「健康寿命」と「読書」の関係
昨日、働き方改革に関して私が考える懸念点の一つをお伝えしました。
昨日の話はどちらかというと雇用する側の取り組みに対する懸念点だったと思います。
働き方改革と言っても今の政治や社会の取り組みはひょっとすると「働かせ方改革」なのかもしれません。
日本の会社は海外に比べ、労働時間に対して稼ぐ効率が悪いと言われます。
仕事をより効率よく稼ぐ力に変えるためには企業側の努力が必要、という観点からの取り組みが先行していると考えられます。
しかし、一方で働く人にとっても、意識のバージョンアップが必要です。
働き方改革によって効率よく働いた結果、生まれる自分の時間をどのように使うかという
私自身はファイナンシャル・プランナーですから、人生におけるお金との付き合い方について常日頃から考えています。
しかしながら、生きていくうえで必要なのはお金だけではありません。
むしろ、その前提条件として「どのように生きるのか」「どのように生きたいのか」ということがあります。
これまでに定年を迎えられた人、あるいはもう定年間近という人に比べ、現在50代以下の人たちは老後の資産形成について考える必要性は増しています。
人生100年時代となり、これから先の長い人生を自分らしく、楽しく、安心して生きていくためにはお金ももちろん必要です。
しかし、仮に65歳で定年したとしても100歳まではあと35年。
90歳まで生きるとしても25年。
この期間を全く不自由なく余裕をもって生きるために必要な資産を定年時に確保できている人は少ないと思います。
年金はもらえるでしょう(額や支給期間は減るでしょうが)。
しかし、それだけでは不足である場合が大半です。
実際、弊社にご相談に見える方の将来のキャッシュフロー表を作成すると悲観的な予測が出ることは少なくありません。
不足する場合の対策として、最も効果的なのは
「65歳以降も収入源を確保する」
ということだと思います。
ひとつの収入現として考えられるのは「退職金などの運用益」があります。
しかし、いつ終わるかわからない低金利時代の中、これに頼るのはリスクがあります。
確実に収入となり、老後の資産の減少スピードを抑えるのに効果がある方法は
「定年後も働く」ことです。
しかし、会社はこれまでの仕組みから考えても、いつまでも年寄りが会社に残ると弊害が出ます。
後に続く人たちにとっては、既に役職定年になっていたりしても過去のひとたちの目が気になるでしょう。
残る年寄り(表現は適切ではないかもしれませんが)達にとっても、かつての部下が上司になることに抵抗がある人は少なくないでしょう。
かといって、家に閉じこもっているだけでは何も生まれません。
私は、働き方改革で生み出される自分の時間の使い方として、最も有効なのは「学ぶこと」だと考えます。
勉強する、というのとは少し違うと思います。
もちろん、仕事に直結するスキルを身に着けられればベストですが、それだけに限りません。
趣味の延長線上の事でもいいでしょう。
例えば、何らかのハンドクラフトをする技術を身につける。
アクセサリーや編み物、ぬいぐるみを作ったり、木工製品を作ったり、陶芸をしてみたり。
最近では、インターネットなどを使えば、だれでも仮想店舗でお店を持てる時代です。
いま「作る技術」を身につけ、将来はそれを売れるくらいまで技術を高める、ということに繋がるならばすばらしい学びになるでしょう。
選択肢はそれだけではありません。
今後、多くの職種がAIに置き換わると言われています。
一方で、絶対にAIに置き換わらない仕事のひとつに芸術や人のセンスに訴える職種やモノを扱う仕事があります。
今の仕事をしていることによる経験の蓄積が将来の役に立つとは限りません。
働き方改革によって生み出される時間をそんな準備のために使うのは良いことだと思います。