新米社労士イノキュウの現場からの本音の報告第28回
%%画像5341478%
新日本保険新聞連載執筆原稿 29(2026年8月掲載原稿)
1.退職勧奨に対するイノキュウの「キラーフレーズ」
2024年10月~12月に寄稿させていただきました「セキララ体験談 どん底から
の生還」でも書かせていただきましたが、私は、2008年4月に自分が起こした
セクハラ行為によって、懲戒解雇されそうになりましたが、何とか、部長から平社員への
降格を受け入れ、仕事も、営業部長から損害サービスセンターの賠償主任となり、何とか
首の皮一枚で、会社(日本興亜損保)にとどまることができました。
しかし、その後も、2009年8月に関連会社への出向を命じられ、全国の損保代理店向けにタオル・ボールペン・カレンダーを販売する仕事をしたり、さらに、その仕事が軌道に乗ると、今度は、その関連会社の総務部へ異動を命じられ、やったことのない経理の仕事をすることになり、余談ですが、早朝6時半から、資格取得の学校TACの早朝簿記講座に通い、簿記2級の資格を取得したりと落ち着く暇はありませんでした。
そんな中、2014年9月1日に、日本興亜損保は、損保ジャパンに吸収合併され、社名も「損害保険ジャパン日本興亜株式会社」となりました。
当然のことですが、合併効果をあげるためには、社費の削減が最優先のテーマであり、
2014年度からは、人員削減に本格的に取り組み始めました。
当然のことですが、私に対しては、ことあるごとに直属の上司や関連会社トップの社長から、退職誘導が始まり、年度末の面接で、退職を勧める発言に接することが多くなりました。
あるときの人事面接では、社長から、「井上さん、来年度、井上さんの居場所はないと思います」という発言に接しましたので
「社長、それは、私に対する退職勧奨ですか?それとも退職勧告ですか?」と質問し、
「退職勧奨です」という答えが返ってきましたので、
「それでは、私は退職に同意するつもりはありませんので、もう、退職勧奨はやめてください」「精神的にもちませんので」と一撃で、撃退いたしました。
「退職勧告」と「退職勧奨」は似た言葉ですが、法的意味と実務上の位置づけが大きく異なります。
厚生労働省 スタートアップ労働条件
1.退職勧奨(たいしょくかんしょう)
(1) 定義
使用者が労働者に対して「退職を勧める」行為です。
形式上は労働者の自由意思による退職(合意退職)を促すものであり、解雇ではありません。
(2) 法的性質
労働契約法上は「退職の勧め」であり、解雇権の行使ではない。
労働者が「自ら退職を申し出る」形になるため、最終的には本人の自由意思が必要。
(3) 適法な運用のポイント
あくまで「任意の話し合い」であり、強要や執拗な説得は違法(退職強要)。
労働者に熟慮の機会を与えることが重要(例:数日考える時間を与える)。
退職合意書には「本人の自由意思による」旨の記載が望ましい。
(4)不当な場合のリスク
「退職を承諾するまで帰さない」「退職届を書くまで帰るな」などは違法。
実質的に強制されていた場合、「退職合意の無効」→解雇扱いとなり、不当解雇のリスク。
2.退職勧告(たいしょくかんこく)
(1) 定義
使用者が労働者に対して「退職するように命じる、または強く求める」行為です。
実質的には解雇通告と同義になるケースが多く、法的リスクが高い言葉です。
(2) 法的性質
「退職勧告」は、労働者の自由意思を前提としていないため、
実態としては解雇の意思表示と評価されることがあります。
このため、解雇権濫用法理(労働契約法第16条)が適用されます。
(3)運用上のリスク
「あなたには退職してもらいます」「今月末で辞めてください」は退職勧告ではなく解雇通告。
解雇理由・手続(30日前予告、解雇理由証明など)が不備だと不当解雇と判断されるおそれ。
要は、退職勧告はしてはいけない行為であり、
退職勧奨は行っても違法ではないが、あくまでも同意が前提であるので、社員がNOと言ったら、それ以上、勧奨してはいけないのです。
しかし、ほとんどの社員は、そんなことは知りませんので、あっという間に、退職勧奨に引き込まれてしまい、気が付いた時には、「退職願」を提出するという結果になるのです。


