小学校受験で求められる会話力について
目標も与えず頑張らせるのは成長にならない
難しい問題がすぐに理解できないのは幼児だからこそ、とお伝えしました。ただ、何でもかんでも幼児だと思って接してしまうのはNGです。学習こそ、年齢や環境によって左右される部分が多分にある反面、幼児は見たもの聞いたものを吸収する力は大人以上に優れています。例として、ご家庭や塾の方針によって子どもに「受験をすること」を伏せたまま入試まで突入するケースがあります。理由としては様々あるようですが、不合格だった場合の心のケアというのが最も挙がるようです。しかし、個人的にこれは全くおすすめできません。受験準備をするご家庭ならば、どんなに巧妙にしたところで「受験」というキーワードをいずれ本人が耳にすることになるからです。
学校説明会などに連れて行くのならばなおさら。日々のレッスンでも同様に、周りの同年齢の子どもたちがじっとお話を聞いて真剣にペーパーに向き合う様子を見て本人が何も感じないはずはありません。直接受験をする事実を伝えずとも、頑張って勉強をする理由が本人なりに納得できていなければ「何のために勉強をするのか」わからないまま毎日を過ごすことになります。受験を伏せたまま入試を迎えても試験の出来を気にする子どもの姿を大勢見ていますから、どこかのタイミングで気付くのでしょう。合否で判断されるとは知らずとも、万が一の結果になってしまえば落胆するのは結局同じなのです。
幼児から児童への心の成長を促す、小学校受験に
せっかく小学校受験という目標に向かって頑張るきかっけが生まれたのですから、根気よく取り組める姿勢を伸ばすことを後押ししてあげてください。合否に触れなくても「素敵な小学生になるためにお勉強をするんだよ」「〇〇小学校に行って大好きなダンスを頑張ろう」など、お子さまのやる気を引き出すことが受験準備の第一歩になるはずです。万が一、不合格になってしまっても小学校受験は親の受験でもあるのですから、本人だけに責任を感じさせない伝え方はあるはずです。勉強する理由を何も伝えず、親の言いつけのままに過ごす毎日より「あの小学校に行って〇〇を頑張りたいから勉強をするんだ」と口にできる子どもの方が、小学校の求める児童像に近い姿であるのは間違いありません。幼児から児童への心の成長を促す受験にしてみてはいかがでしょう。
◆次回◆小学校受験で子どもがやる気をなくさないようにするには?