●ブラックボードは今、あらゆる分野で活躍中!
POP作成の筆記具はさまざまです
クレヨン(crayon)は、もともとフランス語のクレヨン・パステルを略した言葉です。蝋(ろう)を主な素材とし、各種の顔料を混ぜて棒状に作ったもので、色鉛筆のように硬く尖っていなくて、無毒であることから、従来、児童画の材料として使われてきたようです(クレヨンと似た画材にクレパスがありますが、これはサクラクレパスの商標。余談ですが、かつて「かぐや姫」が紅白歌合戦に出るための条件として,「神田川」の歌詞の中の「24色(いろ)のクレパス」を「24色のクレヨン」に変えて欲しいと言われた際に、リーダーの南高節が「歌詞の雰囲気が壊れるので」と断り、出場を断念したとのことです)。
「神田川」は、哀調を帯びた歌ですが、カラフルなクレヨンには夢があります。そして、誰にでも使いやすくて便利な筆記具。ここではその活用例を紹介します。
◆クレヨンとその関連品
1、クレヨンのいろいろ
クレヨンは画材メーカーが各種製造していますが、ここでは文具店で購入した「ぺんてるくれよん」16色セットを使用。価格は626円(税込)。この製品は、鉛筆と同じ太さに持ちやすく作られていて、黒・灰・白を含めてカラーがグラデーションで鮮やかに並びます。最近はミツバチの分泌物の密蝋で作られたクレヨンもあり、子供が口に入れても安心と、母親に人気があるようです。
2、フィキサチーフ(定着液)
クレヨンで描いたものに手が触れると紙面が汚れ、また衣類が触れると色が移ることがあります。それを防ぐためには、フィキサチーフを作品に吹きつけると安心です。フィキサチーフは、一般に木炭やパステル、チョークなどで絵をかいた後に吹き付けて、粉落ちや汚れを防止する定着液です。画材店などで市販されていて、ホルベイン工業の100mlのハンディタイプで895円(税込)。
3、その他のペン
油性のダーマート鉛筆や乾燥した粉末の顔料を粘着剤で固めたパステルなど、クレヨンの仲間はさまざまです。
◆クレヨンの描き方いろいろ
1、線で描く
子供の絵は、線で形をとることから発達するので、最初に使う画材として適しているのでしょう。線で描くのは、特に難しくはありません。鉛筆のようにふつうに持って運筆すればOK。ただし、力を入れ過ぎたり、クレヨンの中間を持って書くと折れることがあるので要注意。いろいろなタイプの線を自由に描いてみましょう。
◆面で描く
クレヨンを適当なサイズにポキッと折って、紙の皮を剥ぎ、腹の部分を親指と人差し指で持って描くと、その幅のソフトな線が引けます。まさにパステルカラーの特徴が活きる使い方。POP広告の枠取りなどに活かすと、温かく柔らかな雰囲気が生まれ、またゴシック風の太字の書体にも使えます。使い方は簡単ですが、ただ、一部に力が入らないよう、同じ圧力で平均に動かせば、きれいな面が描けます。
◆ぼかして使う
クレヨンで描いた上から、指でこすって色をぼかすと柔らかいトーンが生まれます。指が汚れるのが嫌な方は、ティッシュペーパーなどを使ってもよいでしょう。別の色を乗せてこすると色が混じりあい、独特の風合いが生まれます。
◆その他のクレヨンの使い方
1、はじき絵の方法
クレヨンは蝋製ですから、水をはじく性質を持っています。紙面にクレヨンで模様や絵を描いた上から、筆で墨汁や水性のポスターカラーを塗ると、描いた部分が墨汁をはじいて鮮やかに浮き上がってきます。ちょうどロウケツ染めのような感覚です。ポイントとしては、クレヨンは白や黄、桃色、水色などの明るい色で描くこと。また、あまり何度も墨汁や絵の具で塗ると、模様が消えてしまうため、さっと一度で仕上げます。
2、フロッタージュ(摩擦)の方法
フロッタージュとは、石・木・葉・織目の粗い布などの上に紙をあてて木炭・鉛筆などでこすり、偶然に生まれる効果を活かす現代絵画の手法で、ピカソなども応用しています。例えば、木の葉の上に紙を乗せ、その上からクレヨンの腹で軽くこすれば葉脈が浮き出ます。凹凸の模様のあるものなら、どんな図柄でもこすり出せます。
スクラッチ(引っ掻く)の方法
紙面に明るい色のクレヨンを塗り、その上を黒色のクレヨンで塗りつぶします。尖ったもの(爪楊枝など)でエッチングのように黒い面を引っ掻くと、下に塗った明るい色が浮き出てきます。これも現代画家が使った手法です。ファンタジックなイメージが生まれます。
◆クレヨンによるPOP広告の例
ここでは黒の色画用紙に、明るい色のクレヨンで描きこみました。中心の商品名と左下、右上の枠線は折ったクレヨンの腹の面を使用。その他の文字は、クレヨンの先端で書いたもの。白色を中心にして、ポイントの文字にカラーを使います。今流行のブラックボードを、クレヨンと紙で表現したもの。描いた後には、先のフィキサチーフをさっと軽く吹き付けておきます。
★黒板にオイルパステルで描く「チョークアート」は、欧米のレストランや食肉店などで、商用看板として描かれてきたもの。今や日本でも人気が高く、協会・教室も多い状況です。オイルパステルは耐水性や発色も良く、POP広告にも活かされています。