POPを活かしてディスプレイ実習
ブラックボードは今や、もっとも役立つ店頭の集客POP広告として、どこにも見られる媒体です。
ブラックボードがよく活用されている理由としては、1、描いては消して何度でも使える再生機能と経済性、2、黒地に明色の文字や絵柄が良く目を引く注視効果、3.パソコン作成とは一味違う手描きの親愛感と説得力、4、商品情報・店舗情報がすぐにメッセージ出来る速効性、などが挙げられるでしょう。
ともあれ、かつては陰の色とされた黒色は、ファッションなどでも今や最も好まれるカラーとされています。
とはいえ、日本での黒板の歴史は長く、飲食店でも以前から、小型黒板に「本日のお奨め」をチョークで書いて掲示しています。その昔、日本の観光旅館や料亭では、縦長の黒塗りの看板に「××××様歓迎」と太い毛筆と白墨液で書いて玄関に掲示し、翌日には雑巾で消して書き直して、利用しています。今は、黒板にチョークアート的に描く例もありますが、表面を樹脂加工されたブラックボードに専用のマーカーで手軽に描くタイプがほとんどです。
ここでは、さまざまなシーンで活用されるブラックボードと、講習の事例を紹介します。
◆消防署でブラックボード作成実習
東京消防庁・尾久消防署(荒川区)では、毎年、防災週間の土曜日に恒例の「防災の日・ふれあいデー」のイベントを開催して、地域の人達の防災への関心を高めています。会場では、消防はしご車の搭乗体験、ロープ渡りのレスキューショー、消防車と綱引き大会などのイベントで、親子連れでいつでも大盛況。その際に会場でのPOP媒体として活躍するのが、今やブラックボード。そのブラックボードの描き方の講習会を実施。レタリング、レイアウト、コピーづくりなど基本実習に続いて、作品づくりに挑戦。署員の方たちは、日頃から鍛錬しているだけに、動作も機敏でてきぱきとした取り組みです。
◆作品を展示してみんなで評価
短時間の講習で作品を完成。室内に並べて、出来栄えを競います。大急ぎのために、またほとんどが男性のために、やや荒っぽい(?)仕上がりかも。
◆「ふれあいデー」でブラックボードコンクール
イベント当日は「尾久消防団操法大会」(消火の操作の基本的な訓練)を公開。会場の広場には、署員による10点のブラックボード作品が展示され、来場者の投票によるコンクールとなりました。いずれも時間をかけて丁寧に作成し、ユニークなパンチの効いた傑作揃いで好評です。
◆健康創作和食料理店のブラックボード講習
調味料を一切使わない、マクロビオティック(長く思いっきり生きる術)の創作料理店のスタッフが、店内掲示用のブラックボードの描き方作り方を講習。レタリングなど基本実習に続いて、自分が描くお奨めメニューとキャッチコピーなどのプランを基に、作品制作に取り掛かります。
◆お互いに進行具合の見比べ合い
作成の途中で、お互いの進行状況を点検しあいます。品名やコピーの文字のレイアウト、色遣い、レタリングなど、お隣りの優れた点をちょっと参考に。
◆こんな作品に仕上がりました!
