働き方改革の行方2
ダイヤモンドオンラインにこんな記事がありました。
モンスタークレーマーをマンション管理組合はどう撃退すべきか
http://diamond.jp/articles/-/157024
理不尽な文句を言う「モンスタークレーマー」は少なくありません。私は前職で建設会社に勤めていました。一定規模以上のビルを建てるとき、自治体などによりには近隣説明会を行うことを求められます。また、工事を行う前にも工事説明会が行われることが多くなります。
このような場に集まる人の多くが「どのような建物ができるのか」「自分の住むところや周辺環境にどのような影響があるのか」を確認することを目的にしていると思われますが、中には文句を言うことを目的にしていると感じる人が紛れ込むことがあります。
「金銭が目的じゃない」といいながら金銭目的であることもありますし、「とにかく近くに建物が立つことがいや」という人もいます。また、とにかく「いちゃもん」をつけたい、という人もいるように思います。
もちろん、正当な権利があり、真摯に受け止めなければいけない意見もあります。ここでは、そのような人ではなく、理不尽な文句をいう人のことを「モンスタークレーマー」と定義して話を進めたいと思います。
およそ10人も集まれば、1人くらいはモンスタークレーマーがいる、というのが私の感触です。
生活する中では様々な人付き合いがあり、その中で決めていかなければならないことがあります。このような人の存在は、民主主義で物事を決める多くの場面で問題を生じます。
特に、マンションでは自分たちが住む建物の運営、維持、管理に関し、管理組合を中心に行うべきことを決めなければなりません。円滑に行うべきことを行うことで資産価値の維持・向上にもつながります。
ところが、モンスタークレーマーがいると決めるべきことが決まらなくなります。管理組合の役員は多くのマンションで輪番制になっているケースが多いようです(マンションによってはずっと同じメンバーが理事を務めているところもあるようですが、それはそれで問題です)。あまり積極的に「私がやりたい」と立候補される方は少なく、順番が回って来るとやらざるを得ない、というケースが多いのではないでしょうか。
マンションの場合、このモンスタークレーマーも居住者、すなわち権利者です。意見を無視はできません。そして、モンスタークレーマーの特徴のひとつとして「声が大きい」場合が
多いようです。多くの理事やほかの権利者も事を荒立てたくないので、あまり声を出しません。結果として、声の大きい人の意見が理不尽であろうとそれなりの重みをもち、全体の議論が硬直してしまいます。
本来であれば、そこにいるすべての人が権利者であり、冷静に考えれば無視してもいいような意見だったとしても、その人のせいであるべき方針をまとめることができないということが起こり得ます。
世の中にはこの20年ほどの間に大規模なマンションがたくさんできました。
大きなマンションはその世帯数の多さを誇るような販売の仕方をしているものも数多く見かけます。
特に新築マンションではこれから同じ建物に住む人たちと建物全体を長期にわたって健全に維持するための議論が必要になります。どのような人たちが住むのかわからないマンションで果たしてうまくやっていけるのか、と不安に感じる人もいるでしょう。あるいは住んでみて、住民同士が顔を合わせて初めて、その運営の大変さに気が付くというケースもあるかも知れません。
中古マンションではすでにコミュニティーが出来上がっているところに加わります。購入する前に管理組合の議事録などを確認すると事前に管理状態を把握したり、管理組合の様子をうかがい知ることができるかもしれません。
戸建て住宅ではその場所が属する町内会や自治会などの組織があると思います。多くのところでは自治組織への加入は任意だと思いますが、やはりすでに出来上がったコミュニティーがあります。(こちらはなかなかその運営の状況を事前に知ることは難しいかもしれません)
不動産は文字通り動かせないものであり、その不動産の価値を維持するためには建物の状態(ハードの部分)を維持するだけでなく、それを進める人達との付き合い、いわばソフトの部分も重要になってきます。
なかなかそこまで事前に把握するのは難しいかもしれませんが、できればモンスタークレーマーがいない、あるいはバランス感覚を持った人が理不尽な意見をうまくコントロールし、円滑に運営されているかどうかまで把握したいものですね。