今後の地価推移予測と住宅購入のアドバイス

西山広高

西山広高

テーマ:不動産

先日、基準地価が公表されました。
住宅地の価格は23区内のみならず、都心近郊の多くの地点で横ばいかやや上昇している傾向があります。
私は、「将来の資産価値」を意識した住宅購入をご相談にお越しになる方々にお勧めしています。
最近の地価の推移を元に、これから住宅を購入しようとする方のご参考になればと思います。

基準地価の概況


基準地価は国土交通省が7月1日時点の地価について都道府県が行った調査をもとに公表するものです。
1月1日時点の地価を国が調査し公表する公示地価と並んで周辺の土地価格の指標となります。

公表された基準地価全体としては全調査地点の平均が27年ぶりに上昇に転じたことが大きなポイントですが、内容をよく見ると上昇した地点の上昇率が高く平均を押し上げているように感じます。
商業用途の土地は都内中心部のほか、地方都市の中心部でも多くの地点で上昇しています。
都内中心部では、バブル期の価格を超えているところも少なくありません。
インバウンド効果もあり、ホテルなどの立地になるような地点は大幅に上昇しているところもあります。

一方で、地方の人口が減少しているエリアではやはり下落している地点が多く、地価の二極化が進行しているものと思われます。
今後も、住宅地の価格は二極化が進むでしょう。
特に既に人口が減少しているエリアは今後さらに下落幅が拡大していくことは間違いありません。

都心近郊の地価推移


弊社がお手伝いすることの多い、大田区、世田谷区、品川区、目黒区のいわゆる城南エリアの居住用の不動産はほとんどの地点で少しずつ上昇しています。
その他のエリアも都心近郊は同じような傾向がみられます。
以前、土地神話があった時代には「不動産は値上がりするもの」と誰もが信じていましたが、バブル崩壊以降、さすがにそのように考えている人はいなくなりました。
しかし、バブル期の自分の家の土地価格をご存知の方は、改めて土地価格を調べてみて、「一時期は今の倍くらいしていたのに…」と残念そうな顔をされる方もいらっしゃいます。

マンション価格との関連


マンションの価格は基準地価や公示地価からはなかなか推測できません。
不動産業者がマンションの価格を査定するときは住宅地以上に周辺の取引事例を参考にする度合いが高くなります。
マンション価格には土地代と建物代の両方が含まれています。
特に都心部の100戸を超える様な大きなマンションでは、建物の価格が占める割合が大きくなりますので、地価の影響は薄まります。
地価推移とマンションの価格の推移がリンクしないのはそのためだといえます。

2013年以降、都内の多くのマンションの価格は上がり続けてきました。
このところ値上がり率は落ち着いてきていますがまだ下落する傾向は出ていません。
不動産の取引も売る側と買う側、つまり需要と供給の条件の折り合いがついたときに取引されますので、価格が上がているということは根強い需要があると見るべきでしょう。
不動産経済研究所(東京・新宿)が13日発表した8月の首都圏マンション市場動向によると、東京、神奈川など1都3県の新築マンション発売戸数は前年同月比で28.5%減となったと発表しています。
さすがに、かなり高額になっていますので、需要があるといっても誰でも買えるわけではなく、そろそろ頭打ち感があることの表れのようにも思います。

マンションの高齢諸需要


首都圏のマンション価格が上がってきた要因として、高齢者の需要があるのではないかと私は考えています。
新築マンションに関して言えば一般のサラリーマンが購入するにはちょっと手が届かないところまで来ています。
両親からの取得費の補助(贈与)に対する非課税枠なども利用しながら購入を検討できるならともかく、自己資金で購入するのは厳しくなっています。
高齢者が「バリアフリーではない」「階段の上り下りがきつくなった」「庭などの手入れが面倒」「セキュリティの不安」などを感じ、一戸建てからマンションに移られる方の話をよく聞くようになりました。

今後も高齢化が進む中で戸建てからマンションへの移住を検討される方は少なくないでしょう。
結果として、値上がりしたマンションの価格は一時的には調整することもあるでしょうが、バブルがはじけるように急に下落することはないように思います。

ただし、物件ごとには差が出てくるでしょう。
特に、戸建てからマンションに移住するような場合、駅から遠かったり、途中が坂道であったりすると高齢者には受け入れられません。
必然的に交通利便性の高いところに人気が集まるはずです。
現に、不動産に関するご相談に見えた方で「駅から坂を上らなければいけないマンションを手放したい」という方もいらっしゃいます。

マンションの管理状態の価格への影響


マンションの管理状態も価格に影響するでしょう。
高齢者がお亡くなりになる、あるいは介護が必要になって施設に入居されたりすると空き家になる可能性が出てきます。
一部で相続税対策として賃貸用になっている物件もありますが、立地が良くなければ空室が増え、やはり空き家になる可能性があります。
マンションの空き家は戸建てと違い、見ただけでは空き家だとはわかりません。
しかし、相続などが発生し、登記変更されなかったり管理組合に所有者変更の連絡がなかったりすると、実際の所有者がわからなくなってしまうこともあります。
結果的に、管理費や修繕積立金が滞納されても、請求先がわからず、滞納額が膨らんでいくことも起きます。

最近は「タワーマンション」「○○○戸のビッグコミュニティ」といった大規模マンションが共用部も充実しており人気です。
しかし、大規模だからこそ入居者の管理が難しくなります。
管理組合での意見集約も難しくなりますし、年金生活者が増えれば修繕積立金が不足していても追加徴収が難しくなります。
自分は管理費・修繕積立金を滞納なく収めていても、他の住戸で滞納があり、その金額が膨らんでしまった場合、売却しようと思っても自身の物件の資産価値は下がってしまいます。
居住者が「資産価値の維持」という同じベクトルで管理組合の活動に協力できるかどうかはこれからますます重要になりそうです。



戸建購入のチャンス


基準地価が示す通り、23区内の住宅地の価格は多くのところで横ばいかやや上昇しています。
一方で、マンションの価格は2013年以降土地価格の上昇以上のペースで上がりました。
一般的にはマンション価格は戸建て価格よりも安いといわれますが、戸建建売住宅や住宅用地の価格はマンションの価格に近づいてきています。
また、戸建ての場合マンションと異なり価格の中に占める土地代金が大きくなります。
建物は年数を追うごとに劣化していく消費財だといえますが、土地は相場の影響は受けるものの劣化するものではありません。

もちろん立地選定は重要です。
最近は自然の猛威にさらされ、水害や土砂災害などの報告も増えています。
自治体の公表するハザードマップが完璧だとは言えませんが、災害に対するリスクを考慮することも「資産価値」という点では重要です。

戸建の場合は管理や修繕は自己責任ですが、マンションのように他の居住者が原因で資産価値が下がるということはまずありません。
マンションにはマンションの、戸建てには戸建ての良さがあると思います。
将来の資産価値も考えた住宅取得を考えるならば、今の状況は戸建て取得にはチャンスではないかと思います。



西山ライフデザインでは、「失敗しない住宅選び」をサポートします。
これから住宅を購入しようとお考えの方に、「夢のマイホーム」「資産」としての住宅を取得するお手伝いをしています。
「自分らしく、楽しく、安心して」過ごせる生活、すなわち「ワンダフルライフ」の実現をサポートします。

(文中の写真は本文とは関係ありません)

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西山広高
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