夫婦そろって自営になるなら?
登録先を増やせば、売れるようになる?
――会社員のまま起業の準備をしている方からの質問です。マッチングサービスには、たくさん登録したほうが売れるのでしょうか?
新井:登録先の数だけで売れるようにはなりません。複数のサービスに名前を載せても、商品説明を書き、問い合わせに答え、実際に買ってもらうところまで進めなければ、売上にはなりません。最初に考えるのは、何を売るかです。手作りの品を届けたいのか、資料作成を請け負うのか、講座を開くのか。売るものが違えば、買い手が探す場所も変わります。
――いろいろ登録してみて、反応のあったところを使う、という方法ではだめでしょうか?
新井:試すこと自体はできます。ただ、登録だけして商品を載せないサービスを増やしても、どこが合うのかは分かりません。一つの商品について、説明を読んだ人が申し込める状態まで作ってから比べたいですね。勤務の合間に進めるなら、複数のページを同時に手入れする時間も限られます。まず一つの販売先で、買い手に見せる商品と説明を仕上げる。そのほうが、何を直せばいいのかが見えてきます。
――登録先を選ぶ前に、売るものをどこまで決めておけばいいのでしょうか?
新井:少なくとも「誰が、何を受け取るのか」は話せるようにしたいですね。資料作成なら、依頼者が渡す原稿を整えるのか、内容を調べて新たに書くのか。講座なら、受講者が終わった後に何をできるようになるのか。ここが曖昧なままだと、どのサービスに載せても商品説明が書けません。販売先選びで迷ったら、先に商品を一文で説明してみてください。
商品によって、選ぶ場所は変わる
――販売先を選ぶとき、どんな違いを見ればいいですか?
新井:拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』では、売るものをプロダクト、スキル、ノウハウ、スペースの四つに分けて考えています。手作りの雑貨なら、品物を見比べて買える場所。作業の代行なら、依頼内容を相談できる場所。教える仕事なら、講座の内容や日程を示せる場所が必要です。どのサービスが有名かよりも、自分の商品を買う人が、その場所で何を確認して申し込むのかを考えてください。
――同じ「教える仕事」でも、講座と個別相談では、見せるものが違いそうですね。
新井:ええ。講座なら、受講後に何ができるようになるのか、日時、料金を伝える必要があります。個別の作業を請け負うなら、何を作り、どこまで対応するのかが先です。サービスの登録画面に合わせて商品を無理に変えるより、売る仕事を先に言葉で説明して、その説明を載せやすい場所を選びます。名称や手数料、掲載条件は変わることがありますから、登録するときは、各サービスの現行の案内も見てください。
最初の一社で、何を学ぶのか
――最初の一社に登録した後は、どこを見ていけばいいでしょうか?
新井:商品ページを作っただけで判断しないことです。買い手からどんな質問が来たか、説明した内容は伝わったか、申し込みまで進んだか。この三つを見ます。質問が重なるなら、商品説明に足りないことがあるのかもしれません。問い合わせはあるのに買われないなら、料金や提供する範囲が伝わっているかを読み直します。まずは一つの販売先で、このやり取りを経験してください。ただ登録先を増やすよりも、商品をどう見せれば売れるのかが学べます。
――三か月続ければ必ず売れる、という目安はありますか?
新井:期間だけで売れるとは言えません。商品も、使える時間も、人によって違いますから。ひと月で決めつける必要はありませんし、反対に、何も載せないまま何か月待っても判断はできません。商品の説明を公開して、質問や申し込みを受けられる状態にしたうえで、何を変えたのか、その結果どうなったのかを見ていきます。
二社目を考えるのは、どんなとき?
――別のサービスも使いたくなったら、どう判断すればいいでしょうか?
新井:最初の販売先で売れた商品を、別の人にも届けたいのか。それとも、今の販売先では扱いにくい商品を売りたいのか。その理由を言えるようにしましょう。売れていない原因が商品説明にあるなら、二社目に同じ説明を載せても変わりません。まず、今のページで何を売り、どんな人が買うのかを見直す。それが分かった後なら、別のサービスに登録する目的もはっきりします。登録先の数より、まず買い手に届く商品を一つ作ることから始めてください。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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