社労士イノキュウの現場からの本音の報告30

井上久

井上久

テーマ:新日本保険新聞掲載記事



新日本保険新聞に新米社労士イノキュウの現場からの本音の報告30が掲載されましたので
その記事をご案内申し上げます。

新日本保険新聞連載執筆原稿 30(2026年9月掲載)

2014年9月1日に、日本興亜損保は、損保ジャパンに吸収合併され、社名も「損害保険ジャパン日本興亜株式会社」となり、合併効果をあげるために人員削減に本格的に取り組み始めました。
 当然のことですが、降級により、年をとった平社員の私に対しては、ことあるごとに直属の上司や関連会社トップから、退職誘導が始まり、退職を勧める発言に接することが多くなりました。
あるときの社長面接では、社長から、「井上さん、来年度、井上さんの居場所はないと思います」という発言に接しましたので
「社長、それは、私に対する退職勧奨ですか?それとも退職勧告ですか?」と質問し、
「退職勧奨です」という答えが返ってきましたので、
「それでは、私は退職に同意するつもりはありませんので、もう、退職勧奨はやめてください」「精神的にもちませんので」と一撃で、撃退いたしました。

私の場合、関連会社の社長では、手に負えないと判断したのかもしれませんが、
2016年度の年度末に、本社人事部から呼び出しがありました。
指定の日時に本社に行くと、人事課長2人が待っていました。
開口一番
「井上さん、今日は、井上さんの将来について、いっしょに考えてみたいと思います」
「井上さんは、数多くの資格も取得されており、能力が高い方ですから、どこに行っても活躍できる方であると、人事部では、判断しております」「そこで、井上さん、一度、リクルートに行って、より一層、井上さんの能力が発揮できる新たな活躍の舞台としての転職先を探してみられてはいかがですか?」
これは、社員を退職に追い込む、人事部の常套手段で、リクルートに行ったら最後、
必ず、即日、その内容を人事部に報告させられ、その後、その報告に基づく、人事部からの指示を受け、また、すぐにリクルートに行かされ、また、報告、そして、指示、この繰り返しにより、社員はピンポン玉のように扱われ、
「もう、この状態から抜け出せるのであれば、退職に応じよう」となるのです。
私は、その手口は熟知しておりましたので、人事課長2人にこう質問いたしました。
「リクルートに行くことは、業務命令ですか?」「業務命令であれば、私は従わざるをえませんが、それは、退職勧告にあたるのではないでしょうか?」「業務命令ではなく、退職勧奨という事であれば、お断りします。」
おそらく、私の対応にびっくりし、観念したのでしょう。
2人の課長は、「井上さん、少し、時間をください」といって、席を外されました。
そして、約15分後に戻ってきた二人の課長から、「井上さん、わかりました。もう、リクルートに行くことはお勧めいたしません。勿論、退職勧奨もいたしません」
「ただ、今日のことは、他には、知られたくないので、他言無用でお願いしたいのですが、いかがでしょうか」
私は、こう答えました。
「承知いたしました」「他の社員には、今日のことは話しません」「お約束いたします」
そして、これを最後に、退職勧奨を受けることはなくなりました。
この退職勧奨のやり方は、カスハラやパワハラと全く同じで、
立場の強い者(人事部)が立場の弱い者(社員)に対して行う、「弱い者いじめ」で、
カスハラ・パワハラと何ら変わりません。ですから、これも一種のハラスメント行為であり、被害者にならないよう、しっかりと把握しておくべき事項なのです。
私は、この後、2017年4月に、関連会社から「本社お客さま相談室」のへの異動が発令されたのですが、理由は、行政書士、宅建、簿記等の資格取得(社労士資格は、まだ、挑戦中でした)と、この対応力が評価されたのかもしれません。
クレーマー・ヘビークレーマーに対しては
「おだやかにお話いただけませんか」と「私、怖いです」
のキラーフレーズをご案内申し上げましたが、
退職勧奨に対しては、
「それは、退職勧奨ですか?それとも退職勧告ですか?」
「退職勧奨であれば、お断りいたします」
「これ以上、退職勧奨を受けると精神的におかしくなりますので、もう、
退職勧奨はしないでください」
です。
いかがでしょうか?
もし、退職勧奨を受けるようなことになったら、ご遠慮なくご相談ください。

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井上久
専門家

井上久(社会保険労務士・行政書士)

井上久社会保険労務士・行政書士事務所

損保会社で3000件超の苦情に対応した経験から、中小企業のクレーマー・ヘビークレーマー対策をサポート。セミナーで実践に基づくノウハウを伝え、社員を守る体制づくりをアドバイス。交通事故の相談も得意です。

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