短時間で作品を完成。訴える内容が「見やすい、読みやすい、分かりやすい」ブラックボードが一番です。ワンポイントのイラストがPOPを引き立てます。
◆理美容店のブラックボード講習会
サービス業の理美容店の組合でも、POP広告講習が盛んです。職業柄、理美容店のスタッフは手先も器用で、美術的センスを持つ人が多いもの。アピールするモチーフは、自店のオリジナル技術とともに、売り上げにプラスするシャンプー・リンス・育毛剤などの「店販品」訴求。グループ形式で作成実習です。
◆出来上がった作品を一堂に展示
全員の作品を並べて、みんなで評価。大切な要素は大きく、他は小さくなど、コントラストのある紙面は注目させます。デザインとともに情報文案はきわめて大事なエレメントです。
◆ひとこと情報POPを掲示
理美容店の特徴は、お客の滞在時間が長いこと。ミラーの前などに理美容関連のワンポイント知識や、問いかけなどのPOPを掲示すれば、読んでくれて話題も作れます。ここではキャラクターの「チョキちゃん」を活かした理容店の質問POPです。ブラックボードペーパーは今や、濃茶、グリーン、濃紺などカラーがいろいろ揃っています。
◆ホテル・旅館のブラックボード講習
観光地のホテル・旅館では、宿泊とともに、ブライダル、レストラン、観光土産品販売も重要な部門。どの宿泊施設でも、ランチ付き日帰り入浴で誘客を図っています。ここでは温泉地の宿泊施設の組合によるPOP広告の講習会。ブラックボードペーパーで実習です。
◆レストラン前のブラックボード看板を作成
ホテルのランチビュフェ(昼のバイキング)の手描きボードが出来上がりました。ファミリー客を誘い込むボードです。料理写真を貼り付ければ、より誘引力が強まるでしょう。
◆温泉地の旅館のブラックボード
観光地の旅館の前で見たブラックボード。メッセージが丁寧に書かれていて、好感が持たれます。巧みに描かれたコマクサと高山のイラストが効果的。コマクサの花は、美しく気品があり「高山植物の女王」と呼ばれています。
◆遊園地のブラックボード
遊園地では季節・行事のイベントが活発です。セミナー参加の女性は、クリスマス期を迎えたイルミネーションの「夜のきらめきフェア」のPOP作成に挑戦中です。
◆社会就労センターのブラックボード
社会就労センターは、障害のある人たちのニーズを踏まえ、社会資源や地域のネットワーク等を活用し、自立を目指して働くことへの挑戦を支援する組織です。実際には、パン、菓子、服飾小物、生活雑貨、園芸、飲食などの店舗における作業と販売の実地指導が主な業務です。ここでは、職員の方たちが、店舗での販売成果を高めるブラックボードペーパーによる研修に打ち込んでいます。
◆講習成果のブラックボードペーパーを掲示
商品はケーキ、生活小物、園芸、飲食店のメニュー、イベント案内などとさまざまです。文字を書き込むだけでなく、イラストを描いたり、カラーペーパーのコラージュで装飾したりと、注目性高いPOPづくりを図っています。
◆商工会議所主催のブラックボード講習会
商工会議所・商工会では、事業計画の一環として、また会員の要望に応じてPOP広告講習会が盛んです。講習会の参加者は業種がいろいろですが、お奨め商品の販売成果を高める、自店のこだわりをメッセージするなど意図は同じです。ここではブラックボードセミナーの取り組みに熱が入ります。
◆完成した作品を一堂に展示して評価
和菓子、洋菓子、中華店、鮮魚店などさまざま。他業種のPOPが参考になります。今回は、A2判のブラックボードペーパーを使用。カラーペーパーのコラージュやイラスト入りなど、紙面サイズにとらわれず、個性的に、自在に表現しています。なお、表面が傷つかないように、コラージュには「貼って剥がせるノリ」など、弱粘着の糊を使っています。
◆講習会のブラックボード例1
おつまみ商品のPOP。商品の特色を簡潔なキャッチコピーでアピール。黒地に目立つのは、白いマーカー。他に2色ほどを加えて、読みやすい字体でまとめています。情報内容を指差しているマンガのイラストが視線の誘導を図ります。
◆講習会のブラックボード例2
秋の果物のPOP。品名はゴシック調の太字(角芯マーカー)。その他は丸ゴシック調の中字(丸芯マーカー)と使い分けて、読みやすくバランスよく表現。ワンポイントイラストがアクセントに。「生ハムで巻いたレシピ」などの提案も活きています。
◆卓上A型スタンドPOP(フィルム加工紙製)
平面的な「貼る」POPばかりでなく、「置く」POPも活躍。写真はA型に広げて両面に書ける立体型。普段のブラックボードと同じように、ボード専用マーカーで書いて、消して何度も描けます。飲食店の卓上や、ディスプレイの中心に、またオフイスにも便利。ここでは、レストランのテーブルに立てられて、もう一品の追加をお奨めしています。