自宅で集中して起業準備を進める「4ステップ環境設計」

新井一

新井一

テーマ:起業

リビングだと家族に話しかけられ、寝室だと眠くなる…… のあるある

――新井さん、今日は「自宅での起業準備」についてお聞きしたいのですが。会社員の方のお悩みでよく聞くのが、リビングで作業すると家族に話しかけられて、寝室に行くと眠くなってしまって…… 結局SNSを眺めて30分が終わる、というケースなんです。

新井:あるあるですね(笑) 起業18フォーラムでもこのご相談、本当に多いですよ。ご自宅で集中できないのは、意志が弱いからではなくて「環境のスイッチが用意されていないから」なのですよ。専用部屋を確保するなんて、会社員の方にはなかなか現実的じゃないでしょう? 一軒家でもリビングで子どもが宿題している横で集中するなんて、無理な話ですから。

――では、何から手をつければいいですか?

新井:順番が肝心です。場所、時間、道具、宣言。この4ステップを逆からやろうとすると、ほぼ確実に挫折しますよ。「とりあえず気合いで」とか「来月から本気出す」って言う方がいますが、気合いは環境には勝てないですから。

ステップ1と2:「家の中の1坪」と「30分の固定枠」を決める

――最初の2つのステップ、もう少し詳しく教えてください。

新井:まずステップ1は「場所」ですよ。自宅のなかに「ここは作業ゾーン」と決めた1坪を確保してください。食卓の端っこでもいいのです。専用部屋じゃなくて、「この椅子に座ったら作業モード」と脳が覚えてくれる場所を1つ決める。これだけで切り替えがラクになります。

――場所を決めるだけで、そんなに変わるものですか?

新井:変わりますね。人間の脳は環境とセットで状態を記憶しますから。ベッドで仕事しようとすると眠くなるのは、ベッドが「寝る場所」として記憶されているからですよ。逆もまた真なり、です。

――なるほど。ではステップ2は「時間」ですね。

新井:そうです。朝晩30分の固定枠を予定表に入れてください。たとえば朝6時から6時半、夜は22時半から23時、というふうに。「時間ができたらやる」では一生できないですから。これは僕が拙著『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』でも繰り返し書いていることですよ。

ステップ3と4:道具を1箱にまとめ、家族に「30分の宣言」をする

――道具と宣言、というのは少しユニークですね。

新井:ステップ3の「道具」は、PC・ノート・タイマーを1箱にまとめるだけです。ボックスでも引き出しでも構いません。作業を始めるときに、その箱から一気に取り出せるようにしておく。これで「準備に10分、気づけば残り20分」みたいなムダがなくなりますよ。

――たしかに、机に向かってから「あれどこだっけ」を探すと、一気にやる気が削がれますよね。

新井:そうそう。そしてステップ4は「宣言」。家族に「この30分は声をかけないで」と頼んでおくのですよ。ドアにメモを貼るのも有効です。これを言いそびれて、毎晩奥さんに話しかけられて結局できない、という方が本当に多いですから。

――家族の協力を得る、というよりは「宣言してしまう」ほうが現実的なのですね。

新井:相談じゃなくて、宣言。これがコツですよ。

週末まとめてより、毎日30分のほうが圧倒的に成果が出る

――30分って、正直なところ短くないですか?「土日にまとめて4時間やります」のほうがいい気もしますが。

新井:これ、皆さんおっしゃるのですが、データで見ると逆ですよ。30分×365日で年間180時間ですからね。週末にまとめてやる方は、結局「気が乗らない週」が必ず出てきて、月に1回ペースに落ちてしまう。気がついたら半年で10時間、みたいなことになるのです。

――継続のしやすさが違うのですね。

新井:総務省の就業構造基本調査でも、本業以外で稼いでいる人のうち、週5時間未満で活動している層が約4割いるそうです。短時間でも継続している人ほど、収入につながっているわけですよ。時間量より「環境スイッチを持っているかどうか」のほうが、はるかに大事ですから。

朝は思考系、夜は作業系。30分の中身を分けて使う

――朝晩の30分、それぞれどんな作業に使えばいいですか?

新井:朝の30分は「思考系」がおすすめです。企画を考える、原稿を書く、商品設計をする。頭がクリアな時間に、創造性が必要な作業を当ててください。

――夜は逆ですね?

新井:夜の30分は「作業系」ですね。資料整理、SNS投稿、問い合わせの返信。手を動かせばできる仕事を回すのに向いています。考える系を夜に持ってくると、疲れて全然進まないですよ。

――週末はどう使えばいいでしょう?

新井:週末もあえて30分のままで、長時間化させないこと。「今日は休日だから2時間やろう」と頑張ると、翌週ガクッと反動が来ますよ。リズムを崩さないほうが、半年・1年の単位で見ると圧倒的に成果が出ます。

完璧な環境を待っているうちに、半年は過ぎる

――最後に、これから自宅で起業準備を始める方にメッセージをお願いします。

新井:「専用の書斎が手に入ったら本気でやる」「子どもが大きくなったら集中できる」、こういう「いつか」を待っている方は、結局始まらないですよ。今日のうちに作業道具を1箱にまとめて、明日の朝の30分を予定表に書き込む。これだけでスタート位置に立てます。

――まずは「箱ひとつ」と「30分」からですね。

新井:そうです。完璧な環境を待っていたら、半年なんてあっという間に過ぎますからね。今日できることから始めてください。

――今日もありがとうございました!

新井:こちらこそ、ありがとうございました。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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