50歳前後からでも遅くない「iDeCo(イデコ)」
いま、お金の教育が非常に大事だと思っています。
元来、日本人はお金のはなしをするのが苦手、といわれます。
思い返してみれば、ファイナンシャル・プランナーとして仕事をしようと考えるようになるまでは誰かとお金の話をしたかというとあまり記憶がありません。(最近はFP同士で集まるとお金の話ばっかりですが)
貯蓄だけでも資産形成できた時代
例えば「お金を稼ぐ話」や「資産運用の話」などのいわゆる「お金の話」は日本人の感覚としてはむしろ「卑しい話」のようにとらえられ続けてきた気がします。
金儲けの話はもちろん、自分の資産がどのくらいあってどのように活用、運用しているといった話はタブーのように考えられていたように思います。
今から40年くらい前は銀行に預けていても3%くらいは金利が付いたものでした。最も金利が高かった時には7%を超えたこともありました。100万円預金していると年に3~7万円の利息が付いたのです。
さらに、平成15年ごろまでは「マル優」といって少額の預貯金(350万円まで)について、その利息には課税しないという制度もありました。
しかし今、この低金利時代です。ただ持っているだけでは増えないどころか、自分のお金を引き出すためでも一度手数料がかかってしまえば元本が減ってしまう時代です。
貯蓄から投資へ
今は、預貯金から投資へ、すなわち個人が持っている資産の流動性を促し、市場に出そうとする流れがあります。
現在はNISAなどのように、投資に対して税制面で優遇しようとしているわけです。
NISA制度開始当時は年に100万円、現在は120万円までの枠が設けられ、この範囲で投資した分の利益に対しては課税しない仕組みになっています。
世の中で「投資」というと狭い意味では金融商品などリスク資産への資金の拠出のことを指すと考えられます。
一方、広い意味での投資というと例えば会社が生産設備に投資したりするように、その投資によって(利息としてではない)大きなリターンを得ることも含みます。
「投資」というからには、元本を割るリスクもあると考えるのが一般的でしょう。
「その投資にどのような収益が見込まれ、リスクがあるのか」を見極め、そのリスク要因を許容できるかどうか、が「投資判断」ということになります。その判断・選択は自己責任です。
変化する社会の常識
日本は現在「超低金利」社会ですが、世界的に目を向けるともっと高い金利を付けている国はたくさんあります。
ヨーロッパは日本と同様の低金利ですが、アメリカやカナダは日本よりは少し高い金利がついていますし、オーストラリアやニュージーランドは金利も高く、格付けも高い(=安定した投資先)状況です。
中には地政学的にリスクが高いことが原因で金利が高い通貨もあります。数字だけでは判断できません。
もちろん、外貨で預金する場合には為替の変動リスクがありますので注意が必要です。
最近は金融市場もグローバルです。30年前には今のFXのように一般の人が外為市場で投資活動を行うことなど全くあり得ませんでした。1998年に外国為替法が改正されたことから個人でも取引ができるようになりました。それからまだ30年余りしか経っていません。FX市場はこれ以降急速に拡大し、今や個人投資家が市場でも大きな割合を占めています。
企業の業績も為替に大きく影響され、今後の為替の動向をどう読むかも投資判断には重要な要素となっています。
前述のように40年前、定期預金の金利が3~7%もついていた時代には、銀行にお金を預けておくことが貯蓄だけでなく資産形成につながりましたが、今は違います。
自分たちの親の世代以上の時代とは環境が違うのです。
今後はさらに「お金の教育」は必須
その頃を生きた親に育てられ、学校でもお金に関する教育がなされず、これからは年金の支給率や支給開始が遅れていく世の中では今を生きる現役世代が自ら資産形成の方法を考えなければならない時代であるといえるでしょう。
バブルがはじけて以降25年あまり、日本はずっと金利が下がり続ける社会、モノの価格が下がり続ける社会を過ごしました。今の中学生や高校生の親はおそらく40代くらいが多いと思いますが、社会に出てからはずっとそういう社会で生きてきた、ということになります。
投資にはある程度の経験が必要です。仮に経験があったとしても常に勝ち続けるというのは困難です。ましてや初めての投資となると何をどう判断すればよいのか困ってしまうでしょう。
投資商品を買うならば今は証券会社以外に銀行等でも買うことができますし、口座さえ開設していれば店頭に行かなくても取引が可能です。
しかし、金融機関も今や手数料で稼いでいる時代。取引の手数料だけでなく、投資信託では管理手数料や信託報酬などもかかります。それ以上のパフォーマンスが得られればいいわけですが、合計で3%近い手数料がかかることもあります。最初から3%を差し引かれるのはかなりの痛手といえるでしょう。
また、ネットで取引していると、実際には自分のお金で投資活動をしているにもかかわらず、まるでゲームのようにお金が増減します。最近はゲームの中でお金が動く事にはなれているものの、実際のお金の重みを知らないままゲーム感覚で投資していると中にはギャンブルに出てしまうこともありそうです。それを抑えるハードルが低くなるといえます。
ファイナンシャル・アドバイザーの必要性
そんな今だからこそ、ファイナンシャルアドバイザー、ファイナンシャル・プランナーが求められていると思います。
金融機関に属さないアドバイザー、自らが金融商品を売るのではなく公平にその人にあったアドバイスをする人が求められていると思います。
私の強みは「不動産に強いファイナンシャル・プランナー」すなわち、「不動産とお金の専門家」ですが、様々な情報を収集し、「お金の教育」がいつでもできるように情報をアップデートし続けたいと思っています。