわゆる「地上げ屋」です。
しかし、こうした業者はそこに住む人の生活基盤、事業を営む会社などの事業基盤である大切な不動産を手荒い行為をしてでも買い上げることもありました。
こうした業者の存在が不動産業全体のイメージを悪化させたという側面も否めません。
昭和33年には宅地建物取引主任者(現 宅地建物取引士)という資格が創設されました。
不動産の取引に当たっては一定レベル以上の知識を持つ者が対応するようにし、安心して不動産取引を行えるようにすることを目的に創設された資格です。
いまはどの不動産業者も安心?
では今はどの不動産業者に頼んでも安心なのでしょうか。
残念ながらそうとは言えない実態があります。
不動産業はお客様からいただく「仲介手数料」で成り立っています。
マイホームが欲しい人が、不動産業者に物件探しを依頼したとします。
不動産業者はお客様のニーズに合った不動産を紹介し、気に入った物件があれば売主との間で売買代金や物件の引き渡し時の状況の確認、契約時期や引渡時期などの条件を調整、物件に関する調査結果を契約前に重要事項説明として行い、ご納得をいただいたうえで契約、引き渡しまでをお手伝いする、というのがあるべき姿でしょう。
不動産の売買では売主と買主がいます。
ほとんどの場合、「不動産仲介業者」が間に入ります。
日本では所有している「不動産の売却を依頼される業者」と、「不動産の購入希望し、不動産探しの依頼を受ける業者」が同じであることが少なくありません。
多くの業者が不動産を買いたい人からの依頼に対し、まず自社が売却を依頼された物件を勧めます
買主が気に入ればその業者一社のみが両者の間に入り、その業者は売主と買主の双方から手数料を受領することができます。
仲介業者は売主と買主の両方から仲介手数料を受領するので「両手取引」と言われます。
本当に気に入った物件に出会えれば良いのですが、これらの業者はまず手持ちの物件を勧め「なんとか両手取引にしたい」と考える傾向が強くあります。
不動産業者が売主買主の一方から受領できる仲介手数料については国土交通省の通達によって上限が定められています。
両手取引になると、売主、買主からそれぞれこの金額を受領でき、一件の取引で倍の仲介手数料を受領できることになります。
不動産を売却する「売主」は「できればなるべく高く売りたい」と考え、買主は「なるべく安く買いたい」「安全に取引したい」と考えでしょう。
売主と買主の希望は全く異なり、利益相反の関係にあります。
物件価格が高いほうが業者の受領できる仲介手数料も大きくなります。
業者が「とにかくこの契約を早くまとめたい」と考えれば、売主に売却価格を下げてもらってでもまとめたいと考えるでしょう。
(もちろん、売主には「買主がどうしても予算的にこの金額でないと厳しいとおっしゃられています」などと話して説得を試みるはずです。)
弁護士は利益が相反する当事者双方を弁護することが禁止されています。
不動産業界でも問題視はされているものの、今もこうした事例はむしろ常識と言ってもよい状況です。
弊社は、お客様の立場に立って考えた場合、売主側と買主側の仲介業者は別であるべきだと考えます。
売主のためには少しでも良い条件で売却するお手伝いをし、買主のためには少しでも良い条件で安心して不動産を購入するお手伝いをする。
お客さまの大切な資産であり、その資産の売却は大きな金額になります。
それぞれの役割を明確にすることで、お客様はより安心して不動産取引ができると考えます。
不動産業者と一般消費者間の「知識の不均衡」
不動産業者はこうした業務に年に何件も携わるプロです。
一方、一般の消費者にとって不動産取引は一生のうちに何件も経験するものではありません。
最近ではインターネットの普及によって、様々な情報が手に入るようになり、情報格差は少し縮まったようにも感じます。
しかし、感じのいい不動産業者が説得を試みると、経験の少ない一般の方々は「そういうものかな」と納得させられてしまうこともあるでしょう。
感じのいい営業マンであっても、いや、むしろ感じのいい営業マンであるほど表の顔と自分の本心や会社の本音を使い分けていると言えるように感じます。
こうした背景から「正直な不動産屋」というのはとても少ない、というのが現実であったりします。
西山ライフデザインの仕事
この世に同じものが一つとして存在しない不動産。
それぞれに良い点もあれば、悪い点もあります。
ある人が「良い」と感じるポイントが別の人には欠点だったりすることもあります。
不動産業者の良し悪しを一般の方が判断するのはとても難しいことです。
物理的・法的な規制があり、いざ建物を建てるときにそれを知らなかったがために思った建物が建たないことに気づくというのでは大問題です。
こうした調査などを徹底して行い、チェックすることはもちろんですが、後にトラブルになりそうなことは最初からきちんとお伝えしなければいけません。
弊社も不動産業者であり、弊社が「わが社は正直な不動産屋です」と言ってもなかなか伝わらないのも無理はありません。
少しでも弊社が「正直な不動産屋」「お客様の立場を最優先に考える不動産屋」であることをご理解いただくために、弊社では「両手取引」を行わないことを表明しています。
お客様が安心して不動産を売買できるよう誠意を持って対応し、お客様から「ありがとう」の言葉をいただくことを最大の報酬と考えています。
仲介手数料としてお支払いいただく金額以上の安心・納得・サービスをお客様ご提供できるよう努めます。